麒麟の翼(2012年公開)
記念すべき第1作目の投稿だが、特に深い意味はありません。
ドラマ『新参者』の大ファンだったこともあり、大好きな作品の1つです。
東野圭吾原作の作品はどれも「人間っぽさ」に溢れていますよね。悲しい話も多いですが、「ああ、人間に生まれてきて良かった」、そんな気持ちにさせられるものが多い印象です。本作品もそう感じるタイプのものです。
『新参者』を知らない人のために簡単にこのシリーズの説明をします(本当はドラマもぜひ観ていただきたい)。
主人公は阿部寛演じる、加賀恭一郎。ややクセの強い刑事ですが、その鋭い観察眼でどんな不可解な事件をも、マルっと解決していきます。出世にこだらわず、人形町をこよなく愛し、日本橋署に居座っています。
では、本作の紹介を。
中井貴一演じる、青柳武明が、日本橋の麒麟像の下で殺害された。その手には血まみれの白い折り鶴。どうやら別の場所で刺され、歩いてそこまでたどり着き、息絶えた様子。青柳はどうしてそんな最期を遂げることになったのか、警察の捜査が始まる。
その夜、緊急配備された警官に見つからぬよう草むらに隠れる男、八島冬樹(三浦貴大)。「俺、大変なことやっちまった…」と、同棲している中原香織(新垣結衣)に電話をかける。何のことかさっぱりな香織の折り返し電話の着信音で、八島は警察官に見つかってしまう。焦って逃げた八島は、道路に飛び出し、トラックに轢かれてしまう。意識不明の重体で運ばれた八島が、青柳の持ち物を所有していたことから、彼が犯人という線で捜査が進められるが…
白い折り鶴が意味するものとは。
青柳はなぜ麒麟像のところまで歩いていったのか。
そして、八島が青柳を殺した犯人なのか。
その目的は本当に強盗だったのか。
パッと読むと、ほぼほぼネタバレではないかと思われてしまうでしょうが、お気づきのように、まだ加賀恭一郎が登場していません。そう、加賀ワールドはここからなのです。この映画は、とにかく底が深い。
この映画は、何度観ても観終わった後の心のザワザワが残ります。納得できるような、でも、なんとも飲み込み切れないような、そんな感覚になります。気分が落ちているときには、もっと深くに落ちていくような感じがして、それが心地よいようにも思えるのです。
ごはん(私)は、『麒麟の翼』というタイトルにも感嘆しました。首の長いキリンではなく、想像上の生き物である「麒麟」には本来翼はありません。日本の道路の出発点であった日本橋から「すべてが始まる」という意味で、翼をつけたのだそうです。そして、そこに翼を持った折り鶴を持ち、息絶え絶えでたどり着いた青柳。2つの「翼」が何を意味するのか、そんなことも考えながら観てもらえればと思います。
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