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ゾイドの生前葬をしたかったという話


ゾイド(ゾイドワイルド)というコンテンツは死に向かっている。

そりゃアニメが終わっても限定通販でリデコ品を売っているし、今でも量販店に行けば(ワゴンの中で)買うことが出来る。

だが、売り場スペースは狭まり、買うことの出来るゾイド達は限られてきているしタカラトミーもここからゾイドをまた盛り立てます!というやる気は見えないというのが現状だ。

そして個人的にトドメになるようなことが起きた。

デュエマ(デュエルマスターズTCG)とのコラボゾイド(28,000円)だ。

別にデュエマとコラボしてほしくなかった訳じゃない。

ただ、「ゾイドファンなら新規ゾイドのために28,000円くらいポンと出すだろ~?」とタカラトミーにめたくそ舐められているようで、なんだかそれがつらかった。

同じ価格帯のHMMゴジュラス・ジ・オーガですら躊躇して買ってないというのに、付いてくるのがゾイドだけではないとはいえ28,000円を要求してくるのはずるいと感じた。

しかもお店ではゾイドが緩やかに絶滅しているのに?

もう(動く)ゾイドファンは高額な金をタカラトミーに直接持っていくことしか出来ないのか。

それなら生前葬の意味合いも込めて、絶滅危惧種になりつつある市販ゾイドを買って作ろうと、妙な反骨精神が働いた。

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そうして、売り場の片隅に縮こまるようにして置かれていたワニガメ型ゾイド・バズートルを保護した。

量販店のゾイド売り場といえばもう悲惨だった。

ゼノレックスやゼログライジス、ライガー系の人気ゾイドは既に消え去り、残っているものと言えばこういう亀とか牛とかの、ガンダムで言うところのザクっぽい感じのゾイドがほとんどだった。

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箱裏には並大抵の子供には出来っこない改造プランが載っている。でも御先祖様のバスタートータスを思わせる図案が載っているだけでテンションはあがる。

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ゾイドといえば可動するプラモデル、というイメージが強いだろう。現在はランナーレスで「A」「B」「S」と書かれた袋にパーツが直接入っている。ニッパーでの切り出しやゲート処理の心配が大きく減っているのが嬉しい。左下にある「復元の書」はインストである。

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骨を組み上げる。一見単純そうに見えるが、可動や変形ギミックがあるため、組み立て工程はMGガンプラよりも複雑怪奇である。パーツ一個の位置がずれると全然動作しなくなる。それがゾイドだ。

また、「ゾイドといえば」のゴムキャップは健在だ。こういう「伝統」は今も昔も変わらない。とはいっても、何が何でもゴムキャップではなくはめ込みの妙でだいたいが組み上がるよう設計されている。

骨の状態でも電源を入れて歩行させることが出来る。

複雑怪奇であるぶん、モーターボックス一つでここまで動いてギミックを仕込めるのか!という感動がある。

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後ろから眺めたときの重戦車的フォルムが素晴らしい。

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生前葬なのだから骨のまま飾っておいた方が美しいかと思ったが、折角なのでアーマーも取り付けてみよう。

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というわけで、外装アーマーの取り付けが完了。

可動に関わる骨格の組み立てが複雑な分、アーマーの組み立てはパーツ数が少なく比較的簡単だ。

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眼の部分をバイザーアーマーで覆い隠してしまうのはちょっと辛いので、取り付ける前に写真を残しておいた。

敵ゾイドの眼をアーマーで隠すという発想を考えた人間は鬼畜だと思う。

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まあ、結局隠してしまうんですけどね……

これで晴れてバズートルが完成。どことなくジブリメカっぽいフォルムと色合いがとても良い。

装甲のいたるところにある3mm軸と穴は「好きにカスタマイズしてください」というメッセージ。実際、カスタマイズパーツセットも販売されているし、コトブキヤのMSGなどを用いることも可能である。

さらにここからもギミックが隠されていて……

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甲羅部分を移動させ、ロングバズーカを変形させることで可変するのだ。

前の甲羅をスライドさせることで亀の頸引っ込めを疑似的に再現しているのも味わいぶかい。

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最後に、御先祖であるバスタートータスとの邂逅。時代を越えて、スケールは違えどようやく巡り合えたことにちょっと感動する。

ここまで組んできてテーマをひっくり返すようでなんだが、ゾイドは生き続けている。

確かに売り場からは消えていって、コンテンツとしては緩やかに衰退に向かっていくのかもしれない。

けれど、ユーザー一人一人が組み立てやカスタマイズや塗装を楽しむ限りゾイドは死なない。

ニッパーややすりや接着剤を必要としないゾイドワイルドシリーズの組み立ては、とてもカジュアルに楽しめるだろう。

もし貴方が「ガンプラを組み立てるエネルギーはないけど、何か楽で満足度の高いキットが欲しいな」と思ったら是非ゾイドを買って組んでみて欲しい。

私が、貴方が、組み立て――動かし――語り継ぐことでゾイドは生き続けるのだ。

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