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アパレルで法務を担当することになった時に、手元にあると良い本。

1.はじめに

多くの企業で新年度がはじまり、新卒で法務に配属された人、転職をして新天地で法務を担当される人がいらっしゃることと思います。自分の新卒の頃や、今の会社に転職した時は、今のような(ツイッターやツイッターやツイッター。。。)情報の在りかもよくわからず、書籍も、目についたものを買うような形で無駄が多かったように思います。今は、クラウドサインのはっしーさんのマンダラや、kanekoさんの新人法務におすすめした本 等、素晴らしいエントリーが多くありますので、上記のような方は、ぜひ、これらをご参考にされると良いと思います。

とは、いえ、ファッションローを中心のテーマのひとつにしている私のnoteでも、非常にニッチな、アパレルで法務を担当される方向けに、すこしだけ書籍のご紹介をしてみたいと思います。ご参考になれば幸いです。あげだすとキリがないということもあり、かなり絞り、独断と偏見でチョイスしておりますので、ご容赦ください。

2.おすすめ法律書籍

(1)契約書レビュー

1冊目は、こちら「取引基本契約書の作成と審査の実務」です。アパレル業界で件数として多い契約書に、売買契約書があります。本書は、売主提示型、買主提示型の双方の文例が掲載されており、いわゆる仕入れも卸もあるような、日本の多くのアパレル企業では、1冊あると重宝すると思います。

2冊目はこちら、契約の法務です。業界にはいってわかったのは、本当に当業界は、契約を結ぶ慣習がないということで、そもそも契約がない、取引内容と契約書の内容に大きな乖離がある、等々、契約書レビュー以前のトラブルが発生することがあります。そういった場面での指南書として活躍してくれるような本だと思います。
 なお、契約系の本は、本当にたくさんよい本がいっぱいあり、正直にいって、全然決めきれませんでした。いろんなものを本屋で確認されて、業務にフィットしそうなものを選択するのがよいように思います。

(2)知財系

アパレル分野の知財となれば、基本的には、この本1択です。ファッションロー分野の基本書といえる1冊です。発売時点における、同分野の知財系裁判例については、ほぼ掲載されていると思いますし、広い知財領域を網羅しています。

アパレル分野に特化しているわけではありませんが、密接に関係するデザイン保護について、多くの事例を取り扱っています。空間デザインについて、言及されている点は(近時の意匠法改正は未対応)、アパレル業界としても、参考にすべき点があろうかと思います。

(3)表示確認

アパレル業界は、ノベルティや広告表示により販促活動が多い業界です。そのため、表示や販促施策の確認は、相当数発生すると思います。この分野は、この書籍を推す方が多いと思いますが、私も同感です。いろいろ確認しても、最終的にこの書籍に勝るものはないのではないかなと思います(この本や行政の出しているQA的なもので解決しないようなものは、弁護士に相談するという方がよいのかなと思います。)

(4)その他

華やかに見えるアパレル・ファッション業界ですが、(当たり前ですが)製造業の側面も有していますので、この本は、かゆいところに手が届く事例掲載で頼りになります。下請法等もカバーしており、良書だと思います。

今更、私なんかが、紹介するまでもない、著名な本ですが、アパレル企業の多くが、ECサイトを有する昨今。必須の書籍かと思います。

コロナ禍、繰り返される緊急事態宣言によりアパレル業界はかなりなダメージを受けており、私自身、昨年から、(手遅れのものも含め)債権保全の対応が増えています。対応にかかる書式例・文例も掲載されており、非常時に助けられる1冊だと思います。

3.おすすめの法律以外の書籍

おそらく、新卒からずっとアパレル法務畑を歩き続けているという方は、あまり多くないのではないかと思っています。かく言う、私も全くの別業種からの転職です。そのような人向けに、専門用語が多いアパレル業界で、法務屋さんとして、サバイヴしていくに、助けられた書籍を少し紹介したいと思います。

服作りから店舗マネージメントまで、幅広く、特集してくれる雑誌です。入社してから、しばらく、(社内にあったので)バックナンバーも借りて読んでしました。勉強にもなりますが、普通に面白いです(笑)

知財分野(不正競争防止法や意匠法)では、類似品対応(もしくは侵害回避のための)の一環で、被服の類否検討することが多くあります。事業部としっかりとコミュニケーションをとるためには、パターンや被服のパーツの名称等には明るくなっている方がベターであり、その点で有益な本です。同様の趣旨で、文化服装学院がだしている教科書が参考になりますし、ほかに以下の本を挙げておきます。

さいごに紹介するのは、業界の人間では、知らない人がいない、WWDと繊研新聞です。WWDでは、2019年にファッションロー特集が組まれたり、積極的にファッションローをテーマにした記事が掲載されています。

繊研新聞では、ファッションローの著者に一人である関弁護士が、連載をもっています。「いまさら聞けない、納品トラブル回避のための法律知識①」といった、身近なテーマが掲載されています。

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