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【最新作云々⑦】劇場版21作目にして遂に主役だピッコロさん!! 人造人間の再びの暴挙に"覚醒"するナメック星の神『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』

 結論から言おう!!・・・・・・・こんにちは。( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
 昨日の朝、TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』で火曜パートナーの田中直樹さん「6月22日はラクダの日」と仰っていたのを聴いて漫画『あたしンち』のお母さんを思い出した、O次郎です。

”情熱の赤いバラ~ そしてジェラシ~”

 今日も今日とて最新公開映画の話、今回は先週末に観た『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』です。
 当方、原作漫画の『ドラゴンボール』は生まれた時から既に連載が始まっており、アニメの『ドラゴンボールZ』から本格的にハマって毎週の爆炎とナレーションだけの引き延ばし展開でヤキモキしながらお菓子のオマケのメンコを集め(少年期の御飯が片手のカメハメ破でセルを倒すシーンの金色メンコを引き当てて学校で一瞬ヒーローに)、そのしょっぱい内容からして”めんなさい、山先生”の略だと揶揄されたドラゴンボールGT』はもっぱらFIELD OF VIEWDEENによる主題歌を楽しんでいた世代です。

メンコだけ取ってお菓子を捨てる子どもがいる、と当時ちょっとした社会問題に…。
そのさらに一、二昔前の仮面ライダースナックでも同じようなことがあったようですし、
悲劇は繰り返される・・・の巻。

 今回も個人的にゴイスー!と思った点とムムムッ!と思った点をDAN DAN 心魅かれてくように書いてみようと思います。
 そういえば当初はGW映画として封切られるはずだったところを不正アクセス問題で6/11に公開延期になったんでしたね。GWは競合として毎年のコナン・クレしんの映画が有るうえに今年はMARVEL映画も有りましたし、初動の興収を鑑みるに怪我の功名になったのか果てさて。
 ともあれ、感想の一つとして読んでいただければ之幸いでございます。ネタバレを含みますので未見の方は鑑賞後に御覧いただければと。
 それでは・・・・・・・・・・・・・・パッパラパ~~ッッ!!

因みにドラゴンボールゲームで一番熱心にプレイしたのはSFCの『ドラゴンボールZ 超武闘伝2』。
オープニングデモ中に隠しコマンドを入力するとベジータが「カカロットォッ!」と喋って
悟空とブロリーが使用できるようになるんだけど、何回も入力受け付けられるので、
「カカロッカカロッカカロッカカロッ・・・」とエンドレスに入力して遊んでた、という小ネタ。



Ⅰ. 作品概要

 タイトルにも書きましたが、"ピッコロさんが主役"というのが本作の最大の特徴にして最大の魅力です。鳥山先生の当初構想ではピッコロ単独主人公だったところを周囲の意向を採り入れてピッコロ・御飯主人公に、というのがなんとも安パイというかそれっぽいですね。
 バトル作品なのでまずは戦闘シーンについてですが、従来作品よりも打撃格闘に重きが置かれていて演出に力が入っており、そのために厳選された光線技のシーンも映えている、という好循環が見られます。特にゲストキャラクターであるガンマ1号とガンマ2号との金属質な音と最新技術によるエフェクトは、過去の人造人間との闘いの回想とも相俟って非常に懐かしくも新しい迫力を生み出しています
 セル画での荒々しい線に慣れ親しんだ世代としてもCGによるキャラクターは違和感を感じさせない造り込みでしたが、キャラクターによって力の入れようや可愛らしさに???となった点も有りましてそれは後述いたします。
 キャスティングについては、さすがはジャンプ黄金期を支えたレジェンド作品だけあって、原作キャラのみならずゲストキャラも主演級の声優さんが配役されており、あらためてドラゴンボールというコンテンツとしての底力を感じさせられるところです。
 ストーリーに関しては、主人公たちに逆恨みする小悪党が新たなヴィランをけしかけるものの闘いの中で和解し、事故で誕生してしまった究極の悪にみんなで立ち向かう、さすがは鳥山先生脚本という老若男女楽しめる王道の作り。がしかし演出面で???と感じたところも有ってそれも後述ということで…。
 ”偉大なるマンネリ作品ながら大胆なマンネリ脱却に挑戦した意欲作”というのが全体としての印象です。

セリフや演出、そしてビジュアルの一つ一つ。
特撮的ヒーローに対する鳥山先生の並々ならぬこだわりを感じます。
そしてドラゴンボールの特撮的ヒーローで思い出すのが”ギニュー特戦隊”で、
ゲームで彼らの一部がプレイアブルキャラクターとして初登場の『ドラゴンボールZ 武勇烈伝』。
ゲームとしての出来はだみだこりゃですが"メガドライブ ミニ2"のラインナップにどうよ?(・ω・)



