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[Oaiko]Blume popo interview

Blume popo

台湾や中国でも精力的に活動する滋賀の5人組。入り組んだ音楽性をルーツに感じる4人の楽器隊から放たれる独特なアンサンブルの中で、儚く歌い上げられた美この印象的な歌声が魅力。Oaiko pre.「つむぐ」では4年ぶりの東京でのライブとなる。

来歴

2015年、当時学生であった幼少期からの友人5人が集まり結成。
2017年には日本最大級のロックフェスROCK IN JAPAN FESTIVALの主催するコンペティション”RO JACK”にて優勝を勝ち取る。
J-popを基盤としながら、マスロックやポストロックなど、オルタナティブなアプローチを試みるその背景にはさまざまな音楽ジャンルからの影響がある。

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017

Blume popoメンバー(横田壇(Gt.))にきいてみました

バンド結成のきっかけ

2013年、中学2年のときにギターの今西龍斗が文化祭に出演するためにメンバーを集めたことがこのバンドの結成のきっかけです。結局初ステージはその1年後の中学3年生の文化祭になりました。その時から今までずっとこのオリジナルメンバーで活動をしています。
初めてオリジナル曲を作ってライブハウスで演奏したのは2015年の秋だったので、一応そこのタイミングを活動開始年月日としていますが、厳密にいえば結成年:2013年、初ステージ:2014年、活動開始:2015年ということになると思います。 メンバー同士は幼稚園や保育園からの幼馴染なのでもう20年近く一緒にいます。

自分達のバンドの良さ・アピールポイントについて

Blume popoは今まで、良くも悪くも一つのジャンルやシーンに括られるということがあまりなかったので、一貫して自分達のやりたいことを周りの視線を気にせずにやれているというところは強みとも言えるかなと思います。 もちろん、僕たちの音楽性の基盤の部分には一貫して通底するサウンドがあるとは思いますが、その基盤の上に何を載せてみるかというのは、時期によってかなり違うと思うし、好きにやっています。 やりたいことが時期によってコロコロ変わってしまうというのは、主に、コンポーザー及びディレクター的な役回りを担っている僕のせいであることが多いのですが、それらの無茶振りを全部受け止めて自分のものにした上でBlume popoの色にしてしまえるのは、美このフロントマンとしての卓越した能力によるものだと思いますし、それを形にできるのは二十年来の付き合いのメンバー5人だからこそだと思います。 また、各々のメンバーがBlume popo以外のバンドや名義で音楽活動をしていることも、このバンドにモチベーションやイマジネーションの面でかなり良い影響を与えていると思います。

ルーツ・影響を受けたと考える音楽

今のこのバンドの方向性に大きな影響を与えたバンドという意味で言えば、きのこ帝国が一番大きいかと思います。 the cabsやtricotからの影響も見過ごせないと思います。

個人的にコンポーザーとして曲作りの面で最も影響を受けているのはtoe, THE NOVEMBERS, People In The Boxなどのポストロックがメインかと思いますが、サカナクション、Corneliusなどのエレクトロニック的なアプローチからの影響も大きいです。 リスナーとしてはandymori、ハヌマーン、さよならポエジーなどのインディーや、星野源、キセル、カネコアヤノ、奇妙礼太郎などのフォークも大好きなので、メロディーや作詞の部分では影響を受けていると思います。究極的なルーツはRADWIMPSで、今あげた要素「ポストロック」「エレクトロニック」「インディー」「フォーク」、これらどの要素を取っても、辿っていけばそこには野田洋次郎がいるような気がします。

好きな音楽は意外とメンバーごとにバラバラですが、僕以外のメンバーが好きなバンドとしてよく上げているのは、上にあげたバンド以外でいうと、野村美こ(ボーカル)が、チャットモンチー、今西龍斗(ギター)はthe cabs、水谷航大(ベース)はlical、小山(ドラム)はMarie Louiseを上げることが多いかなと思います。(もちろんこれらのバンド、各人だけじゃなくてメンバーみんなそれぞれ大好きです。)

また、言わずもがなですが、同郷・同世代のバンドであるThe Over Sensationからはあらゆる面でかなり大きな影響を受けていますし、共有している感覚や価値観も大きいと思います。

かなり雑多にあげてしまいましたが、これらに共通して言えることは、全員日本のポピュラー音楽が好きで、音楽的にもそこからの影響が大きいということです。また、音楽以外にも日本に特有のマスカルチャーから影響を受けて育っていると自覚しています。 一方で、ドイツとのハーフとして生まれ、現在ドイツに住んでいる僕の感覚として、それらの影響源を一人称視点で主観的に経験するということと同時に、客観的・メタ的に観察してしまっている感覚もあります。以前に「『日本的なもの』の解体・再構築を標榜するバンド」と紹介していただいたことがあるのですが、このキャッチフレーズはそういうことかなと思います。

