【配信を拝診⑩】肉喰って美女を抱くアクション映画はもう古い!! アヴェンジャーズ映画監督が仕掛ける豪華俳優陣共演のNetflixオリジナルのストイックスパイアクション映画『グレイマン』はネトフリ史上最高の制作費でやる気MANMAN!
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(っ ` -´ c)
幼少期、床屋に行ったら店のおじさんから帰りがけにいつも貰っていたアニメキャラクターブランドの甘~い"フーセンガム"(この表現、めっきり聞かなくなったな…"チューインガム(チウインガム)"なんかもっとだけど。)を貰えなくなったのは何歳ぐらいのことだったか思い出せない、O次郎です。
今回はNetflixオリジナルの独占配信映画『グレイマン』のお話です。
Netflix独占配信作品は他のサブスクサービスと比べてもとにかく数が多く、正直言ってかなり当たり外れが激しいのですが、そうした玉石混交感を楽しむのも映画の醍醐味…とは言いつつも限られた時間の中やっぱりアタリを引きたい(そしてもし地雷を踏むなら特大のそれを)のが本音ですが、スターキャストに豪華スタッフという"勝利が約束された"ならぬ"勝利が至上命題"の一本が今回のそれです。
『アヴェンジャーズ』シリーズでお馴染みのルッソ兄弟の監督、数々のアクション映画で主演しながら意外にもMARVEL作品を掠ってない『ラ・ラ・ランド』のライアン=ゴズリング主演、敵役に"キャプテン・アメリカ"ことクリス=エヴァンス、ヒロインはクレイグボンド最終作『007 ノー・タイム・トゥー・ダイ』のラストボンドガールのアナ=デ=アルマスというビッグネームばかりなのも凄いですが、製作費が2億ドルというネトフリ作品の天井となっているのが凄まじい限りです。
ちょっと調べてみると、最初の『アベンジャーズ』(2012)の制作費が2億2000万ドルだそうなので、超大作映画と同等の規模感ということになりま・・・わお。
内容的には概ね満足でしたが、いささか勿体無いな~という場面も散見されましたので、良かれ悪しかれの所感をポロポロ綴っていく所存でございます。ネタバレございますのでお気になさらばお控えなすって。
それでは・・・・・・・・・・・・・・・ドーー----ンッッ!!
Ⅰ. 作品概要に絡めた良し悪しの数々
スパイアクション小説の大家トム=クランシーの共著者であるマーク=グリーニーのベストセラー小説「グレイマン・シリーズ」が原作とのことで、奇抜さは無いものの反面非常に手堅く綿密に展開と世界観が練られていて、それをスピーディーなカーチェイスと流麗なアクションと演出で最新アップデートしています。物語としての土台がしっかりしているので、そのぶん映像化の華を演出するのに時間と労力を割けた、ということでしょうか。
※ちなみにトム=クランシーといえばジャック=ライアンシリーズ、ということで日本でのシーズン3,4のアマプラ配信日はいまだ未定のまま・・・こっちもわりと好きなんだけど。(・ω・)
その一方で、原作複数巻にまたがった上に大幅に脚色されているゆえか、設定を生かしきれていないないし展開を端折り過ぎかという面は散見されました。例を挙げれば、冒頭の服役中の主人公がCIAにリクルートされて秘密暗殺者となってすぐに18年後に移るもののその間のエピソードが後追いででも挿入されず人間性の変遷の描写が希薄であったり、そもそものタイトルとなっている、「身を隠すのが巧みで、"グレイマン(人目につかない男)"と呼ばれる」というコードネームに因んだ演出も為されているとは言い難く・・・。特に後者に関しては人質取られてあっさり姿現したり、タイマンのガチンコ勝負快諾したりしとるし。
あとはビジュアル面に関してはちょっと微妙で、主人公は基本的に戦闘にもキャラ付けにも上手く寄与しているとは思えないジャージ姿が基本で、それに呼応するように敵もヒロインもあんまり人間性の見えてこない無難な出で立ち。それこそ『007』シリーズみたいにあからさまなスタイリッシュである必要は無いけども、主人公のキャラクター性にイマイチ乗り気れなかったのはそのへんかも。
