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Project Young. Next Act.『三十路の浪漫飛行』制作報告日誌③聖剣光る作画作業

◆Blenderという名の聖剣

コンテが何とか完成したということで、いよいよこれから作画に入るぞ!
と初めて買った液晶ペンタブレットの電源を入れ、ドキドキしながらペンを握り、画面をタッチ。1つ目のシーンの回転しながら飛行する机に乗る主人公の姿を1セル(←パラパラ漫画の1枚みたいなもの)ずつ描いて…

描い……

描…

描          け         な          い

アニメーションは突き詰めていくとパラパラ漫画であり、人間のジャンプの動きひとつとっても、高く飛べるようしゃがみこんでから地面を思い切り蹴り、足がぐんぐん伸びて、地面から離れ…手は下から上に弧を描くように上がり…と何枚もの絵が連なってできています。
その一連の絵を描くときに、難しいのが中間部分。
この中間部分の絵は、動きの始まりと終わりを元に想像して描くわけです。

ということは、自分が描こうと思っている動きの「動いている最中」の絵が想像できなかったり、想像できても画力が足りないとなると上手く描けず、動きが不自然になってしまいます。

去年作ったアニメは顔の向きを変えるとか、拍手するとか簡単な動きの連続だったので慣れればなんとか描けましたが、今回はより自由にキャラクターの動きを構想したため、作画のハードルが上がっていました。

作画が難しくなることは覚悟していたし、頑張ればフリーハンドだけで中割りが描けないこともない…けど、やっぱり不自然な動きにしたくはない。
かといって、アニメを作りながらデッサンの練習をしている時間もない。

そんなアニメ制作迷子の尾眼鏡を助けてくれた聖剣(エクスカリバー)…それが…「Blender」でした。Blenderは3DのCGが作れるフリーソフトです。

↑Blender公式が、Blenderでどんな映像が作れるか、一目でわかる映像集を公開してくれています。

ピクサー映画とかあんな感じの質感の物体が作れますが、Blenderは立体空間を作り出し、それを自分の好きな角度から撮影できるという優れものなのです!
(他の3DCGソフトも同じ機能があるのでしょうか、そこについてはまだ無知です…すみません。)
これなら、画力がまだまだ足りない私でも、理想に近い動きをCGで作り出し、それをコンテ通りの絵になるような角度から撮影し、さらにそれをなぞる形で作画すれば、良い感じのアニメーションが作れるはず。

社会人になってからAdobeのクリエィティブソフトに大変お世話になっていた私は、このソフトも大別すればグラフィックソフトだから頑張れば独学でいけるのでは…?と思い、Blenderをいじりながら作り方を覚え、そのまま作画をしていくというなんともイカツイやり方をとることにしました。

自分の描きたい要素(建物や机・椅子とか)を作っているYoutube動画を見つけて、動画を見ながらBlenderをいじってひたすら作り方を覚えていきました。

↑こちらの入門動画で基礎の操作を勉強させていただきました。わかりやすくておススメです。


◆Blenderを使って、どう作画したのか??
さて、具体的な作画の流れをお話します。
まずはBlenderの空間内にビルっぽいものを大量生産して、
机、いすは直方体とドーナツ型のメッシュ(3Dオブジェクト)等を組み合わせて作りました。(本当に独学・手探りなので自己流です…もっといい方法があるかもしれないです。)

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これで手書きだとちょっと厳しい背景要素はできた。あとは主人公を作らなければ。

Blender自体の基本操作は2時間ほどで習得できましたが、リアルな人間をつくるとなると、「モデリング」という3DCG特有の技が必要で、その習得は2時間どころの話ではない。Blenderと同時進行でやると決めたのは変わらないが、時間をかけていいところと悪いところはちゃんと見極めねば…。

ということで、キャラクターのCGは2本目の聖剣「makehuman-community」というソフトを使いました。(ネットの海を必死で泳いでいたら見つけました!)
このソフトはmakehumanというくらいですから、人間の形にすでに出来上がっている(=モデリングされている)CGを、(体格や性別など)自分の好きなようにカスタマイズできるソフトです。しかも、このソフトで作り出した人間のオブジェクトは、先ほどのBlenderソフトに読み込んでBlender空間内に存在させることができるのです!ありがたい…。
こちらも使い方はネット先生を頼りました。

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↑腕の長さなど、細かいパーツまで調整できます。

このソフトで、私は主人公に近い体格のオブジェクトを作り出し、Blenderに読み込んで、キーフレーム(動きをポイントポイントで設定するもの)で動かして、ビル群が並ぶ中を人間が空飛ぶ机で突っ切っていくシーンをCGで作ることができました(下記動画)。

そして、Blenderはこのアニメーションを1コマずつ(=コマ漫画の一枚一枚の状態)に分割して書き出すことができます。

なので、この3DCGで作った映像をコマ漫画状態で書き出しして、一枚一枚上からなぞりつつ、自分の考えた主人公の顔や体つきになるよう調整をしていきました。

(背景は、実際描いてみると、ビルが理想より小さいなと思ったので、二つ繋げてなぞって大きいビルにしました。)

ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回は作画作業がひととおり終わったところ~見直し作業についてお話したいと思います。

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