045.真夜中のドア [Rh ロジウム][牡牛座15度][戊申]
真夜中、私は被害者として目が覚めた。
今までのあれもこれも、私はとにかく酷い目にあわされるばかりで、何一ついいことはなかった。何一つだ。何も手に入れられていない。あれだけ努力に努力を重ねてきたというのに、残ったものは何もない。すべては奪われる一方だった。
私は不当に搾取されてばかりいる。そのことに気づき、激しい怒りと絶望の中で、世界のすべてを、出会ったもののすべてを、生きとし生けるもののすべてを、深く深く呪った。
しかし思えば不思議なことだ。あれだけの怒りと絶望に包まれていたのに、私はいつの間にか眠ってしまったようなのだ。
次に目が覚めた時、私は守られる者となっていた。
守護天使は私をいつも見守っていて、雨風をしのげる部屋と暖かい布団を用意してくれていた。どうして私にはそれが見えなかったのだろう?
恐ろしい呪いを跳ね返し、保護するために、全力を尽くしてくれていたというのに。心には温かいものが広がっていた。確かな実感がある。私は何ものとも離れていなかったのだ。
私はもう一度寝てしまったらしい。
最後に目が覚めた私は、なかなか布団から出られない、寒がりで低血圧な、いつもの私だった。
2022年1月15日 19:17
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