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ちょっとだけよ?

大規模な展覧会の開催が難しくなってきている中、愛知県美術館ギャラリー(8F)では、「ジブリの“大じゃない”博覧会」が開催されている。それを知ったのは7月上旬のこと。数日後、友人を誘ってチケットを予約した。その時はさすがに名古屋で一日あたりの感染発覚者数が100人を超える日が続くことまでは予想していなかった。この時期に繁華街を抱える栄まで出るかどうか迷ったが、伝染るときには何をしていても伝染るからと腹をくくり、できるだけの対策をした上で友人と出かけることにした。

展覧会の内容は、展示物からいえばホントにジブリの作品世界のサワリにもならないくらいの分量だが、そこはプロ、最近の流行、つまりSNSへの投稿熱をふまえ、写真が映える展示を用意したり、遊び心をくすぐる仕掛けを用意したり、今後を期待させる美味しい資料もうまく混じえて誤魔化し……いえ、展示を作ってある。実は、案内パンフでも書かれているように準備期間はおよそ一ヶ月しかなかったのだという。それで感染症対策にも配慮し、なおかつある程度ファンを楽しませる企画展示をしなくてはならなかったのだから、よくぞ引き受けてくれたなあと驚く。

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入場が完全予約制ということからすでに入場時の管理の厳しさは予想できたが、うん、お手本になるレベルだった。まずチケットには必ず名前と連絡先を書く。指定された場所の指定されたマークの上に立って入場待ちをする。当然体温チェックや手指の消毒あり。展示室内には、約10人ずつおよそ5分おきに入る。観覧はおおむね1時間以内、写真撮影のときもマスクは外さないよう求められる。案内スタッフや監視員は多数配置。多少の窮屈さを感じないでもなかったが、混み合わないので作品を落ち着いて見ることができたし、写真を撮るにも人の切れ目を待つ必要がなく、スムーズに好きな角度から撮れた。いっそ、有名画家の作品展もこういう入場制限をしたほうがクオリティの高い鑑賞体験ができるのでは、と感じたくらいだ。そうすれば「黒山の人だかりを見に行っただけ」と嘆く必要もない

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実際の展示はどんな内容だったかというと……
・宮崎吾朗監督の最新作「アーヤと魔女」のビジュアル公開
・閉館中の三鷹の森ジブリ美術館より実物大&モフモフなネコバス
・これまでの作品の有名シーンを再現した特大パノラマ
・2022年開園予定のジブリパークの詳細イメージ図&ミニチュア模型
・湯婆婆のおみくじ(スペシャルボイスつき)
どのコーナーも、ジブリファンには懐かしかったり楽しかったりして満足度は高い。

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そして、何よりコレ↓
・宮崎駿選・岩波少年文庫の50冊
すでにアニメ化されたもの、お流れになったもの、今後可能性があるかもしれないものも含めて、監督が面白いと思った児童文学書が、ぎっしり手書きのコメント付きで紹介されている。これはディープなファンほど垂涎モノの企画ではないかと思うのだ。岩波少年文庫なので、世界中の児童文学や児童向けにリライトされた古今東西の神話・民話が収録されており、「物語」そのものがもつ根源的な力を示してくれるものだったりする。これは監督のコメントもふくめてぜひ、手元に欲しい資料だと思っていたら、なんと! 地下のアートショップでジブリ関連のグッズを一定金額以上買うと、特別サービスとしてついてくる! もちろん買いましたとも。おまけ狙いでグ●コのキャラメルを買う子どもの気分で。

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