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妄想

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フィクションとノンフィクション
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2017年1月の記事一覧

荻窪心中

思えば出会ってから数年がたっていた。出会ったばかりの頃、一度だけ、2人で一晩中どうでもいい話をしながら飲んだ事もあった。朝方、彼は私の手を握りしめていた。次はどうくるのかな、その時私はどうすればいいのかな、と、いうのは杞憂で、それ以上の事は何も起こらなかった。私は固いシートの電車に揺られて家に帰ったし、次の日になれば、手を繋いだことなんて、なかったことになっていた。

正直、彼に対して興味などなか

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大根おろし

「女のにおいするかもしれないけど、気にしないで。もう別れたんだけど、ちょっと面倒くさいことになってて、荷物そのままなんだ。」

そう聞かされたのは午後7時、××町にある小さなアパートについてからだった。「あ、はい」とだけ返事をして、私はもう口を開かなかった。足を踏み入れてすぐに「水 土 燃えるゴミ!」と女の人の文字で書かれた紙が目についた。黄色く変色したその紙は、歴史の証明書のようにも見えた。ああ

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リアルタイム

元彼女のTwitterに関しては、誰よりも熱心な読者だったと思う。好きな食べ物も趣味もどんな仕事をしているのかも、辛い時期も幸せな時期も、私はぜんぶ把握していた。いつでもどこでも何をしていても、私は元彼女の世界に簡単にアクセスする事ができた。

元彼女の新しい彼氏は、金髪が似合う陽気な雰囲気の年上の人だった。私は、元彼女の新しい彼氏のSNSの読者にもなった。元彼女の新しい彼氏のSNSは、元彼女以上

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発熱チャンス

まるで身体中に炎を纏っているような気分だ。しかし寝室で横になると、甘えん坊な飼い猫がすぐさまお腹にのってきてしまう。いつもは愛おしく思えるフワフワさんも、今日ばかりは煩わしくて仕方がない。
「よっこらせ」と立ち上がり、私はリビングに場所をうつす。そして、スマホを使い、ダラダラとネットサーフィンを始める。炎の力はどんどんと強くなる。
「新着メッセージがあります」と、画面上部にLINEの通知が出るたび

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がじがじ

ぶにぶにしていてあたたかいものを、かじりたいなぁ。

そう思って自分の腕に口をつけてみたけれど、違う。これじゃない。だけど痛みは心地よかった。だから、もっともっともっと、吸い付きたい。でもそれじゃあ、跡がついてしまうじゃないか。ねえ、みて、あの子の腕の赤い点々。っていう、そういう好奇の目に晒されるのは、恥ずかしいから嫌なんだ。

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お手上げ

Aさん

あなたに助けられた日の事を、私は今でも覚えています。

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スコティッシュ・ディアハウンド

目的を達成したわけだから、連絡なんてこないわな。
そう思っていた私に「次いつ会える?」というメッセージが入ったのは、あの夜から2週間後の事だった。
2週間も放置しやがって、なんて事は思わない。初めて身体を重ねた2週間前のあの夜よりも前から、彼はたまにしか連絡を寄越さなかった。だから私は、放置しやがって等といった類の事は微塵も思わず、むしろ彼から再び連絡が来たことに安堵した。

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