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だれでも第九 - AIアシスティブ技術による心動かされる演奏、その挑戦の意味。

Facebookで仲良くさせていただいている古川さんからいただいた投稿。


はじまりとともに
流れ星
キラキラキラキラ
だれでもピアノ
シ ドレ で虹にみんなと集合
レ でスタッカートしながら
鍵盤でできている階段をのぼって

ヴァイオリン ヴィオラ チェロ コントラバス

ピチカートしながらおいでよ

クラリネット バスーン フルート オーボエ

歌いながら揺れている

ホルン トランペット
宝石 瞬いて
ティンパニ
羽 キラキラ 蝶が宇宙に飛んでいく

私がゆっくり弾くと伴奏もゆっくり
なかよしの お友達みたい

星のかけらでできた お花に座っておしゃべり
そんな夢を見ている

 2024.1.8 古川ゆりな

何のことだかわからない、子供の落書きに見えるかもしれない。

これを書いた、古川結莉奈さんは、2013年生まれの小学生4年生。
先天性ミオパチーという筋肉の難病(国内では千〜3千人が確認されており、国の指定難病に認定されている)。
気管切開、人工呼吸器、ストレッチャーの上で生活している。
…とここまで書くと、非常にシリアスな気持ちになる人も多いだろう。私もそういう人だった。

でも、違うんです。
彼女とご家族は、先天性ミオパチーと戦いながら、様々なテクノロジーを活用し、非常にクリエイティブな発信活動をされています。

https://note.com/o_ob/n/n70f16eff83b8

もはやスタッフと呼んでもよいぐらいの活躍であるし、
むしろ難病とたたかうアイドルなのです。

https://twitter.com/ayakoyurina
2020年ぐらいからTwitter上で活動されている。
Orihimeのオリィさんたちに勇気づけられて始まっているようです

YouTubeもあります

だれでも第九


そんなゆりニャーさんが昨年末、12月に挑戦されたのが「だれでも第九」です。

https://www.yamaha.com/ja/about/initiatives/the-9th/



そもそもアシスティブ技術とは何なんだろう

assistive technologyについて調べてみると国立特別支援教育総合研究所の記事が見つかります。

1 米国において20年間以上一字一句修正されていない「Assistive Technology」の定義
 日本の教育において用いている「アシスティブ・テクノロジー」は、米国で用いられているAssistive Technologyの訳語です。ヨーロッパとISO(国際標準化機構)における英語表現では長くTechnical Aidsと呼ばれていましたが、Assistive Deviceとなり、現在はISO9999(2007)でAssistive Productsに落ち着いています。
さて、第1回は、米国のアシスティブ・テクノロジーの定義に注目します。なざならば、この定義は、米国で生まれてから今日に至るまで一字一句修正されていないからです。米国では1988年に障害者の支援におけるテクノロジーの役割を認めて連邦政府が各州に対して補助金を交付するための法律 Technology Related Assistance Actの中で、assistive Technology device (支援機器)とassistive technology service(支援技術サービス) の二つがセットで定義されました。この法律はその後1994年に改訂され、さらに1998年にはAssistive Technology Actという名称に変わりましたが、1988年から現在に至る24年間、この定義は、一字一句、変えられることがありませんでした。1990年の障害児教育法(IDEA)に使われてから、1997年修正障害児教育法、2004年修正障害児教育法、さらには各州の州法における定義にも使われています。ただし、Technology Related Assistance Actには「障害のある人(individuals with disabilities)」と書かれており、IDEAには「障害のある子ども(a child with a disability)」と書かれています。
さて、次に示すのが、20年以上もの間一字一句修正されていない定義です。
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1)“assistive technology device” means any item、 piece of equipment、 or product system、 whether acquired commercially off the shelf、 modified、 or customized、 that is used to increase、 maintain、 or improve functional capabilities of a child with a disability(『アシスティブ・テクノロジー・デバイス』とは、障害のある人の生活機能を向上させたり、低下を防いだり、改善させる目的に用いられる、ありとあらゆる品目、装置部品、製品システムであって、店頭での購入、手直しを加えたものや、個人に合わせて特注されたものを問わないものである。)
2)“assistive technology service” means any service that directory assists a child with a disability in the selection、 acquisition、 or use of an assistive technology device。(『アシスティブ・テクノロジー・サービス』とは、AT機器の選定、入手、あるいは使用を支援するためのあらゆる直接的なサービスである。それれは、評価や検査、購入、リース、その他の入手に関すること、選定、設計、個人に合わせる調整、修理など、さらに、訓練や技術的な支援を含むものである。)

「特別支援教育に役立つアシスティブ・テクノロジー」
https://www.nise.go.jp/cms/6,6205,13,257.html


だれでもピアノ®とは

東京藝術大学COI拠点が2015年にヤマハ株式会社と共同開発した自動伴奏追従機能の付いたピアノです。一本指でメロディーを弾くと伴奏とペダルが自動で追従して熟練したピアニストのような華麗な演奏を披露できます。



