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応援ラボの活動報告~第4回勉強会~

2020年8月7日、オンラインにて、「親子・子育て応援ラボ」の4回目の勉強会を開催しました。

講師: BONDプロジェクト代表 橘ジュンさん

生きづらさを抱える10代20代の女の子たちを守り、支え続けるBONDプロジェクト。


コロナ禍において街の見回りも継続し、オンライン相談も開始。彼氏から望まない性行為を強要されて1人で苦しむ少女、臨月を迎えた身寄りのない未受診妊婦や、暴力を振るう配偶者から小さなお子さんと一緒に逃げてきた若い母親など、どんな相談にも向き合い、一緒に解決策を探して活動し続けてきたBOND代表の橘ジュンさんから、行政の支援につながらない少女たちの現状と課題について伺いました。

BONDプロジェクトとは

もともとは、ライターとして、VOICEという本を作るために、繁華街で気になる子、たとえば、お金がないから援助交際をしている、家出してきたばかりの子らに声をかけたところから始まった。話を聞く中で、妊娠している子たちにも出会い、聞いているだけではどうにもならない、放っておくわけにはいかないと、相談窓口を紹介するなどしていたが、アポをとっても、当日あらわれず、結果として駆け込み出産になってしまうようなことがあった。
そこで、困っている子どもたちと必要な大人、必要な支援につなぐ接着剤的な役割をしたい、とBOND(ボンド)プロジェクトを始めた。

〇聴く~ありのままの声を聴き、表現できる場をつくる
 LINE相談、メール相談、ネットパトロール、街頭での声掛け 等
〇伝える~女の子の声を知ってもらう
 フリーペーパー「VOICE」
〇繋げる~一人一人に見合った支援、大人につなぐ
 弁護士と連携し、専門機関につなぐ、一時保護 等

といった役割を担っている。

女の子たちの現状


家で虐待を受けていて、食べるものがない子さえいる。でも先生に相談すると親に伝わるのではないか、家で口外するなと言われていたりして、学校では家のことは話せない。大人を信用できない、といった中で、生きるために、家出。家出=非行ではなく、生きる手段として家出しか思い浮かばないという状況がある。そして、外で寝るよりはましだと、SNSで居場所を求め、声をかけられた人についていくなど、女の子たちを利用しようとする大人とつながり、性的搾取や犯罪などに巻き込まれていく。

支援の現状


厚生労働省の「若年被害女性等支援モデル事業」(今年度までの3年間)で、

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① 街に出て声をかけるアウトリーチ支援
② 犯罪に巻き込まれる前に安全な居場所を確保
③ 自立支援

を行っている。

課題


〇暮らす場所がない、生活困窮、家出に関する相談などが多く、ニーズや必要性が高い。
一時的にでも安全を確保し安心して過ごせる場所を増やしていく必要。
〇虐待や被害体験等によりカウンセリングなどメンタルケアを必要としているケースが多い。
⇒費用を自腹で出さなくてはいけない現状。そうすると、続かない。被害届を出さなくても適切なメンタルケアを受けられる費用支援を。
街で声をかけた時に、コロナ疑いの症状があった場合の対応

望ましいと考える居場所・支援の形


ネットカフェのように気軽に立ち寄れる場所があれば、そこから相談につながっていく。疲れ果てて被害を言葉にもできない場合も多い。まずは、落ち着いて考えらえるような場所を確保することが必要。

参考図書:
〇「婦人保護事業から女性支援法へ ― 困難に直面する女性を支える」
https://www.shinzansha.co.jp/book/b524908.html
〇「最下層女子校生~無関心社会の罪~」(小学館新書)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09825262

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<質疑応答>(抜粋)
Q)家出した子に出会ったらできることは?
A)まずは相談先の情報提供を。相談するタイミングが今でなければ、何かあった時に思い出してよ、と教えてあげる。家で電話で相談をするということが難しい場合も多いので、LINEやメールの相談先を。

Q)誰が支援を担えば子どもたちは来やすいのか。
A)結局は、本人次第だが、切羽詰まっているタイミングでは正しい選択ができない。本人がどうしたいかを決められるまで、細く長くつながりながら支援する。それは民間の団体がやりやすい。一度離れても、困ったら戻ってきてくれて、支援できる関係性を意識している。
一方、行政は、一度でも支援の枠組みから離れてしまうと、再度その枠組みに入れてもらうことが難しい。

Q)親についてはどうするのか?
A)親から相談される場合もあるが、親御さんと子どもの立場の違いで、受け止め方や言葉も違う。親御さん向けの相談先を紹介する。
子どもを一時的に保護し、落ち着いて自分がどうしたいか、どういう大人になりたいかを考えてもらい、メンタルや体力がついた時に、子ども自身が親に向き合うことも。

編集後記:
東京都と区市町村の連携も含めた行政の支援のあり方について考えさせられると共に、行政では担えないような当事者目線の丁寧かつ柔軟、そして粘り強い支援を行っているBONDプロジェクトさんのような民間団体が活動を充実させられるような支援も非常に重要だと改めて感じました。(東京都議会議員/品川区選出 森沢きょうこ)