音楽以外の影響源で言えば、主に作曲を担当する僕と、主に作詞を担当する野村美こに共通して言えるのはどちらも文学が好きだということだと思います。
また、作曲に関して言えば、文学以外に映画などからの影響も大きいです。例えば、今春リリースの『Body Meets Dress』に収録されている『まなざし』という曲のサウンドは、映画『インターステラー』や『2001年宇宙の旅』のスターゲートのシーンのサウンドメイクが影響源にあります。
文学、映画の他にも、哲学、ファッション、など、興味の対象は人文学的なものに広く渡っており、影響を受けているかと思います。今作『Body Meets Dress』は言わずもがなComme des Garconsのオマージュですし、加えて、鷲田清一やポールリクール、ハイデガー、パスカル、などの著作がなければ、今作のコンセプトは出来上がらなかったと思います。


映画「インターステラー」
映画「2001年宇宙の旅」

楽曲の制作方法について

僕がDTMで楽曲を制作して、それを各メンバーがコピー&アレンジするというのが主な楽曲の基本的な制作手順です。

歌に関しては、昔は僕が楽曲制作段階でメロディーまで作って、それに合うように美こが歌詞を当てる、という手順が多かったのですが、最近は僕の方で歌詞まで考えちゃうというパターンが増えてきました。
そのどちらでもなく、美こが先に歌詞の元になる詞を作って、それに僕が楽曲を当てていくという手順で作った曲が一曲だけあって、『逃現郷』という曲なんですけど、それが今までの楽曲制作の中で一番Blume popoとしてはしっくりきた感じがしたので、今後はその手法での制作を増やしていきたいなと思っています。
美こが作詞だけでなく作曲までした楽曲が、Blume popoの楽曲の中には3曲あるのですが、それらの曲も大好きで、できれば今後はもっと美こ発の楽曲もやっていきたいなと思っています。 また、現時点でのBlume popoの楽曲レパートリーの中にはまだありませんが、今西もDTMでの楽曲制作能力に長けたオールインワン型のミュージシャンなので、今後は今西作の曲もやれたらかなりおもしろくなると思います。

僕が外国に在住していることについてですが、個人的には物理的な距離によるデメリットよりもメリットの方が大きいと感じています。
物理的な距離による問題はDiscordやaudiomoversなどのさまざまなサービスが大概は解決してくれます。定期的にスタジオに入ったりライブをしたりすることができないというデメリットはありますが、むしろ年に一回などの頻度で集中する期間を絞って活動するスタイルの方がBlume popoの場合は合っているような気がしています。少なくとも僕のモチベーションはそっちの方が健全に維持できていると思います。

New EP『Body Meets Dress』について、制作時に込めた想い、こだわったポイントについて

活動を再開してからまとまった音源を出すのは今作が初めてなので、「Blume popo シーズン2の第一作目」という気持ちで作りました。
前回のep『黙示録』を出してから、社会的にも、バンド的にも、個人的にも何もかもが大きく変わったので、それらの変化がこの一枚に反映されていると思います。
また、個人的な意見ですが、収録曲の全曲を妥協せずに作れたのは今作が初めてなので、シーズン2の第一作目にふさわしい一枚になったかなと思います。

EP『Body Meets Dress』

メンバーそれぞれの『Body Meets Dress』でのお気に入り曲

・横田壇(gt):『まなざし』 「歌詞と楽曲と演奏(歌唱)、三つの表現全てが合致した作品になったと思うから。」
・野村美こ(vo):『逃現郷 』「入りのギターがいいからです」
・今西龍斗(gt):『少年時代』「楽器はギターはアルペジオでドラムベースがシンプルで淡々と進んでいく為、より歌詞がスッと入ってきて、その歌詞がとても好きです。口ずさみたくなるワードとメロディに対する語感と韻がすごく好きです。」
・水谷航大(ba):『NEW SKIN』「パーカッショナブルなドラムとアコギのアルペジオの旋律、ボーカルチョップの調和が心地良いから。」
・こやま(dr):『まなざし』「音でかくて気持ち良いから」

2020年の活動休止から活動再開までの考え

個人的には、活動休止期間の間にBlume popoというバンドのために意識的に取り組んできたことということは特にないです。
むしろそれまでのバンド活動と一度距離を置き、全く違うインプットやアウトプットができたからこそ、Blume popoというバンドに対して、また、メンバーに対して、今もう一度誠実に向き合うことができているのだと思います。

僕以外のメンバーも、活動休止期間はBlume popoのために何かに取り組んだというよりは、各々が新しい活動を始めたという感じだと思います。ドラムの小山はkuyuruという新しいバンドを組んだり、他のバンドのサポートドラマーを始めたりしましたし、ベースのこーだいとボーカルの美こはSUPER YUMというバンドを組みました。ギターの今西もThe Over Sensationでのサポートギターを始めたり、その他の活動も開始しました。
先ほどのご質問で述べた通り、これらの各々の活動が今、結果的にBlume popoに大きな好影響を与えていますが、とはいえ"Blume popoのため"という題目が各々の活動開始のメインテーマではなかっただろうと思います。