Ⅱ. 個人的ヒャッハー!な点

・ピッコロさんが主役になるということ

スマホを携行せず家に置きっぱなしっていうのが可愛らしい・・・が、
スマホケースにもなってるぬいぐるみ"ペネンコ"がイマイチ可愛くない。(=‐ω‐=)

 原作初期の宿敵で、その後は私生活では親友になるも、戦闘では緒戦での接敵や主人公へのバトンタッチが役割化した狂言回し…。
 その彼が遂に物語の主人公に昇格した、ということで、同時期のジャンプ作品で喩えるならキン肉マン』のテリーマンや、『キャプテン翼』の石崎くんが主人公になるようなものだと思います。
 本作中序盤では幼いパンちゃんに武道の稽古をつけ、自分の修行もそこそこに彼女の幼稚園までの送迎も受け持ち、仕事や研究に没頭するあまり愛娘に気が回らないビーデル・御飯夫婦を窘めたりしています。まさに家庭でいうところの”舅さんポジション”です。それからしても彼が主人公ポジションに立つというのが如何に異例か解るでしょう。

キミは友蔵さんが主役の『ちびまる子ちゃん』を想像できるか?!
ちなみに実際の友蔵さんはかなり偏屈な方で、
作者とお姉様は彼が亡くなられた際にそれはもう喜んだとかいう話を読んだことが有りますが…。

 ビーデル・御飯夫婦がそのお礼としてぬいぐるみをプレゼント、という適当とも取れる対応をしているのが、子どもの世話を自分の親に依存している夫婦のリアルのようで厭なところもあるのですが、ひょっとして鳥山先生にとってのリアルでもあるのかも・・・。
 ともあれ、本来のシリーズのメインである悟空とベジータは頭とラストにちょこっと登場するのみで(きちんと戦闘はしているのでご安心を)、”御飯とピッコロとの師弟関係の再構築”というテーマもフィーチャーされています。
 かつて悟空が人類の危機を前にあの世での修行で不在の中、ピッコロさんが幼い御飯を鍛え上げたわけですが、その娘であるパンの修行にも携わるにあたり、父親の御飯が己の学究に現を抜かすのが許せなかったのでしょう。
「子どもの迎えに行けないほど研究が大事か?」と御飯を諭すシーンはホームドラマのような小気味良い味わいです。
 そして本作の目玉である、”ピッコロ版スーパーサイヤ人”的な”オレンジピッコロ”ですが、悟空と引けを取らないぐらいあれだけ修行好きな彼の強化が神龍への願いによる潜在能力の引き出し、というのがちょっとイマイチに感じました。尺の問題は有るにせよ、個人的には”精神と時の部屋”的なギミックが欲しかったところではあります。

初代ピッコロ大魔王の如くのサイズになれるというのも心ニクい。
欲を言えば、腕や足を延ばす系の新技も見せて欲しかったかな。

 そして余談ながら、ピッコロというキャラクターは黒人層に人気がある、という話を耳にしたことが有ります。以前、勤めている会社の要請で英会話教室に通っていたことがあり、黒人の講師の方との雑談中にドラゴンボールの話題になり、「あの肌の色は黒人の比喩だと思う。なのでシンパシーを感じる。」と仰っていました。
 であるとして、一方でもしそれを否定的なメッセージとして受け取っていた人もいたとすれば、今作でのピッコロさんの大活躍が良い形で響けばと思います。


・しっかりと自分で考える人造人間たち

”月に代わって・・・”的な?

 Dr.ゲロの孫であるDr.ヘドによって生み出された人造人間のガンマ1号・2号が今回のメインの対戦相手。
 レッドリボン軍総帥の息子であるマゼンタに嘘を吹き込まれて御飯たちを付け狙うものの、彼らとの拳での語り合いの中で会心。機械ながら自らの心で以て善悪に悩む姿はまさしく『人造人間キカイダー』そのもので、その過程がきっちりと描かれているがゆえにラストに自らの命を犠牲にして地球を救うくだりは涙を誘う。ゲストキャラクターながらしっかりとした人物性を感じるのは製作側の愛情ゆえだと思います。
 また、上述のようにピッコロ・御飯たちとの戦闘シーンでの金属質な躍動感や鳥山先生らしいユーモアを感じるポージングなど、動きにもかなり力が入っていて目を瞠ります。
 そして人造人間繋がりということで、終盤に登場するセルマックスの禍々しいインパクトです。ここいらでそれまで抑え気味だった光線技が多用され、暴走するセルマックスの弱点めがけて一斉に仕掛ける構図は、『バイオハザード』シリーズのボスキャラのタイラントを彷彿とさせます。

"運命のロックアップ"

