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女奴隷みたいな恰好のスーパーマンのフィギュアの話


 スポーンやヴェノムで知られるアメコミ界の大御所トッド・マクファーレン率いるマクファーレントイズから発売されているDCマルチバースというフィギュアがあります。
 これはその名の通り、DCコミックのキャラを7インチ(約1/10スケール)サイズのアクションフィギュアとして売っているシリーズです。
 要するにバットマンとかスーパーマンとかバットマンとかバットマンのフィギュアだと思ってください。
 そんなDCマルチバースの最新作がこちら、「フューチャーステートスーパーマン」です。

 ……はい、えっちな同人誌に出てくる女奴隷みたいな恰好をしたスーパーマンです。
 嘘でしょ!?と思うかもしれないが、これはフィギュアオリジナルとかそういうんじゃなくて、ちゃんと原作(未邦訳)にあるコスチュームです。
 なので女奴隷みたいな恰好のスーパーマンが気になった人は原書を読もう!

 最近のDCマルチバースが塗装を出来る限り省略する方向に向かっていることもあって、届くまではあまり期待してなかったのですが、実物を手に取ったら本当にすごい。
 何がすごいってフィギュアの大半を占める肌が全部塗装されている。
 肌色成型色でいいところを全部塗っている。

 造形の方もものすごくて、何より顔の無精ひげが塗装だけでなくモールドでも再現されている。
 無精ひげってフィギュアの中でも割とどうでもいいというか、まあ塗装かプリントでやっとけばいいでしょとなりがちな部分なのですが、トッド・マクファーレンはそんなところにも、いや、そんなところだからこそ手を抜かないのである。

 一見シンプルな素体に見える部分もちゃんと工夫が凝らされている。
 身体のあちこちにキズが入っていて、歴戦の勇士であることを勇壮に物語っているのである。
 これだけ緻密な造形をしておきながら、おもちゃ感全開な丸ピンや膝関節が乗っかっているのは残念なポイントかもしれないが、むしろフィギュアとしての側面とおもちゃとしての側面がせめぎあっているようでこれはこれで魅力があると思っている。

 付属品は斧と丸シールドのみ。
 替えの手首や表情パーツなんてものは存在しない。
 フィギュア1個と最低限の付属品で勝負するのがDCマルチバースだ。
 斧の刃部分がシルバー塗装でないのは残念なポイントだが、さりとて成型色でごまかすのではなくここもきちんと塗られている。


 ゴテゴテしていないからこそ可動が光る。
 可動性能は二の次というスタンスのマクファーレントイズではあるが、可動に干渉する部分がないから、DCマルチバース本来のアクションフィギュアとしてのポテンシャルを存分に味わうことができる。
 アメトイでよくある6インチより一回り大きいため、そのぶんつま先や腰ロールなどの可動ポイントが増えていて、ダイナミックなアクションを堪能できる。
 その気になればクイーンズブレイドみたいなあられもないポーズもとれるけど貼ったらなんかに引っかかりそうなのでやめておきます。

 1個だけ置いておくのはあまりクールではないので、DCきっての問題児であるロボのDCマルチバースと闘わせてみた。
 やはり並べてブンドドさせるととても映える。
 DCマルチバースは増殖するものなのだ。
 そう、このDCマルチバースは

 約3,000円

 というアクションフィギュアとしては破格の安さで売られている。
 現代のfigmaやフィギュアーツが10,000円前後、ねんどろいども5,000円前後で売られていることを考えれば本当にびっくりする安さだ。
 これは付属品を極力減らし、ランダムに無塗装のハズレを混ぜるという日本でやったら絶対怒られる手法でコストカットを図った賜物だ。
 「そうはいっても無塗装引くの嫌だなあ……」と思うかもしれないが、無塗装バージョンは滅多に出ないレアアイテム(ということになっている)ので安心してほしい。安いから引いてもダメージが低いしさらにセール時を狙えば1,000円くらいで買えるので……
 安いからこそついつい買ってしまう、それがDCマルチバースのいいところでもありこわいところでもある。

 というわけで、みんなも気になったら女奴隷みたいな恰好のスーパーマンのフィギュアを軽率に買おう!

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