ブラックと白

理不尽な客だった

まだ未熟だったぼくは 
言い返してしまったんだ

何倍も強い言葉で帰ってきた返事

恐ろしかった 急に大人が怖くなった

家に帰って 父さんに話したんだ

そしたらね 怒られたんだ

すごくすごく怒られた

社会は甘くないんだって

言い返したら負けなんだって

まだ未熟だったぼくは それを理解したんだ

その日からぼくは 静かになった

自分の感情を抑えて 大人になった

理不尽な客にも 
笑顔で対応できるようになったんだ

だけどさ 今になって思うんだ

未熟だったあの頃 
ぼくはキラキラと輝いていた

世界征服なんて言葉も 似合ってたんだよ

知らない方が良かったこと 
それを知っていくうちに

ぼくはさらに 自分を見失った

人はね 社会に飲み込まれて 
自分を制御しようとするんだ

その先に見えるのは 
真っ白に塗り替えられた壁

ぼくの色が どんどん血色をなくしてく

ありがとう父さん ぼくはもう大人です

飲めなかったブラックコーヒー

今ではこんなにおいしいよ

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