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葬儀社のはなし

記憶が薄れていく前に書かないと(笑)

昨年の6月に父が入院した際に担当看護師さんに「状態が落ち着いて退院して、食事が摂れないことが多いからこの先何年も生きるってのは難しい」と言われて
そこで初めて父の死というものを考えはじめた。
寝たきりだろうと認知症だろうと足が腐っていようとも
まだあと5年は生きると思っていたから。

葬式っていくらくらいかかるんだろう?
まだ流行り病も収まっていないのに大々的に葬式ってするんだろうか?
誰を呼ぶんだろうか?

不謹慎ながらいろいろ考えた。
数年後でも明日明後日でも対応できるように。

30数年前母が亡くなった時は日本の景気はとてもよくて。
父も現役で働いていたし。
自宅で葬儀を行うような時代だったし。
家から見える大通りには花輪が何メートルにもわたり建てられ
自宅にはひっきりなしに人が来て
近所のおばちゃんたちがいっぱいお手伝いに来て
庭に滝が出来て
いま考えると一体いくらかかったんだろう?って葬儀だった。

正直、父はもう隠居し。友人もほぼ居なく。
わたしも交友関係全然知らないし。
兄弟くらいしか参列しないだろうと思った。
遠い親戚もいるにはいるけれど、もう交流もないし。
わざわざ来ていただくには申し訳ない。
さすがにわたしだけで送るのは、父の兄弟に怒られるだろうから
質素なお葬式でいいやと思った。

そうなると葬儀社はどこに頼むのか。
やっぱり農協なのか?福祉葬祭なのか???よくわからん。
とりあえずわたしは現代っ子なので(笑)
ネットを駆使して「小●なお葬式」に登録をした。

父の現状を登録しておく。
万一の時にここに連絡してくださいってカードと資料が送られてくる。
先に登録しておくと「早割り」みたいなものもある(笑)

小●なお葬式は、それ自体が葬儀社ではなく
そこから地元の葬儀社にいくシステムなんだけれど
地元で最近増えてきた「さ●み典礼」が我が家の担当になった。

父が亡くなってカードを取り出して電話を入れて
夜遅くに長髪の若い男性がドライアイスを入れに来た。
きっとバイトの子なんだろうな。
着なれない喪服が印象的だった。

お寺に電話することや打合せの日程なんかを電話でやりとりして
翌日に同い年の男性が来た。
「質素なお葬式でいい」「みっともないくらいにはお金は出す」
「あとは父の兄弟たちに話をしてから決めたい」
そう伝えた。

ある程度の日取りや段取りを聞いたけれど
父が亡くなったのは水曜日。
翌週月曜日にならないと本格的な打合せができない。
火葬場も混んでるけれど葬儀社も多忙なのだ。
その間に、遺体をどうするかとか葬儀は早められないのかとか
ひと悶着あるんだけれど。
結局は火葬場の都合とわたしの入院との兼ね合いで
亡くなってから9日後に葬儀になった。

本格的な打合せ当日。
父の兄弟たちとのLINEグループを使いながらの話し合い。
生前父は90キロ以上あったことがあって
「痩せておかないと棺桶特注になるか段ボールだよ!」なんて冗談を言ったりしていた。
最期はやせ細っていたので、普通サイズでよかったけれど。
それこそ棺桶にグレードがある。
霊柩車にも。
葬儀会場の入口に「●●家葬儀会場」って看板を立てるかとか。
生花は誰が出していくつ出すのかとか。
火葬場までバスは出すのかとか。
火葬場で食事はするのか。
遺影の写真はどれを使うのか。
背景はどうするのか。
喪主のあいさつはいつするのか。
献杯の音頭は誰がとるのか。
決めることはたくさんある。

当時のLINE(笑)

生花が少ないとお棺がスカスカで可哀想だとかで
わたしは自分が豪華なやつにして
あとは「兄弟一同」でいいんじゃないかと思って
それじゃスカスカじゃないのか???とか
葬儀社に聞いてみろ!とか色々あったけど
結局お棺の中は蓋がしまらないくらいの花だったよ(笑)

それでなんとか恙なく?たどたどしくも葬儀を終えてひと安心と思っていたら
翌日には位牌の打合せ。
位牌も母のは立派なので合わせるのかとか。
母と同等の位牌にすると…30万以上する…
そんなの正直バカらしいとわたしは思うので
わたしかカッコいい!と思ったやつにする!(笑)55,000円(笑)

その打合せの時に、相続の悩みはあるかとか。
遺品整理は必要かとか。
その他諸々、手広くやってんだな~って関心するくらい
いろんな話もされた。
相続するものはなにもないし。遺品整理も必要ない。
困ったことがあったら相談させてくださいと。

その後…毎日のように電話が鳴る。
「遺品整理のパックがあります」
「相続でお悩みの際は…」
「投資の…」
思うんだけど、各部署と大元が連携してないんよな。
暇さえあれば四方八方から電話がくる。
正直こちらは疲れているし。
ゆっくりしたいのだ。
情緒不安定な中、とりあえずよそ行きの声で電話をとるけれど。
放っておいてほしいのだ。

数度目かの電話の時に
電話先のお姉さんを怒鳴ってしまった。
「いい加減にしてほしい!位牌を注文したときに全て聞いた。必要がないと伝えてある!きちんと連携して欲しい。近しい人を亡くして疲れ切ってるときにする所業じゃないよ!!!」
それからわたしに一切の電話はない(笑)
たぶん要注意リストに入れられている(笑)

思っていたより安価で父を送り出すことができたし。
みっともなくもないよい葬儀だった。
とても満足している。
ただ大手で手びろいが故に、各部署が必死なんだろうと思う。
もうわたしが葬儀を取り仕切ることはないけれど。
もし必要になったときは、利用してみてもいいかもしれないよ。

書かれてる代金と違いすぎる!って文句をよく見るけど
最低価格だからね書いてあるの。
そこからなんやかんや掛かるからね。
それ以外にもお布施だったり食事代だったり香典返しだったり
いろいろ掛かってくるからね。
四十九日もすぐ来るし。
質素にしてたって数百万は飛ぶんよ。

わたしひとりで送ったらそれは少なく済むと思う。
でもさ。まだ動ける兄弟たちもいて。
あんな父でも慕ってくれてたいとこ達もいて。
それを呼ばないわけにはいかないじゃん。

未だに遠い親戚や近所の人には父が亡くなったことは話してない。
たまたま顔を合わせて「お父さんどう?」って聞かれたら答えるけど。
それでいいと思う。


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