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【VHS発掘⑤】英国版ターミネーターはエイリアン顔でリモコン操作式... 訳アリ女社長がストーカーされるけど近未来SF『デスマシーン(1994)』

 結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(´;δ;`)
 先週末、自宅の目と鼻の先に在る小学校で運動会が催されていて出がけに見ると『機動戦士ガンダム  逆襲のシャア』の「MAIN TITLE」をBGMに生徒たちが玉入れをしているのを見てオッたまげた、O次郎です。

自分が学生の頃はBGMは「天国と地獄」の一択。もしくは太鼓叩いて応援ぐらいでしたが、
先生側も融通の利く世代が多勢を占めるようになったということでしょうか。
ちなみにわたくし、中学生の時の運動会のリレーでコケてめちゃんこ恥ずかしかったです・・・。

 今回は、VHSでだけ観られる傑作映画の発掘企画「VHSだけ見つめてる」の第五弾、『デスマシーン(1994)』をご紹介しましょう。
 キッカケは昨年末、ひょんなことから、中年小太りのガッカリターミネーターが出てくるZ級映画『ロボポリス(1987)』(日本では劇場公開無し。ちなみにジャケ写は『マッドマックス』のモロパクリという抜け目の無さ)の存在を知り、そのまま興に乗って当時のターミネーターインスパイア系の映画を調べる中で本作のメカデザインになかなか惹かれるものを感じました。
 而してVHSを手に入れて視聴した結果、「これは未DVD化已む無しか…」とトホホに感じる面となかなかどうして光っててムムムと感じた部分と有りましたので、そのまま捨て置くには勿体無いマイナー作品としてご紹介しようと思った次第でございまする。
 大ヒットしたハリウッドSF作品にインスパイアされたイギリス製のメカデザインが如何なるものか…読んでいただければ之幸いでございます。
 それでは・・・・・・・・・・”オクラホマミクサー”と”コロブチカ”!!

ギュッとは握れないのでこうなっちゃう、というフォークダンスあるある。
ちなみに私の母校の中学では入場曲が「青い山脈」でした・・・渋すぎやろ!!



Ⅰ. 作品概要

 日本では劇場未公開のうえにVHS化止まりなのにWikiの日本語ページが有るのが地味に凄い。それだけコアファンが居る作品なのかもしれません。
 ちなみにWikiには”上映時間99分”と有りますが、VHS版は122分有りました。"SFアクション映画で2時間越えは長過ぎる"と興行側に判断されたのかもしれません。今では2時間どころか3時間越えの歴史大作ばりの長尺のSF映画がしょっちゅう封切られていますが。
 それもある意味正解というか、前半一時間がとにかく退屈で、主人公である人権派の新社長の就任に伴う内紛と、彼女が世間から非難囂々の兵器開発部門のリーダーに見初められて粘着される痴話喧嘩を長々を観させられます。尺が長い割には各登場人物の説明が極めて浅く、人間ドラマというには片手落ちです。
 ただその前半を我慢すれば、(リモコン操作で動く極私的な)デウスエクスマキナであるデスマシーンとの生き残りをかけた脱出劇が幕を開け、重火器や爆発物に加えてパワードスーツもお目見えし、SFアクションとしての見せ場はたっぷりです。
 また劇伴の曲がどれもなかなかカッコよく、特にEDテーマのソリッド感は、潔いんだか描き足らずなのか判断に迷うような本編の幕切れを上手いことかき消してくれます


Ⅱ. 監督はどなた?

 実際に『エイリアン』の特殊効果マンだったのか・・・という。
 監督としての最大のヒット作はMARVELコミック原作のヴァンパイアアクション『ブレイド』ということで、『スパイダーマン』や『アイアンマン』以前にMARVELヒーロー映画の型を作り上げた功績は大。
 そして『ブレイド』での万人向け大作ヒーロー映画にあるまじき過剰なまでのスプラッター描写の由来が、本作を観るとノリントン監督に帰結することが分かるのはなかなかに面白いところ。
 その後、監督を降ろされたり自ら降板して寡作になっていっているところを見るに、拘りが強すぎるのかもしれませんね。

宮崎駿監督の『カリオストロの城』然り、押井守監督の『うる星やつら オンリー・ユー』然り、
作家性の強烈な監督は製作期間の短さといった制約で作家性が相当程度抑えられているぐらいの
作品の方が結果作品としての完成度が評価される、ということなのかも。



