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【お茶師日記4】 一番茶が本格化

2019年 4月28日

いよいよ大型の機械で製茶

 この日から120㎏ラインでの製茶が始まりました。
これまで、少量の35キロ機で製茶していましたが、朝、出勤すると社長が「120キロ機で3つ、葉っぱを流すから、製造頼む!」とのこと。
「今、蒸し始めた。生葉はコンテナの3番に入ってる。葉打機のプールに80㎏くらい入ったら一旦、搬送コンベアを止めて、Tさんの35キロ機の分を蒸して、終わったら残りを蒸してね」
ん?? 頭の中で咀嚼するまもなく、それぞれの機械操作を一通り指示されます。
「搬送コンベアのスイッチはここ。葉打機は節約のために火炉のバーナーは止めてあるから葉っぱがプールに半分くらいたまったら点けてね。風量を絞ってあるから直前に目盛り80くらいに上げてね。葉打機が“取出し”になったらこのスイッチで主軸回転を止めればエア(コンプレッサー)が切れる。掃きだしたら回転を戻せば、下の蓋も閉まるよ。ただし粗揉機は、主軸を止めてもエアーは切れない。エアーを切って下蓋を開けてね。中揉機の風量は、インバータのダイアルで50くらいから。火は、排気温度を30℃以下にするときコックを絞って調整してね。精揉機の釜は65℃くらいかな」
…というようなことを、もっと省略して矢継ぎ早に伝えると、どこかへ行ってしまいました。

機械操作であたふた

 自分は製茶の経験は十分に積んでいるつもりですが、何しろ初めて扱う機械です。この工場は5台の生葉コンテナから3種類の蒸熱装置、3種類の製茶ラインが複雑にクロスしたラインで、そこら中に制御盤やスイッチがあって、見ただけでは生葉がどこをどう流れているのかすらわからないくらいです。
しかし「わからない」などと言っていられません。すでに蒸した葉がどんどん120㎏ラインの葉打機のプールにたまりつつあります。言われたことを反芻しながら、一通り機械やコンベアを確認。わからないことだらけですが、操作はやりながら覚えるしかありません。
 120キロラインは、多少自動化されていて、葉打機と粗揉機は熱風量、熱風温度、回転数などは、あらかじめ設定しておけば、経過時間ごとに段階的に調整してくれます。また工程送りは、時間で設定しておけば自動的に排出し、次の機械に送り込んでくれます。
 なので、葉打機に茶葉が入っている間に粗揉機の操作法を確認し、設定を調整、粗揉機に入っている間に揉捻機や中揉機の確認してみました。古い機械なので制御盤の扱いは若干なじみがあります。
 途中、いくつも困ることはありましたが、過去の記憶や経験を思い出しながら、またちょうど工場に来ていた生産者に教えてもらいながら、なんとか120㎏3つを精揉機まで終わり、乾燥機に送り込みました。
 社長や副社長は、生葉の受入れもあるし、自分たちの茶園の摘採作業もあります。またもう一つの180キロラインの操作、設備の不具合、さらにはマスコミの取材などで、めまぐるしく工場内外を動き回っていて捕まらないのです。

ようやく本日の分、終了

 その後も、生葉の搬入があり、製茶は夜まで続きましたが、一息つくと、社長、副社長が「今日は助かりました」と言ってくれました。
当然、お給金をいただいて働いているので役に立たなければしょうがないけれども、それでも、何とか自分がここで役に立てそうだと実感できた日でした。

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