「だれでも第九」は、
このテクノロジーをさらに拡張し、いまだかつてない挑戦。

音楽プロデュース、編曲は高橋幸代さん(東京藝術大学)が担当しています。

今回の演奏にも参加されている
宇佐美希和さんの演奏に心動かされ、この活動に参加しているらしい。

<だれでもピアニスト>
東野 寛子(第1・2楽章)
生まれつき右手に欠指の障がいがあり、過去にピアノを習おうとしたが手の障がいを理由に諦めた経験がある。
「右手が原因で出来ないことは『だれでもピアノ』がアシストしてくれるので、言い訳はできません。個人レッスンに通ったり、1小節だけでも毎日ピアノに触れる時間をつくるようにしました。こどもの頃に諦めたピアノに挑戦する機会を頂き、感謝しています。音楽を愛する私たちのチャレンジを楽しんで聞いて頂けたら幸いです。」

古川 結莉奈(第3楽章)
先天性ミオパチーという筋肉の難病で身体を動かすことが難しく、平素ベッドに横になって過ごしている。
「指が届きにくい高い音を弾くところは、腕の伸ばし方や弾く速さを変えながら何度も練習しました。私は第3 楽章を、星のかけらでできたお花の上で、お友達とお喋りしている夢を見ているようなイメージで演奏しています。皆さんにも優しいあたたかい気持ちになってもらえたら嬉しいです。」

宇佐美 希和(第4楽章)
生後まもなく脳性麻痺と診断され、両手足に障がいがあり車椅子を使用している。右手は多少動かせるが、左手に不随意運動がある。
「ご指導いただいている先生とのレッスン、自宅練習に励んで来ました。先生が作ってくださったパート毎の動画を見ながら、歌ったり、指エア練習も採り入れたり、頑張っています。年末の風物詩で多くの人に愛される第九。その第4 楽章を今日ここで弾けることは喜びです。このワクワクを皆様にお伝え出来るような演奏にしたいと思います。」

<だれでもピアノ>
「だれでもピアノ」は、ショパンのピアノ曲「ノクターン」を弾きたいと願う手足の不自由な高校生のために、2015年にヤマハ株式会社研究開発統括部と東京藝術大学COI拠点インクルーシブアーツ研究グループ(新井鷗子特任教授)により共同で改良・開発した、ヤマハの自動演奏機能付きピアノ「Disklavier(ディスクラビア)」を使った演奏追従システムとペダル駆動装置のことです。

第3楽章は30:00から

https://youtu.be/dNHu97SsVw4?si=d0jFvjTUThuVcoqO&t=1804



東野寛子 さん/古川結莉奈 さん/宇佐美希和 さん

以上、2023/12/21にサントリーホール ブルーローズで開催された「だれでも第九」のYouTube動画でした。

だれでもピアニスト:東野寛子/古川結莉奈/宇佐美希和
音楽プロデュース・編曲:高橋幸代
指揮:米田覚士
管弦楽:横浜シンフォニエッタ
合唱:東京混声合唱


つい心動かされてしまい、見入ってしまいました。
何回でも観ていられる。


自動伴奏追従機能についてはこんな論文もあります。

佐藤宏美(東京藝術大学):伴奏追従機能付き「だれでもピアノ」の高齢者向けレッスンプログラムの開発と可能性の探索 高齢者のケアと行動科学/27 巻 (2022)

何歳でも、お年寄りになっても、音楽での表現をあきらめない、
そんな気持ちになれるひとときでした。

冒頭の詩は、ゆりニャーママの古川あやこさんより共有頂いたものです。

【2024.1.11 『だれでも第九 第三楽章』
結莉奈が
『だれでも第九 第三楽章』を演奏させていただいたときの詩を書きました
演奏が始まるとともに 暗くなってきて流れ星がキラキラ見えて、
オーケストラと一緒に星空で演奏しているようです
(シ ド レ は32:35頃
レのスタッカートは35:05頃から
ピチカートは36:30頃からの様子だそうです
「だれでも第九」コンサートアーカイブ
https://youtu.be/dNHu97SsVw4?si=ZW5sP0J4Ev3JKbVV
『だれでも第九』から3週間が経ちましたが、もっとずっと前のような気がしています
本当に素晴らしい時間でした
感謝の気持ちでいっぱいです
また「だれでもピアノ」を演奏できたらいいね
関わってくださった皆さん
応援してくれた皆さん
本当にありがとうございました
https://www.yamaha.com/ja/about/initiatives/the-9th/
#だれでも第九
#だれでもピアノ
#横浜シンフォニエッタ

古川あやこさんのFacebookより


自分もAIアシスティブ技術、がんばっていきたい…!


いただいた詩でDALLE-3が描いたものを選んできました。

緻密で繊細なファンタジーイラストがいちばん近い僕の心情風景にイメージだった

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