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愛岐トンネル群 秋の特別公開2022

JR中央線の定光寺駅と古虎渓駅の間には、旧国鉄中央線の愛岐トンネル群がある。明治時代、まだ中央線に蒸気機関車が走っていた時代の線路とトンネルで、現在のJR路線とその下を流れる玉野川(庄内川上流)の間を通っていたが、昭和41年、新たな線路が敷設されて運用開始になると同時に廃線。約50年間埋もれていたところ、2007年より有志の市民によって調査が開始され、現在は「NPO法人 愛岐トンネル群保存再生委員会」による管理の元、近代産業遺産の認定を受け、春と秋に期間を限定して特別公開を行っている。

最初にこのトンネル郡を訪れたのは、2016年の秋の公開時。職場の友人たちといっしょに遊びに来た。紅葉が見事で、古いレンガ造りのトンネルと素敵な対比が生まれていたり、すぐ下を流れる玉野川の景色が絶景だったのをよく覚えている。また訪れたいと思いつつ、なかなかチャンスがなかったところ、以前オーケストラでいっしょに弾いていた友人から声がかかり、今度はびおら仲間での再訪となった。

景色の美しさやトンネル内の趣向は以前と変わらず、そしてトンネル付近の散策路はずいぶん充実していた。遺構の解説、子どもが遊べる仕掛け、SLの存在を感じさせる演出、ミニコンサートの開催など。さらに少し寄り道をして新たに入れる場所が増えている。天気さえよければ、朝10時に入場して、閉鎖時間の15時までたっぷり楽しめる。

個人的なツボは、暗渠の中へもぐれるようになっていたこと。まるでダンジョンを探検する気分になり、テンション爆上がり。

暗渠の突き当りから空をのぞく
廃線整備中に発見された
さまざまな落とし物
竹林広場の紅葉。
水車広場の上にある「山の神 とんがり岩」。
上の方まで歩道が作られ、間近で見られるようになった。
玉野古道わきの「もみじ山」から
玉野川方面を見下ろした景色

愛岐トンネル群のわきを「玉野古道」が通っている。古道というくらいなので、戦国時代あたりから存在したのかと思っていたら、そうではなく明治になって、多治見の陶磁器を名古屋方面へ運ぶ近道として開発された道で、人馬の他、荷車なども通行可能な有料道路だったという。多治見から名古屋方面へは内津峠超えの下街道があったが、山道をゆく難所で、それで川沿いの平坦な道が必要とされたからだが、中央線の開通工事のため開通後わずか一年で寸断されて使われなくなり、幻の街道になってしまった。愛岐トンネル群保存再生委員会は、玉野古道の保存もあわせて行っている。

マルシェにはお弁当やおやつが山盛り、平日でもミニコンサートが開かれていて、とにかく人が多い。土日はもっと混むのだろう。過去の入場者数が公開されていたので、ちらりとのぞいたところ、秋の特別公開時の入場者数が近年すごい勢いで伸びている。

入場料はわずか100円、食べ物はとても良心的な値段で、ペットボトルのお茶(500ml)にいたっては1本100円だ(自販機で買うと150円はする)。観光客としてはとてもありがたい値段設定だが、これだけの貴重な遺構を有志市民に頼りながら管理しており、ゆくゆくは県境を超えて多治見市側のトンネルも整備して公開したいとのこと。費用のことを考えると、もう少し高くてもいいし、何なら流行りのクラウドファンディングを試してみても良いと思うのだ。

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