vol.4 信用力の向上策

信用力って何？田中さんの疑問

田中さんは、事業計画書を完成させたものの、まだ気になることがありました。それは「信用力」です。銀行や投資家に事業計画を提示する際、信用力が足りなければ、どんなに素晴らしい計画書でも資金を引き出せないかもしれないと考えたのです。

ある日、佐藤さんに電話をかけました。
「佐藤さん、事業計画書はできたんだけど、信用力ってどうやって上げればいいんだろう？」
佐藤さんは笑いながら答えました。「田中くん、それはいい質問だよ！信用力は資金調達においてとても重要だ。特に銀行は、貸したお金が返ってくるかどうか、信用力で判断するからね。」

信用力を上げるためのステップ

佐藤さんは、自身が資金調達をした時の経験を田中さんにシェアしました。信用力を高めるためには、いくつかの具体的なアプローチが有効だと話します。

1. 財務状況を整える

「まず第一に、財務の健全性を示すことが大事だよ。」
田中さんは、佐藤さんの話を聞いてすぐに自社の財務状況を再確認しました。財務状況が健全であれば、銀行や投資家からの信用度は高くなります。逆に、赤字が続いていたり、負債が多い場合はマイナス評価につながります。

「売上だけじゃなく、毎月の経費や利益をしっかり把握して、安定した収支バランスを維持しよう」と田中さんは決意しました。

2. キャッシュフローの管理

「もう一つ大事なのは、キャッシュフローだよ」と佐藤さんは言います。
「いくら売上があっても、キャッシュがなければ事業は回らない。銀行はキャッシュフローを見て、返済能力を判断するからね。」田中さんはこれに納得し、自社の資金繰りをさらにしっかり管理することにしました。

田中さんは、毎月の売上と支出を明確に記録し、今後の資金の流れを予測するために資金繰り表を作成しました。「これで銀行に対して、うちの会社はお金をしっかり回せるんだって証明できる」と彼は自信を持ちました。

3. 取引履歴を積み重ねる

「次に重要なのは、取引履歴だね。」
田中さんの会社は設立してまだ数年ですが、少しずつ取引先が増えてきました。「取引先との信用関係がしっかりしていれば、それが信用力向上につながるんだ」と佐藤さんは説明します。

田中さんは、これまでに取引を続けてきたお客様との関係を大事にすることにしました。長期的な契約を増やし、取引先からの信頼を得ることが、銀行や投資家にとってもプラス材料になるのです。

4. 公的機関や認証制度を活用する

最後に佐藤さんは、もう一つの信用力向上策を教えてくれました。「例えば、公的機関のサポートや認証制度を使うのも有効だよ。」
中小企業支援機構や商工会議所などの公的な機関と連携し、認定やサポートを受けることで、会社の信頼度が格段に上がります。また、ISO認証などの業界標準に準拠した認証を取得することで、企業の信用力がさらに高まります。

田中さんは、こうした認証制度の取得も検討することにしました。「会社としての信頼性を証明するいい方法だな」と彼は感じました。

信用力を向上させた田中さんの次の一手

数ヶ月にわたって、田中さんはこれらのステップを少しずつ実行していきました。財務管理の改善、取引先との信頼関係の強化、そして信用情報機関への登録まで、田中さんの会社は信用力を着実に高めていきました。

「これで準備は整ったかな」と田中さんは自信を持って、次のステップに進むことに決めました。彼は、事業計画書と信用力を武器に、いよいよ銀行に資金調達の申請を行う日が近づいていました。

まとめ

資金調達を成功させるためには、事業計画書だけでなく、会社の信用力も大きな要素です。田中さんが行ったように、財務管理の健全化、取引履歴の積み重ね、公的機関のサポートなど、さまざまな方法で信用力を高めることが、資金調達の成功を後押しします。

次回は、いよいよ金融機関との上手な付き合い方について、田中さんが銀行との交渉に挑むストーリーをお届けします。