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「呉に行ってきた」(24年3月21日の記事)

 私事だが足を痛めて壊してしまったので、ごく狭いエリアだが「呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)」と「海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)」に行ってきた。ほんとうなら川原石も、入船山も行きたかったが仕方がない。足はしっかり治すことにする。

 さて、気を取り直して。

これだよこれ!!

 まず「海上自衛隊呉史料館」──いわゆる「てつのくじら館」にはなんと10数年ぶりに訪れた。何度か通りがかってはいたのだがこちらのタイミングが悪く入館できなかったり、誰かと一緒で遠慮して行きそびれ……が年単位で重なってこんな時間が空いてしまった。
 常設展示は、当然ながらこの訪れなかった期間にあったできごとのさまざまが新しく展示され刷新されており、変わらぬところは変わらぬままで発見と懐かしさの両方を新鮮な気持ちで楽しめた。
 何よりも、10数年前の自分と解像度が違うことが感じられたのが自身で興味深かった。前回訪れたときは、掃海という仕事があってこんなものが浮いていて潜水艦はこんな暮らしで……といううっすらした感覚だったことはよく覚えている。それが、記憶はそのままにずいぶんと以前より近く感じた。
 以前、大和ミュージアムってこんな展示だったっけ! と驚いたことがあるのだが、似たような変化が自身にあったのだろう。視座の変化まではいかないが、知ったことが増えたのだと思う。

 そして、「砕氷船しらせ」についての特設展が開催されていた。

 「しらせ」の仕事のほか、「しらせ」の模型や防寒服、採取物が展示されている。フォトスポットもある。ペンギンもかわいい。親切。潜水艦「あきしお」を通り抜けた先にある、3階のほんの一角だがものすごく良かった。

とにかくペンギンまみれだ
なんだそのポーズは
記念撮影だ

■「特設展 砕氷船しらせ」
 てつのくじら館3階 自衛隊情報コーナー
 入場無料 3/20〜10/14
 火曜休館なので注意

 また、てつのくじら館ではカフェで「呉総監☆ドッグ」と「呉氏のプカプカフロート」をいただいた。呉氏のクッキーは写真を撮る絵にちょっとだけ水没させてしまった。すまない。

 「呉総監☆ドッグ」は、愚直たれというカレーソースと胡桃がサンドされているホットドッグだ。愚直たれとソーセージが美味しい! の中に胡桃がアクセントとして食感に入り込んでくるのがまたウマい。
 案内やポスターを見るに、なにやら肉じゃがドッグと対決? しているようだったが、あいにく肉じゃがドッグは品切れしていた。惜しい。

 のんびりもそこそこに、その足で「呉市海事歴史科学館」こと「大和ミュージアム」へと向かう。
 なお、昼食はミュージアムそばにある「シーサイドカフェ ビーコン」で「さみだれカレー」をいただいた。

 中辛くらいのカレーに福神漬が美味しい。相変わらず好立地で、どこの風景も好きだ。外のオジサンも古びながらいい雰囲気を出している。

いい景色だ

 じつは今日ここにきたのは、「大和ミュージアムの企画展行ったろ!」と思い立ったからである。
 「日本海軍と航空母艦」、こちらの企画展。ご存知な方はご存知なように、好評につき会期が3月末から6月まで延長されている……ので、もうすこし後ろに持ってくるつもりだったのが諸事情あり、気分転換を兼ねて本来の期間中にやってきたというわけだ。

 呉駅に降り立ったときも思ったが、春休みということもあってか科学館内は祝日明けの平日と思えないほどの客がたくさんいた。
 先日、保安大学校寮から掘り起こされた旧海軍の火工品機械工場跡の発掘調査報告のミニ企画展も開催されていたのだが、そこで耳をそばだてるに観光客だけでなく地元の人もどうやら訪れているらしかった。その後の足取りをみるに、目的は同じのようだ。

 私は艦に詳しくないが、周りからの影響もあってなんともいえないむずがゆい気持ちを抱えている。かなしさのような苦しさのような、栄光と挫折に近いような、そんなむずがゆさだ。
 それもあって、今回の企画展に足を運んだ。“それもあって”ということは別の理由が、というのはそのとおりで、この企画展の告知ポスターデザインがひじょうに優れていたのだ。ものすごくデザインが良かった。それもあわさって、行くぞ! になった。

 展示場のレイアウトも優れており、とにかく企画者と設営者の意気込みを感じた

 インパクトのある設営とともに、航空母艦にまつわる日記などの記録や設計図などの資料がたくさん展示されている。個人的には、パネルによる写真展示も多くてとても学びになり良かった。
 詳しくないゆえに、具体的にどこのどうがどれでよくて! と言えないのはもどかしいが、かつての客船たちには特に思い入れがあるので食い入るように眺めた。

 そして、今回の展示で最も(レイアウトに次いで)「おお!」と感嘆の声をあげそうになったのは、デジタル活用展示である。

これがものすごいのだ

 下のパネルで閲覧したい艦を選ぶと、その艦のさまざまな設計図が目の前の大きな画面に映し出されるといったものだ。展示では見きれない細かいものを大画面で堪能できる。人の多さの割にここだけ人がすごく空いていたので、いろいろとわからないなりに触れて楽しんだ。

■「第31回企画展 日本海軍と航空母艦」
 大和ミュージアム1階 大和ホール
 入場は入館料合わせて800円
 会期延長〜6/2まで
 火曜休館なので注意

 また常設展示もササッとだが観覧した。
 いつも、回天のところを通るのがなんだか心が苦しくなって苦手なのだが、今日はスロープでぐるっと上にあがって、遺言の録音を聴く人間のすがたをしずかに眺めていた。狭くはないがスペースとしては比較的閉ざされた空間に、何十年も前の男性の声が何度も響き渡り反響する。それを、人が聞いている。途中で立ち去る人もいたり、じっと黙って聞いている人もいる。それを見ていた。

 そこからは「未来へ」のスペースへ向かう。ここからはあまり人が多くなかった。大和ミュージアムは、大抵の人はあまり2階より上にあがってこないイメージがある。
 3階のスペースでは、「戦艦『大和』の最期」という映像が流されている。シアタールームに入る前には、歴代名誉館長などのメッセージが並んでいる。

 ここからは、特に展示とは関係ない、帰りながら考えたメモの転写である。
 それを最後の感想に代えて、あと今日のお土産写真も付け加えておく。以上。

なんつか、大和は本当に「宇宙戦艦」で永遠になったんだなと思った 在り方があまりに切ないけど、空想の海を彼女はずっとゆけるのだなと……松本零士先生も今ごろ乗せてもらってるろうか、とか考えてしまった

松本零士先生は大和を空想から再び海に送り出したのだから 創作というもののよさというか 言葉が軽いけども偉人なんだよな、て思う

ほかの船は? と思う自分もいるんだけど、大和はなんかやっぱり不思議な惹きつけがあるんだよな というのを改めて考えたりしました

熱心に宇宙戦艦の話をしてる人がいてなんか そういうかたちだってあるよなって それが与えられたんだよなって なんか こう

創作をする人間だから、それがプロでもアマでも過去を掬う意味と成果をよく考える

〈永遠性〉という付加を考えたときの松本零士、ほんとうに
そうなんか、あれだ、星座になったみたいなんだ 銀河の中に召し上げられたようなんだな戦艦大和はまるで

たぶん自分が今日感じたことよりもっとたぶん、無意識で深く何かを感じ取って考え続けてると思う 行ってよかったです

高橋SNSより
後悔はしてないが大変な散財をした

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