子供の学力は○○○○で決まる

 就活や読書をするなかでふと思った。
学力はどのように決まるのだろう。学歴は人生にどの程度影響するのだろう。と。そんな訳で今回は、学力について数本論文を読んだので紹介します。

1.学力を決定する要因
  

 結論を述べると、「家庭環境」が大きく影響するようです。私は意外でしたが学校要因は影響力が小さいそうです。これは、国際数学・理科教育調査(TIMSS)のスコアデータ、家庭にある蔵書数、親の学歴などのデータを用いて推計を行い明らかになりました。

 特に蔵書数と数学力には正の相関がみられ、2007年のデータでは、家庭に蔵書が多くある人とない人では7.9点の差が表れています。また、学習机やパソコン、辞書など正の相関を示しています。学校要因としては、クラスの規模や教師の質などがありました。少人数クラスの影響力はあまりなく、それよりも習熟度に合わせた授業が家庭環境による学力差を縮小させました。またピア効果(意識や能力の高い集団の中に身を置くことで、切磋琢磨しお互いを高めあう効果)については、一般的に効果があるそうですが、スコアでクラスが分けられるシンガポール、香港ではそもそもスコアが良い集団は個々の学力が高い集団であるので、効果があるとは断言できないそうです。(北条,2011)

2.家庭環境による不平等
 

 家庭環境に恵まれているか、否かは親の経済状況、教育への関心度の高さに依存しています。そして親が父母ともいる、片親ではない家庭は片親の糧に比べて金銭的に恵まれた環境をつくりやすく、また子供の成績にも影響を与えます。片親だと満足な養育費、質を確保することが難しい傾向にあります。
 悲しいことに、家庭環境は再生産される可能性が高いことが研究で明らかにされています。家庭環境による不平等は世代を超えて受け継がれる可能性が高く、


①家庭環境が良くない→②子の学力が下がる→➂子供は良い家庭環境を築きにくい。→②(子供の子供も同様に学力が下がる)→③
と負のループに陥ってしまいます。
       (Sara McLanahan and Christine Percheski,2008)


 学力が高いと有名大学に進学できる確率は上がります。高学歴ほど、収入も高くなるので、その子供は良い家庭環境に恵まれます。正のループに入ることができるのです。日本において、所得に対する学歴の相対的な重要性は、アメリカ・イギリスと比較すると小さいですが、無視することはできないと思います。(平沢 和司 ・古田 和久 ・藤原 翔 ,2013 )

  3.まとめ

 子供の成長に家庭環境は大事だということは分かってはいたつもりですが、学校要因よりも影響力が大きいことには驚きでした。将来家族を持つことがあれば、子供の為にもしっかりとした家庭環境を築いていきたいものです。
 学力の定義が難しいですが、IQは学力と比例しています。遺伝子に対する知見が深まり、IQ生まれながらにして決まっている、学力は遺伝であるということが分かってきています。教育環境を整備すれば誰でも秀才になれるという物語は崩壊しつつあります。身も蓋もないことですが。
 今後は、遺伝学の論文なども読んでいければと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献
・「高学歴化社会における格差の構造」
                平沢 和司, 古田 和久, 藤原 翔
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eds/93/0/93_151/_article/-char/ja/
・「学力の決定要因──経済学の視点から」
                北條 雅一(新潟大学准教授)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10179898
・「What factors determine student performance in East Asia? New evidence from TIMSS 2007」
               Masakazu Hojo and Takashi Oshio
https://econpapers.repec.org/paper/hitpiecis/494.htm

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