Ⅲ. 見どころだったりアチャーだったり

時は近未来、パワードスーツを着用した兵士が犯罪者を捕獲した結果、
暴走して犯罪者を殺してしまった上に建物を破壊してしまい、鎮圧部隊が出動するハメに。

地元警察はそれについて見ぬふりをするなど、背後に巨大な権力が控えている。
そしてそれを叩くマスコミたち。
※冒頭からいきなり説明不足で、二回目でないと理解が追い付かんだろう、という…
批判の渦中の武器製造会社チャンク社の新社長に就任したケイルは人権派。
社内情報を世間にオープンにすることを約束する。
当然ながら既存の役員は既に各国の闇組織とズブズブの関係であり、
社の秘密をさっそくリークしたケイルと早々対立する。
社の計画の失敗が原因で犠牲が出ていることを確信するケイル。
すぐさまその責任者を呼び出せと逸る。
問題のプロジェクトのリーダーのダンテ。
科学者というよりは邪教徒といった方が相応しいようなヌメッとした変質者で、
しかも悪いことにケイルを見初めて早くも個人情報をハッキングして陰湿アプローチ!
一方でテロリストたち三人がチャンク社の襲撃を画策。
社の中枢部の金庫を爆破して金品や債券を強奪しようとする。
古株の役員リドリーは顧客に兵器納入を迫られて待った無し。
別役員にケイルの抹殺を打診するが・・・
既にケイルにご執心のダンテはこれを知って激怒。
リドリーの前でリモコンを取り出し(これがまたダサい!)、彼にターゲット設定すると
社の中枢コアから殺人ロボット”デスマシーン”が動き出した。
人知れずデスマシーンによって肉塊に変えられたリドリーを
目の当たりにして戦慄する役員とケイル。
全く悪びれる様子も無く、デスマシーンによるリドリー殺害を告白しながら
新社長ケイルに対して愛を囁く厨二病マシーンのMr.ダンテ!
しかし・・・
トランプさんよりウン十年早い「ユー・アー・ファイヤード!!」
新社長に秒殺でフラれてクビにされたマッドサイエンティストは怖い物無し(元からだけど…)。
機を同じくして社を襲撃したテロリスト三人をホイホイとコアに招き入れてからの・・・
物語開始一時間ほど経ってのようやっとの全貌お目見えのデスマシーン。
うん・・・メカゴジラならぬメカエイリアンですね。(・∀・)
テロリストの内の一人をあっという間に血祭りにしてからのケイルへの再雇用&交際要求。
デスマシーンでLOVEマシーン♪( ´艸`)
光の速さで拒絶したケイルたちは一丸となってデスマシーンから逃れるべく明日へダッシュ。
生き残ったテロリストの二人は自分たちが平和軍の兵士であり、銃も空砲しか持っておらず、
金目当てではなく兵器根絶のためにチャンク社を破壊しに来たことをカミングアウト。
(ソレスタルビーイングかどうかは判りません…)
彼らが無害と判った途端に牙を向ける役員。
面白さ…もとい死亡フラグがレッドゾーン!!
・・・やっぱりね。
しかしこの役者さん、ポール=ウォルター=ハウザーにすげぇ雰囲気似てる。
逃走中に立ち寄った研究室で過去のダンテ主導の実験の録画映像を発見。
彼の推進する「ハードマン計画」は人間から記憶や恐怖心を奪い究極の兵士に変えるというもの。
デスマシーンはその研究の応用で、ターゲットの恐怖心を感知して殺すことが判明する。
デスマシーンに対抗するため、平和軍兵士の一方が研究室に残されていたパワードスーツを装着
なかなかマッシブでクールなデザインである。
喩えるなら押井守監督の『人狼 JIN-ROH 』に登場するプロテクトギアみたい、かな。
そのものズバリを言いよった・・・。
ダンテに追いつかれて過去の罪を断罪されるケイル。
彼女は昔、育児中に事故で娘が生ゴミ処理機に巻き込まれてしまい、
片腕を失って亡くなってしまった。そのことが原因で離婚もしていたのである。
生まれてこのかた孤児で、人間不信から殺人をはじめとする犯罪に手を染めていたダンテ。
彼女の辛い過去に付け込んで支配しようとする。
なんとかダンテを振り切るも、ここでデスマシーンとの直接対決に!
パワードスーツのリボルバーカノンが一発だけで玉切れなのは予算切れか?!
パワードスーツのオプション武器の重火器で一斉放火を浴びせるも
ビクともしないデスマシーンさま。
銃撃による火花散るエフェクトもかなり頑張ってます!
パワードスーツVSデスマシーン 第2ラウンド!!
肉弾戦まで見せてくれるとは分かってるね~
しかしながらその奮戦空しく・・・
平和軍兵士二人目の犠牲者が・・・
生き残ったケイルと平和軍兵士(パワードスーツ)の二人は
ようやっと貨物用エレベーターで脱出するのだが、
デスマシーンを外に放たないために再びダンテの居るコアへ赴く。
油断させて子どもからリモコンを取り上げる母親、の図。
リモコンでデスマシーンのターゲットをダンテに変更して彼をコアに閉じ込め、
爆薬で一網打尽に…。
ようやく過去のトラウマとも向き合って決着をつけたケイルであった。
(一応は)めでたしめでたし。

 

Ⅳ. 総評すると

 というわけで全体を追いましたが、前半のドラマパートと後半のアクションシーンとの出来栄えの落差が激しい、というのが紛れも無いところです。
 特に冒頭でのチャンク社製パワードスーツの暴走やその隠蔽工作、ケイルが何故社長に就任したかの経緯が全く描かれていないため、世界観が把握できません。
 加えて、ケイルが幼い我が子を失った過去とそれによる人格への影響、それと対を成すダンテの母性への執着も描写不足で、もう少し簡潔されど詳しくの巧いドラマ脚本が有れば佳作に成り得たと思うと勿体無い限りです。
 しかしながらCGが当たり前の今日に在って、この実物の機械感の迫力は遡って見る価値のあるフリーキーな代物だと思います。
 他にも知られざるSFメカアクション映画の力作珍作をご存じでしたらゼヒともコメントいただければ恐悦至極にございます。
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・・・・どうぞよしなに。




それにしても洋邦問わず80~90年代特撮のブルーライトの強さ。
ガンヘッド』思い出しちゃう。


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O次郎(平日はサラリーマン、週末はアマチュア劇団員)
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