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[ドラゴンボール]悟空がセルに仙豆を渡したのは高度に戦略的な判断だった

はじめに


みなさん、ドラゴンボールの事はどれくらいご存知でしょうか。国民的漫画ですので、全巻読んだ!って人やアニメを見た人、ドラゴンボール超も見てるよって人もいるかもしれません。

そんな人は

ただ、中にはドラゴンボール全然知らないって人もいるでしょう。そんな人のためにドラゴンボールを



経緯

 今回取り上げたいのは下記のシーンなのですが、



 いきなり今回のテーマの論旨を展開しても、この場面に至るまでを覚えてない人もいると思うので、簡単にここまでの経緯を説明しましょう。

 天才科学者ドクターゲロによって生み出されたセルは、諸サイヤ人やピッコロ、フリーザ親子らの細胞をもとにつくられた人造人間でした。そして、人造人間17号、18号を吸収して完全体となったセルは、精神と時の部屋での修行を経てスーパーサイヤ人を越えたベジータやトランクスをあっさりと凌駕します。

 ただ、彼の中にあるサイヤ人そしてフリーザの細胞が、自身の最強を証明するという自己顕示欲を掻き立て、ベジータやトランクスにトドメを刺さず、挙句セルゲームという大会を開催しました。

※セルゲームとは、大会参加者が1人ずつ主催のセルに戦いを挑み、リングアウト(後に廃止)か降参もしくは死によって敗北が決まるというもの。

 そして、セルゲーム開催当日、トップバッターはいきなり悟空ではなく、ミスターサタン。(サタンのくだりは今回関係ないので割愛)

 サタンが負けた後は悟空がセルと戦うことに。一見互角に戦う両者でしたが、悟空はどこか自身が勝てないことを悟っているようでした。(亀仙人談)

 そして、セルへの気弾連打が失敗すると、悟空は唐突に降参を宣言し、次の挑戦者に悟飯を指名します。

 とまあこの後ですね、悟空との戦いで疲弊したセルに仙豆を渡すというさっき載せた画像のシーンに繋がるわけです。

 ここでよく言われるのが、これは悟空の舐めプではないか?ということです。

 確かに、一見すると疲弊した敵に全快アイテムを渡すのは舐めプか利敵行為でしかありません。しかし、僕はこのセルに仙豆を渡すという行為こそ、悟空にとってセルを倒す上での最適解だったのではないかと言いたいのです。

 恐らく、殆どの方は「ちょっと何言ってるかわからない」ってなってることだと思いますので、詳しく説明していきます。

 リアリストとしての悟空


 結構勘違いされがちですが、悟空は決してフェアな戦いのみにこだわる、戦闘狂ではありません。

 ラディッツとの戦闘やフリーザ戦、果ては魔人ブウ戦など多対1の戦闘を厭わないどころか、場合によっては奇襲や不意打ちなども平気で行っています。

 あくまで悟空が拘るフェアな戦いとは、自分の手に負える範囲であって、先に挙げた例のような自分の実力を大きく超える敵との戦いでは、その性向はなりを潜めています。

 このことを鑑みれば、セルとの戦いでの悟空の発言だけを参考に、悟空が極端にフェアな戦いに拘っていると考えることは出来ません。

 実際に悟空はセルゲームに臨むにあたって、カリン様に自分とセルのどちらが強いかを聞き、カリン様が「セルの方が強い」と回答すると、特に躊躇いもなく受け入れます。恐らく悟空の中にも、セルには敵わないという見立てがあったのでしょう。

 この後、悟空は残った精神と時の部屋の使用権を行使せず、セルゲームまでの日を過ごします。

 ではリアリストとしての悟空を考えた時に、このセルゲーム直前の振る舞いはどのように解釈すべきでしょうか。

 これを解釈するには、悟空がセルゲームに際してどのような戦略を構築していたかを考える必要があります。よって次章ではセルゲームでの悟空の戦略について考察していきます。

