歯を抜きました・続

 前回の続きの話です。特に面白みはないかも。

1.あらすじ


 乳歯を抜いた結果、鼻腔と口腔がガッチャンコするという非常事態に見舞われた私。その後調べてみましたが、稀に親知らずを抜いた時に起きるらしく、対処法も同一でした。
 スポンジとゼラチンの中間の何か(スポンゼル)で栓をして、縫合。スポンゼルは人体に吸収されても影響のない素材で、血液と結合して血餅で塞がるまでの間、守るんだとか。にしても、親知らずと同じ処置って。五番目(E?)の乳歯だぞ、おい。
 乳歯は見てみたんですけど、一本、すごい根っこがありまして。あ、これは貫通するわ、みたいな。親知らずの歯は見た事ないんですけど、それと同じぐらい太くて長い自信があります。あの乳歯、自分のこと乳歯って分かってないと思いますよ。下手すると抜くその瞬間まで成長してたのかも。そんな乳歯でした。
 そんなこんなで、一週間の静養をしました。食べるのが不便だったり、スポンゼルの感触が面白かったり、様々でしたね。

2.静養期間


 まず困ったのが、食事です。絶対に触ってはならないし触りたくない右の歯に触れないよう、食べやすいものを食べました。土曜日であることが幸いして、学校再開まで軽く凌げましたが。初日の学校には自作炒飯を持っていきました。やっぱり、シャウエッセンタイプのソーセージを使うと味がソーセージに支配されますね。
 そんなことは置いといて、汁物が多めでしたね。味噌汁だったり、雑炊だったり。雑炊は思ったより美味しかったです。私、偏食なので、食べるものには元々苦労するんですね。そういう点では、特に食事に苦痛を感じる場面はなかったです。僥倖……ではない。
 他には歯磨きとか、うがいとか。うがいに関しては、鼻から抜け落ちてくるのがトラウマ気味なので、最初のうちは恐る恐る、って感じでやっていました。流石に普段よりも汚れています。モンダミンを家に常備しているのが、結構役立ちました。
 あと、あれです。過度な運動は禁止ということで。ちょうど体育祭があったんですよね。秒で見学にしました。競技、変わってくれた人には感謝と陳謝をさせていただきます。全く楽しくなかったし、日光で体悪くしそうでしたけど。参加しない勢力に参加することは何気に初めてで、優越感がありました。
 過度な運動禁止、というのは違う場所でも猛威を振るいましたね。今週からやるやる詐欺だった「リングフィットアドベンチャー」やろうとしてたのにできなくなりましたし。体力は落ちている気がします。余談なんですけど、体重が58kgに激増してて、げんなりしています。もう若さはない。
 歩くスピードが速い、とよく言われるので、そこにも気を配りました。昔から大股で歩くよう意識してきた結果の産物です。速く歩けば、その分自由時間が生まれるのです。階段は相変わらず一段飛ばしていました。

 しかしながら、四日目、五日目くらいになると、恐怖心も薄れてきます。抜いた場所がどんな縫合のされ方をしているのか、観察したり、配慮を減らしたり。
 そんな影響なのか、スポンゼルがどんどんと消えていきます。最初は気にならなかったんですけど、何だか明らかに減っているぞ……? 一応、スポンゼルは次第に溶けていく材質らしいのですが、六日目くらいには驚く程消滅していて。
 普通に米粒が一粒埋まるんですね。
 急速すぎてよく分からないまま、放置をしました。それは私の回復力、プラシーボ効果への賭けと、情報から普通だと(勝手に)判断したからです。

「まぁ、大丈夫やろ!」

 そんなテンションで、七日目を迎えました。ここで許可が出れば晴れて自由の身。駄目なら大きな病院コースです。確認のために、恐らく糸を外してからうがいをさせられるので、トラウマ再来の可能性だってあります。大丈夫です。貫通でさえ特別な例で、一週間で治らないことは殆どないのです。最近、運が悪いのも、良いことの起こる予兆です。

 私は受付に呼ばれ、決戦の場へ赴きました。

(ここまで、受診前に書いています。今はドキドキで呼ばれるのを待っているところです。この先は、終了後の私にバトンタッチ。前回のように文体が乱れるかもしれませんが、お許しを)

 受診前追記:何だか、血の味がしますね……。えっ?

