サングラスについて考えてみよう(基本編)

この記事はペンシルパズルAdvent Calendar2018の24日目の記事として書いたものです。ニコリ系の定番など、基本的なパズルについては分かっていることを前提としていますので、予めご了承ください。

はじめまして、にょろっぴぃと申します。

普段はパズル作家と、パズルを早く解く能力を競う競技パズルを両方やっています。以前はニコリのパズル作家でしたが、ここ数年は、ニコリ以外のパズルと競技パズルでの活動がメインになりつつあります。

さて、今日の記事では「サングラス」と呼ばれる、黒マスを塗る系統のパズルについて考えてみたいと思います。今頃太陽がまぶしくなったサンタクロースもかけていることでしょう、サングラスをそのままモチーフとしたパズルです。有名なパズルなのですでにご存じの方も多いかと思いますが、まずは「サングラス」のルールについておさらいしておきましょう。


○ルール(トケタ?vol.3より引用)

1. いくつかのマスを黒く塗り、「サングラス」を作ります。

2. 盤面内にはじめから示された線を「ブリッジ」、タテヨコにひとつながりになった黒マスのカタマリを「レンズ」と呼びます。ブリッジを追加したり、消したりしてはいけません。また、両端を除くブリッジのマスは黒マスになりません。

3. ブリッジの両側から2つのレンズがつながったものが、サングラスです。各サングラスは、ブリッジの両側を折り返した線対称形になります。

4. ブリッジにつながらないレンズや複数のブリッジにつながったレンズがあってはいけません。レンズどうしはタテヨコに接しません。

5. 盤面の外の数字は、その列で黒く塗るマスの数を表します。

…と、このように、ルールがとても長いパズルです。ルールは長いですが、サングラスという比較的身近なものを配置するパズルなので、例題を見た方がわかりやすいだろうと思います。

○例題と答え

○サングラスの短所について考えてみる

サングラスは線対称の図形になるように黒マスを塗っていくという、独特のルールがとても面白いパズルだと思うのですが、国内海外を問わず、どうも今一つ人気があがっていないのが現状です。そこで、サングラスの問題点について、私なりに考えてみました。

①ルールが長い

上記の通り、サングラスはルールがとても長いパズルです。どれぐらい長いかと言うと、上のルール文は293文字あります。つまり、ツイッターでルールを書こうとすると、ツイート2つでも収まりません。

しかし、この点を改善するにはサングラス以外のものを配置するようにアレンジするしかありません。配置するものを変えた例として、トケタ?vol.3で登場した「メガネ」がありますが、サングラスよりもさらにルールが長かったので、ここは仕方ないでしょう。

②重い

例題を解いてみた方なら分かると思いますが、全体的に問題が重いです。上の例題は意図的に難しくしてみたのですが、サングラスの問題は、他の黒マスパズルと比べた場合、サラサラ解けるような問題は少ないと思います。サングラスのライバルであるぬりかべやTapaなどと比べた場合、どうしても見劣りします。

③入り口が少ない

ブリッジと隣接したマスはすぐに塗れますが、逆に言うと、それ以外の入り口はほとんどありません。多くの問題では、外周の数字のどれかがヒントになっているのですが、いきなりその列の黒マスがすべて決まるような問題は少なく、チマチマ決まっていく問題が多いです。結果として、②の重いという評価につながってきます。

④大型化しにくい

ヒントは和を示す外周数字のみであるため、大型化がしにくいです(唯一解に決めにくくなる)。サングラスの魅力として、思わぬ形で大きなサイズのサングラスが出てくることが挙げられますが、大型化のしにくさが、魅力を消す形になってしまっています。また、将来的にニコリでの定食化を見据えた場合、ジャイアントやスーパージャイアントが作りにくいという欠点にもつながってきます。

⑤ヒントの効率が悪い

例題の場合、左上の角のマスは白マスですが、その右と下のマスについては、何らかのヒントがないと絶対に決まりません。つまり、唯一解にするためだけに、ヒントが1つ必要になります。例題の場合、一番左の列の5は序盤から使うのであまり気になりませんが、終盤の埋めていく部分で、唯一解にするためだけに新たに1,2列にヒントを加えないといけないような場面が多く、どうしてもヒントの非効率性が気になります。

⑥面白くない

現在発表されているサングラスの問題は、少なからず割合で私が作っていると思うので、作者の実力不足なのでしょう。私の事は嫌いでも、サングラスは嫌いにならないでください。


