【しずく】本当の自分、本当のあの人
著者 西加奈子さん
短編集でとても読みやすいです。
時々、ドキッとする言葉が散りばめられていて、胸に刺さるお話ばかりです。
その中で特に心に残ったお話を
灰皿
夫が亡くなり一人で大きな家に住んでいたが、賃貸に出すことになった。
借りたいと言ってきたのは若い女性小説家。
かなり高額にしたが女性はどうやら売れっ子。
小説家の彼女は、家を貸して数日後に会いにくる。
幼くて、随分前からお友達のように話す、時々ぼんやりとする、とても奇妙な人。
なぜ、彼女に家を貸したのか…亡くなった夫が小説家になりたかったから。
彼女はたびたび家を訪れるようになったが、彼女の書いた小説は知らなかった。
「私がうんこを食べるまで」
というかなりショッキングな内容だった。
お上品な老婦人は驚きを隠せず、そこから彼女たちの愛する人への想いが交わされる。
木蓮
彼氏には分かれた前妻との間に子供がいる。
生意気でとんでもなく可愛くないマリ。
34歳、焦りが出ている。
子どもは嫌いだが好きな彼氏のために会うのを承諾したのに可愛くない。
「足、ふとーい。」
ずん、と子宮が下に落ちた気がした。
1日マリを預かることになっても、それも彼氏のため、無理をして動物園に行くもなかなか噛み合わない。募るイライラ。ついにキレてしまうが、2人は思わぬ方向へ。
影
社内不倫をしてしまった女性。
会社を辞めてある島へ。
そこで、嘘つきの女の子みさきと会う。
いろんな人の影を思い出しながら自分を取り戻していく。
感想
うぅ、イタイ。
ここまで自分の気持ちを代弁されると。
そんなお話ばかりでした。
みんな人から見られたい私、本当の私はこうじゃないとか、あると思うのです。
でもふとした時に出てきた本心、それを大事にして生きていきたい、そうすれば心軽やかに過ごしていけるんだろうなと思います。
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