過去にさよならを告げる日

青年期の終わりと成人期の始まりを迎えたタイミングで、私はこれまでの過去を受け入れないことにした。

理由は単純で、"人生の終わりが見えた"からだ。社会人も二年目になり、徐々に忙しくなっていくなかで、今回の人生の果てをなんとなく意識するようになった。ライフプランといえば聞こえはいいが、結局は"死に場所"を選ぶということだ。そして残念なことに、神は存在しないと思っている私には来世がない。だから、今世を快く死ぬために、過去を全て受け入れないことにした。

人生をボタンひとつでリセットして、"BRAND-NEW"になれれば良いのだが、悲しい哉人生は地続きだ。だから、その一つ一つを手動で切り替えていかなければならない。

まず、この1ヶ月で10kg痩せた。
俄然身体が軽い。新生児3人分が消えたのだから当たり前のとこだが、服装をとりあえず"着られるか"という基準で選ぶ必要も少なくなった。そして私は肥満に悩んでいた過去の自分を消した。明日からは"痩せた自分"として過ごせる。

このように、私は過去の"汚れ"を落とそうという試みに励んでいる。私たらしめていた部分を、こびり付いた人間臭さと垢を落とすために何度も何度も擦り洗い続ける。

私は、過去を否定する。
愛すべき記憶でもなければ、微笑ましい懊悩でもない。過去は、現実を蝕む唯の敵であった。
だから私は、私の未来のために過去を否定する。
快く死ぬために。

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