[備忘録]Thurstoneのカテゴリー判断の法則

概要

 1次元の尺度構成法のうち、感覚量を数値化できるという前提に立つ直接尺度法に分類される。また直接尺度法のうちの分割尺度法と呼ばれる手法に属する。

  • 直接尺度法

    • 分割尺度法

      • Thurstoneのカテゴリー判断法則など

    • 比尺度法

      • マグニチュード推定法など

  • 間接尺度法

実例

 以下のように3つの刺激について、「全く良くない」から「非常に良い」までの5段階の系列カテゴリーを用いて評価した場合を想定する。各数値はそれぞれの刺激を該当するカテゴリーに分類した評価者の割合を表す。括弧内の数値は下位カテゴリーから累積した比率を表す。

 Thurstoneのカテゴリー判断の法則では、各カテゴリーを同一尺度上の区間とみなし、それぞれの境界を$${y_{k}}$$(ここでは$${k = 1, \cdots,4}$$)と表す。評価者は、刺激$${i}$$の尺度値である$${x_{i}}$$を$${y_{k}}$$と比較して、$${x_{i} < y_{k}}$$すなわち$${y_{k}-x_{i}>0}$$であれば、刺激$${i}$$を第$${k}$$以下のカテゴリーに分類すると考える。ただし、$${x_{i}, \, y_{k}}$$はそれぞれ評価者によって異なるため、各分布はそれぞれの平均が$${\mu_{i}, \,\tau_{k}}$$である正規分布に従うと仮定する。こう仮定すると、$${y_{k}-x_{i}}$$は平均$${ \tau_{k}- \mu_{i}}$$の正規分布に従うことになるため、刺激$${i}$$が第$${k}$$以下のカテゴリーに分類される確率$${P(k>i)}$$は、この分布のうち$${y_{k}-x_{i}>0}$$となる領域の面積で表される。

 Thurstoneのカテゴリー判断の法則はこの確率$${P(k>i)}$$から平均尺度値$${\mu_{i}}$$と、平均カテゴリー境界$${y_{k}}$$を逆算しようとするものである。確率$${P(k>i)}$$は、刺激$${i}$$が第$${k}$$以下のカテゴリーに分類される確率を表すため、前述の表で括弧内に記した累積比率に対応する。$${P(k>i)=}$$累積比率 とすると、前述のように平均が$${ \tau_{k}- \mu_{i}}$$である分布$${y_{k}-x_{i}}$$は、分散を1とすると以下の表のように$${ \tau_{k}- \mu_{i}}$$の値が求まる。(リンク元で参照してください)

 ここで、$${\bar{\mu}=\sum_{i=1}^{3} \mu_{i}/3}$$と考えて列平均を表している。$${\bar{\mu}=0}$$とすればこの値がカテゴリー境界値となる。また、$${\bar{\tau}=\sum_{k=1}^{4} \tau_{k}/4}$$とすると、各行の平均$${\bar{\tau}-\mu_{i}}$$がもとめられ、ここから$${\mu_{i} = \bar{\tau}-}$$行平均 と表すことができ、各刺激の尺度値が求まる。

[参考文献]
渡部洋 編著、「心理統計の技法」シリーズ・心理学の技法、pp40--42、福村出版(2002)


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