セルゲームでの戦略


 トランクス案 
 悟空の戦略について考察するにあたり、避けて通れないのがトランクス案(ニョライザ命名)です。 

 ※トランクス案とは悟空との戦闘で疲弊したセルに対して、仙豆によって体力を回復した悟空を含む全員で一斉に攻撃を仕掛けるというもの。(トランクス発案)

 悟空がわざわざめんどくさい戦略を立てずとも、この単純な作戦案が最も現実的で勝算の高い戦闘方法であるように思えますが、この戦法には大きな問題点がありました。

トランクス案の破綻

①セルの実力
・この後を見ればわかりますが、セルは悟空と本気で戦っていたわけではありません。セルが本気になるのは悟飯がSS2に覚醒した後で、周囲のリアクションからその実力は悟飯を除く全員とは明らかに一線を画しています。
 ※ドラゴンボール世界においてはある程度実力が離れると数の利は時間稼ぎ程度にしかならない

②セルジュニア
・①とやや重複する部分ではありますが、異質なため別に記載しています。悟飯の覚醒を望むセルは、悟飯を怒らせるために悟飯の仲間を傷つけることを画策し、その役目を自らがその場で生み出したセルジュニア(7匹)に任せます。このセルジュニアの実力は、セル第2形態をワンサイドでボコれるベジータとトランクスが更に1年精神と時の部屋に入ってやっと互角なレベルです。こんなのをノーリスクでぼこぼこ生める奴に数の利もへったくれもないというわけです。

③セルの性格
・百歩譲って数の利でセルを追い詰めたとしましょう。しかし、こうなるとまためんどくさいことになります。一見フェアで紳士ぶっているセルですが、その実、追い詰められると手段を厭わなくなる性格です。実際地球ごと悟飯を消そうとしたこと×3回の実績が全てを語っています。(ここら辺は完全にベジータやフリーザ親子あたりの血筋)

 以上の理由からトランクスの作戦が如何なる視点からも破綻していることは疑いようのない事実なわけです。

 ここら辺のセルに対しての悟空の理解の深さは、戦闘力を測る能力の高さに加え、ベジータ&フリーザとガチで闘り合ったからこそではないでしょうか。

 上記からセルを倒すには圧倒的マンパワーを以て、一切反撃の余地なく倒すしかないと悟空は考えたわけです。そしてそれを実行するには自分やベジータやトランクスが後1年精神と時の部屋に入ることに意味はなく、覚醒悟飯に全てを託すより他はなかったというわけです。

悟空の誤算

 悟空の作戦では、悟飯自らが怒ることで真の力を開放する必要があったため、その詳細を誰にも伝えることは出来ませんでした。(そのため仙豆渡す際、フェアプレイなど尤もらしいこと言ってる)

 そして案の定と言うべきか、悟飯はセルに押されはじめます。しかし、そんな中にあっても、悟飯の中に芽生えた感情はセルへの怒りではなく、悟空が息子である自分を見捨てたことに対する失望感でした。このことをピッコロを通じて聞いたことで悟空は自身の戦略の破綻を悟りました。そして已む無くトランクス案を実行に移すため、クリリンから仙豆を貰おうとします。(この時点まで仙豆を食べていないことからも、悟空は自分の役目がもうないと考えてたことが窺える)


 おわりに

 以上より、悟空がセルに仙豆を渡した行為が、悟空にとって最も勝算の高い戦略を実行する上で、重要なプロセスだったことがお分かりいただけたかと思います。

 まあ、今回の考察に当たって妄想に拠る部分が3%くらいあったことは否定が出来ない事実ですので、これが絶対正しいとは言いません。(正しいですけどね)
 
 ただ、「悟空が頭の狂った戦闘狂!」みたいな作品の上辺だけを搔い摘んだネットの浅はかな共通言語を妄信せず、もう少し深く考えてみる、そういったリテラシーを身に付けるきっかけになってくれれば幸いです。

 では今回はこの辺で

 

 

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