マガジンのカバー画像

嬉しかったnote、オススメnote

31
リンクを張って話題にしてくださったり、サポートしていただいたnoteたちには改めての感謝を込めて。一人でも多くの方に読んでいただきたいオススメnoteにはありったけの敬意を込めて。
運営しているクリエイター

#元気をもらったあの食事

タイス、おかえりパステウ

パステウをご存知だろうか。 薄くのばした生地に、牛ひき肉、チーズ、トマト、玉ねぎを煮詰めたものを角形に包み、大量のラードでサクッと揚げる。10歳の私は、このブラジルのソウルフードにすっかり心奪われた。 なぜブラジルに行ったことのない、それどころか日本から出たことすらなかった私が、パステウを知っていたのか。少し話してみたいと思う。 ◇ タイスはその大きな体をゆさゆさ揺らしながら、ラードの海をおよぐパステウたちを器用にひっくりかえす。 タイミングが大事よ。タイスはいう 一

夕日照らすオムレツに導かれ

ちょっとは食べない? マニュエルが私の部屋をノックしながらいう。西日の中、私は目を覚ました。もうこんな時間か。 この一週間、朝から寝てばかりいる。今日は、お昼から誘われて、すでに2度も断っていた。3度断ればさすがに、と声を出しかけた私の鼻にぷん、と卵の香りがしてきた。揚げた卵の香ばしい香り。マニュエルの得意料理だ。一度、この家にきたばかりの時に食べたことがある。 私はもう少し眠っていたかった。眠っていれば何も考えなくて済む。 それでもやっぱり抗えなかった。ガバッと布団