048.大喜利 [Cd カドミウム][辛亥]

大喜利では、たくさんの参加者が「はい!はい!」と手を挙げていた。

いい回答が思いついたのだろう。

司会者は誰を当てようか迷っている。

みんな「はい!はい!」と競うように手を挙げている。

活気があって良い大喜利だ。



しかし私はその声に、次第に疑問を抱くようになった。

「はい!はい!」

・・・ん?

「はい!はい!はい!」

何かが変だ。

「はい!はい!はい!はい!」

司会者はなぜ誰も選ばないんだろう。

「はい!はい!はい!はい・・・・OKです!」



それは大型トラックをバック誘導する声だった。

たくさんの大喜利参加者と思っていた者たちは、運送会社のたった一人の男だったのだ。

私は早朝のベッドの中で寝ぼけていた。

2022年1月23日 09:27

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