唯一無二の男美プラ「ゲイルハウンド」
以前、1/12〜1/10スケールのオリジナル男性プラモデル(男美プラ)の開発競争について書いた。
ここで取り上げたゲイルハウンドがついに発売されたので、早速買って組んでみた。
ゲイルハウンドはコトブキヤはじめグッスマやSOーTA、モデルカステンといった複数メーカーによるオリジナルプラモデル企画「ティタノマキア」の1弾となるキット。
話題を集めたのは、おそらく世界初となる1/12のオリジナル男性キットであることだ。
非常にシンプルなシルエットをしているが、「男性版FAG」とか「ガバナーをデカくしたやつ」とか思っていると予想を大きく裏切られる。
組んでみると、一見素体的に見えるボディはFAGやマシニーカとは全く異なる設計思想で満たされていることがわかるのだ。
シンプルとは言いつつも、各部分モールドや色分け、クリアパーツの使い分けで密度感が演出されており、ヒロイックにも見えるデザインに仕上がっている。
オールポリキャップレスなのは近年の可動プラモデルのスタンダードを押さえている。
上半身は肘関節のみならずリスト部分にもボールジョイント可動が仕込まれている。
パーツが干渉し、肘は180度曲がりきらないが、そことは別に可動ポイントを入れることでデザイン上の制約を乗り越えようとしているのがうかがえる。
ハンドパーツはメガミデバイスやガバナーと同じPVC製。
下半身は膝関節に加え、膝部分が少し動く。ここがあることで、脚の力の入り方を細やかに演出できるようになっている。
脛当てにもジョイントが入っており、足の動きに連動して位置を変えることができる。
靴部分はかなり割り切った大胆な構造をしており、ともすればスリッパのようにも見える。
コトブキヤキットの代名詞である3mm軸穴は腕・背中・太ももに露出しており、さらに股間部分の前方・後方もアーマーを外すことで3mm軸穴が出るようになっている。
後述の武器のマウントに使える他、MSGなどを付けて盛りカスタマイズを楽しめる。
可動軸が仕込まれているもののパーツ干渉で可動はいまいち……
と思いきや!
腿のアーマーの取り付け位置をずらすギミックがあり、これにより下半身の可動範囲が大幅に向上するので、ダイナミックなポージングがストレスなくできるようになる。
中華キットではたまに見るギミックだが、和製キットに導入されるのはレアだ。
無駄な装飾品がないデザインのため、思う存分にアクションポーズを楽しめるようになる。
ぜひ試してみてほしい。
武器はライフルが付属。折りたたんでハードポイントにマウントできる他、変形差し替えでキャノンにも。
そして、本キットの男美プラとしてのアイデンティティである素顔パーツ。
これがあるからゲイルハウンドは男美プラなのだ。
瞳部分はタンポ印刷ではなく、デカールを貼ることになる。
位置決めは難しいかもしれないが、それを見越してか予備が1セットある。
残念ながらメガミやFAGとはそのまま対応せず、互換パーツも入っていなかった。
そのままだと簡素な印象を受けるが、デカールを貼ってスミ入れすることでグッと見栄えが良くなるのでオススメ。
髪パーツは通常版だとグレーだが、コトブキヤ限定のブラウンに変更している。
同じ1/12サイズのメガミデバイスとのサイズ比較。
初期メガミ(グラップラー)より身長は高く、アマテラスと同程度。
全体的に一回り程度大きいが、男性と女性の身体つきを考慮すると妥当なサイズかもしれない。
1/12スケールということで、セリアなどで売られている同スケールの家具やぷちサンプルとの相性は抜群。
素顔パーツがあることで、バトルシーンに留まらない展示の可能性が広がっていると思う。
世界初の男美プラということで、色々と手探りな部分が見られども意欲的なギミックが多く盛り込まれたゲイルハウンド。
男版FAGのような拡張性やコンセプトを期待していると肩透かしを喰らう(アプローチとしてはどちらかというとフィギュアライズスタンダードに近い)かもしれないが、シンプルに見える素体には様々な仕掛けが詰め込まれていて、とにかく組んでいて「そう来るか〜」という驚きがある。
手を加えないとあっさりしすぎている素顔パーツは賛否が激しいものの、これがあることでキャラクター性や演出の幅が広がっていることも確か。
物足りないという向きにはモデルカステンから差し替え用素顔パーツが発売される予定なのでこれを使ってみるのもいいかもしれない。
これから男美プラは中華の将魂姫が控えており、開発競争はまだ口火を切ったばかりである。
まずはゲイルハウンドを手に取って、男美プラというほぼ未踏のフロンティアに挑んだ者たちの息吹を感じてほしい。
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