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402. 大阪に九州から出てきた新入社員の女性

4月は新入社員の季節だ。2020年、2021年は不遇の年だったが、2022年はなんとか挽回したい。

先日、駅のエレベーターでドアを閉めようとするとリクルートスーツ姿の女性が慌ててやってきたので、私がその女性のために「開」ボタンを押してドアを開けると、その女性は乗り込むなり30度の敬礼で「ありがとうございます。」と杓子定規な挨拶で私にお礼を言った。

これは新入社員にあるあるの不自然な丁寧さだ。私はその日こそ何も言わなかったが、以前同じようなシチュエーションでナンパモード全開になったことがある。

「丁寧な挨拶ですね。大阪は初めてですか?」と取引先のような口調で話しかけると、「はい、私は熊本から今年大阪に来ました。」と、まるで面談のシミュレーションのような口調で彼女は回答した(2018年の出来事です)。

ここまでくれば、あとはテレビドラマやアニメのシーンにありがちな「都会のビジネス街でビジネス会話をさりげなくこなすシーン」を再現していけば良い。そして、「今は仕事ではない」という宣言をして、プライベートの雰囲気を醸しつつスタバでカッコよくブラックコーヒーを頼んで一杯のフラペチーノでナンパは完成となる。

結局初日の1000円で彼女は私とLINEを交換し、2ヶ月ほど交際して自然消滅した。消滅の基準は、私の方から送ったLINEに返事がないことで判断している。彼女は冴えない女子大生生活を地元で送り、心機一転して大阪まで出てきた。おそらく、彼女の初めての相手は私である。そして、新入社員の研修期間が終わり通常勤務になると、男と付き合っているどころの精神的余裕は無くなっていったようだった。

最初は私に夢を語っていた彼女だったが、現実は非常に厳しかったようだ。そんな彼女ももう26か27歳になっているのでそこそこ世渡りは上手くなったのではないかと思うが、ふとまた会って話してみたい気に駆られる時がある。一応LINEのスタンプはプレゼントできるしアルバムや投稿の閲覧もできるので、ブロックはされていないようなのだ。

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梅田王子

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