 加えて、セルの声優の若本規夫さんのブルアァァァ~~ッッな大絶叫をスクリーンで思う存分楽しめる、というのも本作の大きな醍醐味です。 
 そして存命の18号はもとより、回想でレッドリボン軍や16・17・19・20号も登場し、旧来ファンを懐かしい気持ちにさせてくれます。

・師弟愛を貫く魔貫光殺法

 愛娘パンと人類をセルマックスの暴走から救うために覚醒した御飯がトドメに放つのがピッコロの代名詞である魔貫光殺法でした。
 御飯が魔貫光殺法を放つのは本作が初であり、兄ラディッツを羽交い絞めにした悟空の手助けでピッコロが放った初出とは逆の形で、セルマックスを羽交い絞めにしたピッコロの手助けで御飯が放ったわけです
 最新の超絶CGクオリティも凄いのですが、師弟の絆をこの光線技一本に託したドラマも素晴らしい物でした。

御飯も今回、最大威力を出すために最初のピッコロさんの如く
気を溜めるのに時間取ってたのも泣かせることろ。


Ⅲ. 個人的ムムムッ!な点

・キャラクターによってCGクオリティに差が見える件

彼らよりも出番がさらに少なかったクリリンさんが放った気円斬が超絶クオリティだったので、
まんざら出番の多少だけの話ではないハズ。

 なんというか"製作側の愛の差"とでも申しましょうか、本作でメインを張るピッコロ・御飯や不動のツートップの悟空・ベジータに比べて、悟天とトランクスおよびゴテンクスのCGの作り込みが甘く感じられました
 加えて可愛いキャラクターがことごとく可愛らしさが足りず、具体的には前述のペネンコはもとより、カリン様の全体的な造形や毛並みがイマイチで(声優さんが交代しているのもありますが、それよりかは可愛く見せようという制作側の意図が薄い?ヤジロベーも愛嬌無し)、パンちゃんもただ小さいだけでどこか画面から浮いており、プーアルに至っては登場すらせず、という体たらくです。

パンちゃんはともかくピッコロさんもペットボトルってのはなんか違和感。
本作でのカリン様の画像は出てきませんでした…。

 人によってはどうでもいいとこかもしれませんが、マスコットアイコンの可愛らしさも鳥山先生の重要なエッセンスで、躍動する筋肉の中での一服の清涼剤だと思っているので、次作ではぜひ改善してほしいところです。

”天さまぁ~~っ”(^・ω・^)


・ストーリー展開に緩急が無い件

 そして終盤に至るまで拭えなかった違和感がコレです。
 具体的に言うと、一つ一つ順番に事態が進み、事件のクロスカッティングが一切無いのです。試しに箇条書きにしてみると、
〇刑務所から出てきたDr.ヘドをマゼンタが車でピックアップし、車中で延々助力するよう説得。(冒頭なのに"惹き"の戦闘シーンも無しに延々数分間)
〇ピッコロによるパンの修行→ビーデル・御飯の姿
〇ピッコロによるガンマ1号との戦闘
〇ピッコロによるマゼンタのアジトへの潜入
〇ピッコロによるパンの狂言誘拐
〇事態を知った御飯による怒りの急襲とガンマ1号・2号の揃い踏み
etc…
 という具合に、これらが同期することなく順番に展開されます。アクシデント展開も前の事態が解決してから発生するので、物語全体として緩急が付いておらず、間延びした印象が否めないのが正直なところです。そのぶん、子ども向けには物語が分かりやすいのかもしれませんが、かといってそれがそのまま幼児層からの作品評価に繋がるかというとそういうものでもないはずです。
 戦闘シーンの緊迫感が素晴らしいだけに、ドラマパートのモッサリ進行感が余計に目立ってしまい、この点が本作の演出面での最大の反省点かと思いました。製作側でお互いの担当パートをリスペクトし過ぎたからなのか何なのか・・・。

御飯が合流してからはクライマックスまでノンストップ狂四郎です!
セクシーコマンドー!!


Ⅳ. おしまいに

 ということで今回は最新公開作にして数多あるドラゴンボール映画の中でひょっとしたら最大の異端作『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』について書いてみました。
 脚本が出来上がるのに2年近く掛かったとのことで、長寿作品らしくいつも通りの黄金律で作っても十分評価を得られたであろうに、貪欲に新しいものを提示しようとするベテラン製作サイドに敬服いたしました。
 不満点も無いではなかったですが、今作の成功を契機に一部キャラだけに絞ったスピンオフドラマも観てみたいところです。
 
 三記事続いて最新公開映画のテーマでしたので、またぞろ過去のカルト作品の話なんかも織り交ぜていこうと思います。
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・・・・どうぞよしなに。



"うわあぁぁ!お目目が真っ赤だぁぁ!!"
っていう子ども用目薬のCMもドラゴンボールの重要な思ひでぽろぽろ・・・。






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