2020年3月から約3年間、コロナ禍という状況の中で、バンドとして以前と変わった事、変えずに貫いたこと事、適応してきた事

我々の場合は、コロナ禍の3年間が活動休止の3年間とピッタリ重なっているため、その間に変わったことがコロナ禍の影響なのか、それとも活動休止の影響なのか判断するのは難しいです。

ただ、一つ言えるのは、コロナ禍によって社会の側に変化があったことは、今のBlume popoにとって大きかったのかなということです。
先ほどのご質問でも触れましたが、我々はドイツと日本の二拠点で活動をしております。そのため、物理的な制約を受けることも多いのですが、それを乗り越えられているのは、コロナ禍によって促進されたさまざまな社会的なインフラのおかげです。また、我々のような活動スタイルはコロナ以前であれば受け入れられにくかったのではないかと思いますが、それも、コロナ禍によって受容側の感性や娯楽の受容スタイルに変化が起こったからこそ、今我々はこのようなスタイルで活動をできているのだろうと思います。

また、コロナ禍の間に社会におけるオンライン上での交流というもののプロポーションが上がったことによって、国境というものの意識が下がったような気もしています。コロナ禍以前は日本とその他アジアの国々の音楽の交流ってそれほど多くなかったような気もするんですが、コロナ禍の間、ミュージシャンの活動におけるオンラインの比重が高まったことなどによって、国境意識が逆に弱まったのかもしれません。もしそうなのであれば、我々が中国や香港で頻繁にライブ活動をできている今の状況も、コロナ禍による変化といえるかもしれません。

海外への発信、アプローチなどについて。今後海外でやってみたいことなど。

海外向けに何か特別意識しているということはなく、活動しているうちに自然と海外からの指示が集まっていたという感覚です。
自分達でもなぜそうなったか、確信的な理由はよくわかりませんが、色々な条件が複合的に重なった結果なのだと思います。
一つには、右のご質問でもすでに述べた通り、我々の音楽性自体がそもそも『日本的なもの』をメタ的に捉えた節があったということが挙げられるかもしれません。
また、僕がドイツに住んでいてあらゆる国籍やルーツを持つ人と関係を持つ機会が多いということも、楽曲制作やSNS運営やグッズデザインなど、諸々の僕のバンド運営に影響を与えていて、結果的にそれがグローバルなアプローチにつながっているのかもしれません。

シンガポール、韓国、台湾、インドネシアなど、さまざまな国の方からメッセージをいただいていて、まだ行けていないので、今後はまずそれらの国々にライブをしにいきたいです。
また、海外バンドとのコンピレーションアルバムやコンピレーションツアーなどもできればたのしいと思います。
最終的には、自分達が海外に出ていくばかりではなく、海外のバンドを日本のシーンでもフックアップできるような存在になれれば嬉しいですが、まだまだ頑張らないといけません。

3月にはpollyの中国ツアーに帯同も。

バンド活動において今後やってみたいこと、チャレンジしてみたいこと、目標など

直近のビジョンとしては、まず、先ほども述べた通り海外アーティストとコンピレーションなどの形でコラボレーションしたいなというビジョンが一つあります。また、バンドのシーンを超えて、トラックメイカーなどのアーティストの方々とのコラボレーションも考えています。また、ZINEなどの形で音楽以外の手法での発信もできれば楽しそうだなと思っていて、ミュージシャンのみならず、文筆家の方や学者の方、写真家や芸術家など、あらゆるクリエイターの方とそのZINE上で意見交換をするような、そんな形のものを妄想したりしています。

中長期的な目標としては、「アニメの主題歌がやりたい!」「フジロックに出たい!」の二つが、今僕の持っている野望です。 メンバー全員漫画、アニメが大好きなので。 今年公開のアニメ『チ。ー地球の運動についてー』の主題歌、やらせてください。 あと、共演したいアーティストとか、音楽活動を通してお会いしたい方々もたくさんいます。今回「つむぐ」で共演させていただくFennel(ヒロミ・ヒロヒロ)さんも、そんな人の一人なのでとても嬉しいです。今後も音楽活動を通してそんな瞬間を増やしていきたいです。

長期的な目標、というかバンドをやっている目的というか、は、この今の5人のメンバーでワクワクすることをし続けていたいということです。
そのためにバンドとして商業的な成長が必要なのであれば頑張るし、もし小休止が必要なのであればペースを緩めることもあるかもしれません。とにかくBlume popoはBlume popoのためのバンドであるという根本を忘れずにいたいです。

[INFO]Blume popo

Twitter→@Blume_popo
Instagram→https://www.instagram.com/blumepopo/

Music Video

Blume popo/ 彼方高さから躰放ったあなた

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about "Oaiko"

Oaiko pre.「つむぐ」

Ticket (e+):

2024.3.15 Fri.
下北沢SHELTER
open/start 19:00/19:30
adv/door ¥3,500/¥4,000(+1D)

-act-
・Blume popo
・その感激と記録
・Fennel

Oaiko Web Shop

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