また、不都合な真実を知った主人公シエラ・シックスを葬るためにCIA本部長が雇った今作の仇敵にして拷問のスペシャリスト、クリス=エヴァンス演じるロイドが満を持して主人公の元上司に仕掛けた拷問が生爪剥がし、というのがなんとも拍子抜けしてしまったのも正直なところ。これだけの大作なので視聴年齢制限の掛かるような過激過ぎる描写は避けられるのは分かりますし、”原始的な拷問ほど効果的”みたいな言説もよく耳にしますが、そこは映像的に上手くアップデートしつつロイドの異常性の顕現としてももう少し上手くアレンジしてほしかったところではあります。
とはいいつつも、終盤のゴズリングVSエヴァンスのガチンコアクションはやはり見もので格闘巧者同士の凄みが有り、尺としてはさほどではないもののさすがの印象を残しています。
お色気要素に関しては、『ノー・タイム・トゥー・ダイ』では濡れ場こそ無いもののその抜群のプロポーションを見せつけていたアナ=デ=アルマスが極めて低露出なことが象徴的なように、各人あくまでミッションに忠実でストイックであり、解り易い下卑たキャラクターを登場させないことでアクション映画としての定石を拒否し、純然たるスパイアクションとしての面白さで勝負しようという原作とそれを元にした本作の意気込みは顕われているようです。
次作への露骨な"引き"が無くスルッと終わったことも好印象ではありましたが、せっかく原作小説のストックがたんまり有るからには続篇も期待したいところです。
もちろんそのためには莫大な製作費を回収するだけの評判と視聴回数をゲットすることが最低条件だとは思いますが。
Ⅱ. キャストについてひとことふたこと
・シエラ・シックス / コート・ジェントリー役 - ライアン・ゴズリング
今作でも抜群の安定感というか、いささか無難というか。
血生臭い世界で生きている反動か、かつての上司の姪っ子であるクレアに対する慈しみようはまるで『カリオストロの城』でのルパンのクラリスに対するそれのような紳士ぶりだったので、そこをもうちょっと昇華出来れば尚良かったかも。
せっかく単発作品でのヒットが続いているので、アクションや言動にもう少し独自性を出して、ゆくゆくはキアヌ=リーブスの『ジョン・ウィック』シリーズやマット=デイモンの『ボーン』シリーズみたいな自身のライフワーク的な代表シリーズ作に本作が成ると更なる高みになるやも。
・ロイド・ハンセン役 - クリス・エヴァンス
凄腕暗殺者にして雇うにはヤバすぎるタガの外れたサイコキラー。
上のほうでも書いたけど、ブッ飛び具合を表現するには若干拷問表現が古式騒然としてたのは玉に瑕。
ビジュアル的にそこまで強烈な個性が無いのが幸いしてか、フィルモグラフィー的にもMCU卒業後の"脱イメージ"が最も上手く行っている感が有るので、善悪のスイッチのみならず非アクションでもどんどん開拓して今まで以上に違う顔を見せていっていただきたいところで。
・ダニ・ミランダ役 - アナ・デ・アルマス
シックスを巡る大捕物に巻き込まれながら彼と直接相対し、その人柄から彼に協力することを自ら選択した文武両道のCIA才女。
美女は美女でもその挙動がどことなくクスッと来るようなコメディエンヌの雰囲気を感じるので、個人的には今後はそちら方面の作品での活躍も期待したいところ。アクションについてもさらに磨きがかかっていて特にガンアクションは勝手知ったるなんとやらの安定感でしたネ。
Ⅲ. おしまいに
というわけで今回はNetflixオリジナルの独占配信映画『グレイマン』のお話でした。
ネトフリ史上最大の製作費を投じて打ち出されたある意味手堅くある意味挑戦的なアクション大作。これだけお金掛けたからには続篇の暁には失敗できないだけでなくスケールダウンも許されないリスクも大きいですが、万難排して是非ともシリーズ化を期待したいところです。
他にもおススメの配信アクション作品ございましたらコメントいただければ恐悦至極にございまする。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
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