○サングラスの短所を改善してみよう

さて、このようなサングラスの短所を踏まえた上で、より良いサングラスにするにはどうするかを考えてみましょう。PDCAサイクルで言うところのC→Aです。

なお、今回は基本編ということで、サングラスの基本的なルールは維持する前提で考えてみたいと思います。サングラスの短所は白マスについてのヒントがない点に帰結していると思うのですが、多くのルールでは白マスにもルールが加わる形となっています。

・黒マス2×2禁

ぬりかべやTapaなど、黒マスパズルではよくあるルールです。黒マスに制約を設けることで解き筋を増やすことが出来ますが、サングラスの場合、序盤の重さが大きな問題になっており(短所②③)、このルールを加えただけではほとんど改善をすることが出来ません。それどころか、配置する図形がサングラスに見えなくなるという、新たなデメリットが出来てしまうため、少なくとも、このルールを単独で加えるメリットはないでしょう。

・Tapaサングラス

トケタ?vol.3に、「とりあえずサングラスのページを増やしたかった」という、とある作者の意向を受けて、バリエーションとして登場しました。2×2禁については、あるなし両方あります。

入口のバリエーションを増やすことができますし、Tapa色を強くすることで展開も軽くできます。バリエーションの基本とも言えるでしょう。他のパズルにはないメリットとして、TVC(Tapa Variation Contest)が復活した場合に載りやすい、サングラスに見える図形として、とりあえず「8」を配置するだけで容易に眼鏡型を配置出来る点があげられます。

・ぬりかべサングラス

例題は2×2禁を入れてみた一方で、数字の制約が強いので、数字は一部のシマにしてみました。Tapaサングラスとの共通点もありますが、より、白マスを起点として動かしやすい印象です。ただ、上記のように、2×2禁との相性が今ひとつなのと、黒マス連結ルールが使えないため、ぬりかべらしさはどうしても弱くなります。

・サングラスはどこだ

サングラスに黒マスはどこだの数字を加えたもので、サングラス研究の第一人者であるfff氏が考案したパズルです。トケタvol.6に載っているので、詳細はそちらをどうぞ。黒マスに隣接禁などはないため、雰囲気的にはバッグ(Cave)の方が近いかもしれません。研究の末に考案されただけのことはあり、バランスはとても良いパズルです。

・ライトアンドサングラス

ライトアンドシャドウという、2色に塗り分けるパズルとの融合です。数字の制約が強いので、表出はやはり一部にしてみました。このルールの良いところは、何といってもサングラスの面積を直接表せる所です。これだけで他の黒マスパズルにアドバンテージを取れると言っても過言ではありません。黒マス・白マスに対等なヒントを出せる点ではTapaと共通ですが、数字の影響がより強く、ヒントの無駄を無くしやすい(短所⑤)点ではより優れています。今後の研究に期待したいバリエーションで、トケタvol.7での出題の最有力候補の1つでしょう。

・サングラスリザーリンク


作図では比較しやすいように黒マスのままにしていますが、実際にはループ型に変えても良いでしょう。元々ヒントの影響範囲が狭く、「唯一解にするためだけに、最後ヒントを加える」ことが当たり前なので、短所⑤が気になりません。

もっとも、サングラスはナナメ接触ができ、交差や枝分かれが可能(4も入れられる)なため、解き筋はスリザーリンクとは別物と思った方が良いでしょう。

・サングラスにしてくれ

黒マス連続禁がない時点で意味不明のパズルでした。やるならスカスカの盤面前提になりますが、それでも相性は非常に悪いと言えそうです。

・のりのりサングラス

軽めのパズルにすることは可能ですが、全てのサングラスの形が同じであり、形を楽しむというサングラスの楽しさが激減するという致命的な欠点があります。やるとしたら、サングラスのバリエーションではなく、のりのりのサングラスバリエーションとすべきでしょう。

・お絵かきサングラス

コーラル系や、Cross the Streamsなど、様々なパズルで使われているルールで、入り口はとても作りやすくなります。?や空白の列を使えばパズル性は十分です。しかし、どの問題を解いても解いて出てくる絵がサングラスであるため、このタイトルでは現実的ではないでしょう。この方向でやるのであれば、Cross the Sunglassesとしたほうがよいでしょう。


○まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は基本編と言うことで、黒マス系の定番と言われるパズルを中心に、サングラスのバリエーションを考えてみました。見て分かるように、サングラスは多くのパズルと合わせてバリエーションを作ることが出来る、非常に面白いパズルです。この記事をきっかけに、サングラスに興味を持ってくれる人が1人でも増えてくれれば幸いです。

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パズル作家。数独(ナンプレ)などのペンシルパズルを作ったり、解いたりしています。パズル作家歴約20年、世界パズル選手権日本代表4回。普段は法律関係の仕事をしています。
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