北沢菓子店

30年近く前、初めて高知市に行った時、何を食べてもおいしいのにびっくりしました。でも、地元の人にはそれが当たり前の味。自分たちがどんなに恵まれているのか気づいていないようでした。

後にひろめ市場になる場所には回転饅頭屋、芋ケンピ屋などと並んで小さなお菓子屋「北沢菓子店」。年配の上品なお父さんが和菓子、息子さんが洋菓子を作っていました。見かけは駄菓子屋、しかしお味はどれも本格的。和菓子の中で特に美味しかったのが「くろちゃん」というお饅頭。小豆餡をサツマイモの黒っぽい皮(多分干し芋と餅粉を蒸して砂糖を入れ、搗いたもの)で包んだもの。洋菓子は柚子皮入りマドレーヌやドイツのケーキ「アイアーシェッケ」があったのを覚えています。クリームパンのカスタードクリームにもバニラビーンズが使われていました。

数年後、また高知を訪れたとき、お菓子を楽しみに北沢菓子店を目指しました。ところがそのあたりの小さいお店はひとつ残らず取り壊され、更地になっていました。何かが建てられる予定だったのでしょうが結局何も建たず、1998年にひろめ市場が開きました。

北沢菓子店は閉店しましたが、ちょっと離れた場所に洋菓子と喫茶「パティスリーキタザワ」として復活しました。お父さんの和菓子はもう食べられませんが、息子さんは今でも本格的なお菓子を作っておられるようです。

高知に行きたいなー。

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