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Project Young. Next Act.『三十路の浪漫飛行』制作報告日誌②絵コンテ七変化

前回の記事で、自主制作アニメを作るきっかけ、ProjectYoung.Next Act.に参加した経緯について書きましたが、今回は構想~コンテ制作についてお話させていただきます。
※サムネ画像はボツったコンテ第1稿のカットです。実際に発表した映像には含まれていません。当初はこんな感じで全部色を付ける予定でしたが物語上あまり効果的ではないので白黒にしました。

◆構想『好きなことを諦めない』のテーマをどう描く??
ProjectYoungのテーマは、「好きなことを諦めない」でした。
好きなこととなると、趣味、プロを目指すなどいろいろな形がありますが、私はプロを目指す人を主人公にしました。

主人公は、漫画家志望の30歳。
子供の頃、漫画家になりたかったので、漫画家さんという存在にはリスペクトと思い入れがありました。
また、他のいろんなジャンルの作家さんがデジタル環境で制作する中、漫画家さんに関しては、今でも紙に描いている人もいる。
その姿にこだわりとか熱量みたいなものを感じて、このテーマの物語の主人公として一番合っているのではと考えました。

さらに、描き方に関してですが、アーティスティックに描く、なにか抽象的な表現で見せる方法もあると思うのですが、そちらの方向性はすでに猛者の方々がたくさんいらっしゃる。自分が今使える道具は舞台からやってたお話を考える脳みそしかないと思ったので、「好きなことを諦めないというのは自分にとってはこういうことです」というのがとにかくわかりやすく伝わる作品にしようと考えました。

◆コンテ第1稿
第1稿では、30を過ぎた漫画家志望の主人公が、なんとかデビューしようと漫画をひたすら描き続ける…バトル漫画、スポ根、ロボット漫画を描き続けるが、すべてうまくいかない、というのを主人公の頭上で繰り広げられます。
そして主人公は最終的にどんどん醜い姿になっていく。

というような、ドストレートな流れの絵コンテを描きました(下記動画参照)。
当初は「この感じでOK、あとは加筆修正して……」と思うくらいで、自分ではわかりやすく作ったつもりだったのですが、知人に見せると、漫画を描いていることすら何回も見ないと伝わらなかったようで、ひとりで内にこもって作ることの恐ろしさを痛感……。すぐに最初のカットから洗い直すことにしました。

下記動画は第1稿の絵コンテのカットをつなげて、映像(Vコンテ)にしたものです。
こうやって全体の流れで見ると、物語の伝わりやすさ等を検証しやすかったのでオススメのやり方です。


◆コンテ第2稿
漫画を描いていることがすぐに伝わるようにしなきゃ、ということで、最初に漫画雑誌の新人賞のページのカットを入れて……。さらに、主人公がどういう気持ちで漫画を描いているのか、なぜ好きなことを続けていることが本人にとって苦しいのか、など、彼の内面を想像させるようなカットを書きました。
窓に映る過去の自分、彼をバカにする人々…「部屋の窓」を彼の心情描写のアイテムに利用。
バケモノになる描写は気に入っていたので、そのまま残しましたが、それだけでは「これ、最後何が言いたいの?」という意見を数名から頂いたので、最後に希望が持てるよう、新連載へとつながる描写も入れました。

前よりも物語のあるコンテになったと思ったのですが、第三者の方に見せると、今回もあまりこちらの表現したいことが伝わらず…。

やっぱり画力の問題かな…と落ち込んだりしたのですが、私の頭の中のマーティン・スコセッシ監督が「大丈夫じゃよ」と言ってくださったので、画力がアレなんだったら、フレーミングやカットのテンポへのこだわりでカバーしよう、と切り替えました。

◆コンテ第3稿
第3稿を書く前に、どうしても自分で気になっていたのが、第2稿の前半の動きのなさでした。確かに窓にいろいろなものが映るので一応話に展開はあるのですが、フレーミングが結構な長い時間変化しない(窓を背に漫画を描いているところ)。私自身が、「これ、作画作業入ったとき、描いてて楽しいんかな…」と思いはじめ、いったん立ち止まって考えることに。

すると、わかりやすさを考えるあまり、気づけばバケモノになる前の前半に、自分自身がワクワクするような、やりたいことが全然詰まっていないことに気が付きました。これはいかん。

「自分がやりたいことを入れ込んだアニメーション」って何だろうと考えたときに、やはり浮かんできたのが冒険アニメでした。30秒でがっつり冒険は難しいけど、なにかに向かって飛行するような描写ならシンプルだけどワクワクするかも。
第1稿から大切にしている「あきらめずに描き続ける」描写は残しつつ、それを空飛ぶ作業机、都会のビル看板、襲い来るアイツらなど冒険チックな設定でコーティング(?)しました。

こうして、最終稿(実際の作品と大体同じ)となる第3稿のコンテができあがりました。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は決定したコンテをもとにガンガン作画作業を進める様子を書く……はずでしたが、画力の問題にぶち当たった私が〇〇〇を手にしたところからお話します。

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