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ルックバック観てルックバックすると「流血チ◯コ」か「チ◯コ流血」が俺のルックバックだった話

あらすじ書くつもりもないしネタバレもない。ただ私にも藤野ぐらい熱い時があったんだって話。

引用するのは漫画版にはない冒頭のシーン。

冒頭、22時30分を回っているのにひたすら翌日の学級新聞の四コマ漫画に推敲を重ねる小学四年生の藤野。


いい。翌日友達に褒められて「5分で書いたんだけどね~」とかイキっちゃう所とか、最高!

わっかるうううううううう!


となって、


はっじーーーーーー


え、なんで俺小学生に共感してんだ?レッツルックバック!


あれは自分が中学生の時分。

私が通っていたのは低俗中学という事もあり、Rioでシコッていない人間は付和雷同のB専びーせん(*1)認定をされる童貞暗黒森林(*2)であった。

*1、B専

ブス専門だか専用という意味。
人の美的感覚を慮る事なく多様性や人権を愚弄する世界一低俗な言葉です。自分のもん片っ端から赤くしてシャア専用なんて言っている近所のジジイとあいつら脳タリン中学二十○期生は地獄で「専」の字イかせるまで帰れま専を強制されちまえばいい。

専「おい!お前さそこの”ハネ”の先の”、”の部分そっから届く?」

○尾「こ、こうですか?」

専「ヘッタクソだなてめーは。今日は”、”専用、”、犬”ですって誓ったよなあさっき?」

○尾「は、はい」

専「返事はワンだろクソ犬!匿名にしてやってんだからちゃんと働け」

○尾「ワンワン!」

って、話が逸れた。

*2、童貞暗黒森林

無数の狩人達が身を潜め合って暗黒の森林で殺し合いをしているイメージ:かの有名な暗黒森林理論、これを童貞中学生のレベルまで落としたもの。
要するに、悪目立ちした者から消されていく世界。
委員長も不良もキモオタクもイケメンもその取り巻きもその範疇を超えない様にそれぞれのロールに徹していた。
髪を緑に🙅‍♂️タトゥーを🙅‍♂️創作ノートに打ち込む🙅‍♂️大怪我をしたならばレントゲンのコピーを校庭にばら撒いて🙅‍♂️
ネイル🙅‍♂️エクステ🙅‍♂️化粧🙅‍♂️体育休むの🙅‍♂️男は男だし女は女、男女が話せば冷やかされるしそれで勃起しなければ🙅‍♂️
誰一人、本当の自分をエクスプレスする事ができなかった。本当の自分を露呈するものなら、
「あいつなんかヘンじゃない」「濃い」「キモイよね」そうやって暗黒森林攻撃はいつもどこからか始まった。


要するに、




私はRioでシコッてました!



そんな暗黒森林にも数人、恥ずかしい事を言える奴らがいた。

「キモイかも」そんな気遣いは毛頭無く、「面白いぞ」だから言う。シンプルイズベストなオバカ達。

時にそれは面白いを逸脱してイカロスの様に燃え尽き、時に暗黒森林攻撃の集中砲火を受けて消されていった。

…今なら裏垢とか、そーゆー匿名性のあるもん使うのかな。でも、表の自分として本当の自分を表現したいよね。バカ正直に言いたい事を言えたらいいよね…

そんなある日、この暗黒森林に灼然と輝く星が現れた。

「俺も剥きたくてさ」「そうそう風呂で」「そんでめっっっっちゃ血ぃでたWWWW」



ええええ!え?

絶対チンコの話じゃん!
めっちゃウケてるし。

私は直ぐに座標を調べた。
えまさかタートルネックを自分で破ったって話?いやそんなわけないだろう包茎というタグがついた時点で、その文をこの森で発すれば消されるのが目に見えている。それを自分で剥いた…だと?
どこだどこだどこだどこだ
発見!最窓際座・前から3列目です!
オチンチンから血など!そんな筈はない。俺は秋山祥子って知ってる?とさえ言えないんだぞ!そんな筈はない。オチンチンじゃないオチンチンじゃない—チンじゃダメだチンじゃダメだチンじゃダメだ



「そうそうチンチンの話」


Oooooo my 🤯🤯🤯🤯🤯🤯🤯

要するに、



チンプル・イズ・ベスト🍆🍆🍆



私はそれ以来ストーリートークに明け暮れた。
それは偏に、彼へのリスペクトである。いいや、思春期のブレイクスルーだった。NEVER躊躇、JUST DO IT!!チンプルイズベスト!その精神だ。


