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ビールを食後に運んできた店員さんを見て

先日会社の残業帰りにフラリとラーメン屋さんに入った。私は席につくなり坦々麺を注文し終わりおしぼりで手を拭いていると、私の斜め向かいに座っていたおじさんが「ビールと餃子、あと醤油ラーメン」と三種の神器を注文していた。

きっとビールをグッと飲んで焼きたての餃子とビールを交互に口にして、シメにラーメンというプランなんだろうな。次回は私もそのセットにしようかな、なんて思いながら私も自分の麺の到着を待った。

少し経って、そのおじさんのところにまず運ばれてきたのはラーメンだった。

おじさんも「えっ?」というのが顔に出ていたけど、店員さんが「スミマセ~ン、他のは少々お待ちください」と言っていて、おじさんは渋々ラーメンをすすっていた。私も運ばれてきた坦々麺を食べながら、おじさんの様子が気になってチラチラと斜め向かいの方を盗み見る。まだビールは来ない。

店内も会社帰りの人でだいぶ混み合ってくる中、別の店員さんがおじさんの元に、餃子だけを運んできた。
おじさんは困惑気味に「えっと、ビールはまだなの?」と聞くが、その店員さんは忙しいのかきつい口調で「すみません、少々お待ちください!」と言ってそのまま他の席に行ってしまった。

おじさんのラーメンはなくなり餃子もほぼ食べ終わったところで、最初の店員さんがとびきりのスマイルで「はいビール、大変お待たせしました!」と運んできた。
おじさんはついにこらえきれなくなったのか「もう餃子もラーメンも、食べ終わっちゃったよ!」と叫んだ。是非もなし。。だが店員さんはなぜおじさんが怒っているのかわからず、困惑しているようだった。

通常「ビールに餃子、ラーメン」と来たら、お酒を飲む人なら「まずビールを飲みながら餃子を楽しんだ後にラーメンを食したい」という発想はすぐ浮かぶだろう。
この店員さんはもしかしたら、お酒を飲む人ではなかったのかもしれない。店の中が混んできたこともあって、この発想は思いつかなかったのかもしれない。

このように自分が当たり前だと思っていることでも、他人にとっては当たり前ではないことはよくある。

店員さんも一言「先にラーメンをお出ししても良いですか?」と聞いておけば、おじさんから「多少待たされてもいいから、ビール→餃子→ラーメンの順番で出してほしい」という要望が聞けたかもしれない。ちょっと気の遣いすぎかもしれないけど、本当に大切なことは確認しておくに越したことはない。

日本ではあまり言葉にするのは野暮と言う雰囲気がある。確かになんでもかんでも杓子定規に聞けば良いということでもない。でも言葉にして確認することは、相手への敬意を示すことでもあるように私は思う。

人はこの瞬間で変わっていく生き物だから「あの人は〇〇だから」「これは〇〇というルールだから」と決めつけるのではなく、その都度「今この人はどうなんだろう?」と好奇心を持って過ごすようにしたい。


最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。