見出し画像

在宅介護 胃ろうするかしないか

くも膜下出血で寝たきりになった父。
発症から4年3カ月で息をひきとった。
半年の入院生活、3年9カ月の在宅介護生活。
その間、話すことも食べる事もなく
のどに開いた穴から痰をとり、
鼻から胃へ管を通して栄養を入れて過ごした。
栄養の取り方としては、胃ろうしているのと一緒だった。


父が倒れる数カ月前。
私と父は共通の知人の葬儀に参列した。
10数年、胃ろうをした状態で闘病生活をした方の葬儀だった。

「胃ろうするとしんどい時期が長くなるみたいやな。
 年寄って病気になっても頼むから胃ろうは、せんといてくれよ。」

と父は私に言った。


それから数カ月後、実際にその選択を迫られる状況になった。
「胃ろうはしません」
とにかくそれは言い続けた。

ただ、胃ろうはせずとも、胃ろうと同じように、
鼻から胃へ管を入れて、栄養を入れ続けた。
一度始めた注入は、辞めるなんてことはとても出来ない。
注入を辞めたら、命が終わるのだから。

注入が始まった時は、回復の可能性はあると説明を受けていた。
回復の可能性があるのであれば、注入するに決まってる。
ただ、回復しないままずっと過ぎるケースもあるのです。

ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます。
この後が、私が伝えたい事です。

身近に、介護を受けている人や介護している方が居たら

「胃ろうしてまで生きていたいとは思わない」
「胃ろうしてまで生かされるのはかわいそう」

そういう事は、軽率に言わないほうが良いと思います。
やむを得ずその判断をした本人や家族がいるんです。
回復を信じて選択したけど、そうはならずに時間が過ぎている。
そんなケースもあるのです。

余計なことは言わず
ただただサポートするのが

本当の優しさかと私は思います。

在宅介護者と接する方へ。
ちょっとした一言が、
患者さん自身や家族を更に苦しめる原因になる
ということを忘れずに。