3.結果


 ただいま!!!!!!!!!!
 実に一時間もの拘束時間がありましたが、帰ってまいりました。結果報告をします。簡潔にね。

・トンネル閉鎖!
・経過は観察
・永久歯グイグイ来てる


 とりあえず、まずまずの勝利ですね。気は抜けませんけど。
 えーでは、書いていきます。

 相変わらず、狭いベッドに横たわる私。基本的に子供用に設計されているようですね。まぁ、それはどうでもいいことです。今回の担当医も、もちろん国語。雰囲気は私のとこの国語の教師に似ていますが、ちゃんと具体的なことを喋ってくれるので、全く異なります。喋り方にはちょっと癖があります。焦りがちなのか、吃音気味なのか分かりませんけど。
 さて、まずは問答での確認。私からしたら、貫通は一切なかったので暇な時間でしたね。早く確認してくれ……と思っていました。体育祭を辞退したことについては謝られました。
 確か国語は「今は肉芽で塞がっているだろうから、完全に塞がるまでにはまだ時間がかかる」みたいなこと言ってました。肉芽か麦芽か知らないんですけど、要は肉で仮止めってことかと思います。

「じゃあ、CT撮ろうか」

 ……えっ!? CT撮るんすか!? 驚きの事実。CTスキャンなんてDoct〇r XとかC〇de Blueとかでしか聞いたことがないんですけど。多分。普通にスポンゼル取ってから水が出るか出ないか確認するとか、古典的な方式だと思ってました。かがくのちからってすげー。
 ちなみに、国語含む医者達が話していた内容。

「これ、どうにかしてCT保険で降りないかな」

「うーん、CT撮る時ってどんな場合だ? 〇〇位でしか撮らないよなぁ」

「そうですねぇ」

「じゃあもう保険外で、親にも伝えといて」

 医者達も医者達で、どうにか保険で降りないのか考えるんですね。良心的です。にしても、CTスキャンってどれくらいお金かさむんだろうか。そんなことを考えつつ、CTを撮りました。
 レントゲンの延長線にあるような撮り方でした。よく分からんものを噛んでから、機械がぐるぐる回って……と。特筆することはありません。
 3D画像は、上顎から下顎までが綺麗に映っていて、どちらかと言うとグロい印象。ここまで繊細にスキャンできるんだなぁ、と感心しました。それはそうと、塞がっているかどうかです。
 スライドさせて、上顎から下顎へ、微積分に近い要領で画像が表示されていきます。私も、後ろから覗き見。明らかに、歯が抜け落ちている部分があったので、そこを注視します。
 下から上へ。黒い穴が消えて、暫くして……。
 おっと、スクロール限界だ。

「見た感じ、ないね」

 やった! 塞がったぞ! とりあえずは!

 その後はトントン拍子。ちょっと綺麗にして(茶渋が凄い)、抜糸して(抜歯と混乱するからか、バツイトって言ってました。歯科以外だと、逆に抜歯の事をバッハって言うらしいです。面白)、ちょっと消毒してから解放。
 母親にも病状を説明しつつ、私の心のざわつきは収まっていきました。

「体育とかは、まだ休んだ方がいいですか? 来週長距離走あるんですけど……」

「あー……走りたい?」

「走りたくないです」

「じゃあ、二〜三週間くらいは安静にして欲しいな」

 やったね。

4.おわりに


 結局、まだ終わってはいないんですけど、一先ずの安心です。消毒の水かけられた時に、鼻に水入った時の感覚があったので、本当に薄めに繋がっているのかと。長期戦になりそうですね。でももう矯正に大金をかけているので、引く訳にはいきません。
 というか最近、本当に心労が多いので、見返りに親に金をねだっておきました。高いキーボードとヘッドフォン買いたいです。

 ちなみに、支払い金額は500円でした。いや、保険適用するんかい!

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