近所のおばちゃんが俺のトーチャンだと思って俺のママチャリに話しかけていた話が一番ウケた。幾らウケても「ま、フツーにバカだよね」みたいな態度を取った。実際、自分の包茎チンポを剥いて血を流した話に比べれば、フツーでしかなかった。

…と言っても今の人には伝わらないかもしれないからこう書く。
授業の間の十分休憩で自分の包茎チンポを剥いて血を流した話をするっていうのは、暗黒森林でフジロックを開く様なもんだった。そんなフジロック開いたら、サンボマスターの山口隆、激アツの煽りの途中で絶対に殺されちゃうよ!そう思うよね?弾丸が飛んできた時にあのノリノリになって縦にしたギターが弾除けになって事なきを得てほしいけど…

だけどね、そんな事言ってたっね意味ないんですよ。僕はね、こんなちっちゃなスケールの大喜利がしたいわけじゃないんですよ。チンコから血を流すようなね、そんなエネルギーが僕達には眠ってるんだ、そう思えるわけです。そうですよね!?そうだよな?え?もっともっと、おい!おい!おい!おい!いいぞfujl#/φzyx—!





できっこないをやらなくちゃ!



できっこないを知った私は等々、赤いチン星を偶像化し、そこに寄生しようと考えた。彼のあだ名を考えた。「なんでお前こんなあだ名なの?」その度に彼は例のトークをすればいい。パスを出した俺にもプラス一点、そんなしょうもない魂胆だった。
私はその晩、深夜0時を回っても考えた。

第一候補「流血チンコ」

でもそれって、チンコを形容しているわけで、そうすると彼…山口隆の事じゃないよチンコの星だよ…の主体というか、メインパートがチンコになってしまう可能性はないだろうか?
「おーケッちゃんおはよー」つってみんながみんな彼の股間に毎朝手を振ったならば彼は嫌だろう。
居眠りを先生に起こされた後、半勃ちになった股間に先生が「次のテストの結果悪かったならあなた補修だからね」などと言っていたら絶対におかしい。或いはそれが秋山…否!Rio先生やキララ先生だったらみんな喜ぶのかな😡…


一方で「チンコ流血」

これは事件感というか、ヘッドライン感がある。チンコ流血事件の首謀者みたいになっちゃうよね、と私は思った。…今思えば鈴木爆発や中津グラセフみたいなノリなんだけど…当時中学生の私には地下鉄サリンみたいな感じがして、凄く怖かった。笑い話で踏み込んではいけないラインというか、線引きがそこにはあった。


翌日、「流血チンコ」と彼を呼んだ。最初のうちはウケて、みんな彼のトークを聞きたがった。しかし流血チンコというあだ名は全く定着しなかった。

何故か?誰かが言った。



「あんまさ、チンコとかデカい声で言わない方がいいよ」


それはこの世の金玉であり玉条。あんま、チンコとかデカい声で言ったらいけないのだ。

事件性がとか地下鉄がとか言っていた自分が恥ずかしかった。線引きはチンコだった。

そして私は正しい線を引き直して、なるべくその内に収まる様に努めた。
今ルックバックすると…線引きなんて…ここが藤野との決定的な違いだ。

流血チンコ君はその後、バスケ部で…チンコとは関係なしに…ドラゴンの異名を手に入れる事となる。



最近、流血チンコもといドラゴンと会った。
なんと30歳手前にしてヘルニアを患ってしまい、退職する羽目になったのだと言う。
世知辛いなあ、みんな色々あるんだなあ、と思っていると、彼は相変わらず面白可笑しく症状を説明してくれた。

真っ直ぐになっていた背骨がズレてしまい、それ以来背中を曲げる度に、「ウニュッ」とゼリー状のモノが背骨からはみ出すらしい。それがめーっちゃ痛いとか。

頑張って生きていこうぜ、みたいな事言って、就活俺の伝手でよかったら、みたいな事言って、ジャンプ+のお勧めを共有して酒を飲んで終わった。


彼の背中を見て、背骨ドラゴンじゃんwwwというジョークを私は呑んだ。やっぱり藤野とは違うから。


一方でこうやってエッセイに昇華しちゃうってのは、藤野の様に生きてみたいと少し憧れを抱いているせいなのかもしれない。


匿名って、さいこーーーーーーワンワン🐶🐶

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