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ゆっくりでいい、自分らしくいられる環境を。 悩んでることも自分の一部と受け入れるようなヒントを伝えていきたい。

本が好きというのはもちろん、本を読む人も好きで、本が好きというだけでもその人のことに興味を持ってしまうという、まるで韓流ドラマにハマるよう本にハマっている金城さん。本を読む人を増やしたい、本を読む体験や本を介した緩い関係を作っていきたいという思いから 「きんじょの本棚」 という活動を行っています。今では東京の町田を中心に約20ヵ所のお店に展開している。

そんな金城さんが「きんじょの本棚」 を始めたきっかけや、本に感じている魅力などをお伺いした後編です。

前編はこちら


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がんばらなくてもいい。
そのままを受け入れられたことで前に進めた

金城さんの過去を探ると、知り合いが伊豆諸島の青ヶ島というところに滞在することになったことから子供を3人連れて1年間島暮らしをしたことがあるという。おもしろエピソードが聞けるのかなと思ったら意外な答えが返ってきた。

──島になぜ行こうと思ったのですか?

金城:あることがきっかけで、人間不信に陥りバランス崩した時があって、自分が鬱病だって思われたくないというのが作用したのかもしれない。もしかして環境を変えたら自力で立ち直れるんじゃないかっていう淡い期待もあって子供を連れて島に行ってしまいました。(笑)

島にいく前はずっと自分のマイナスエネルギーみたいなのが取り巻いていて、人に言われると心がちっちゃくなってしまうとか、自分で不安を抱え込んでいたんですよね……

きっと誰かにそんなことないよって言ってもらったり、ちょっと離れたところから自分の状況を見ることができなかった。

島では、島の人と関わって朝から晩まで働いてすごく忙しかったけど、どんなに場所を変えても悩みはついてくるってわかった。結局は自分が変わらなければいけないんだと気づいて、もう一回元の場所に戻って生きて行こうって思えるようになりました。戻ってもすぐにはうまくいかなかったけど、徐々にソフトランディングしていきました。

──時間がかかりますよね。

金城:例えば、苦しみが1から10まであって、肉親の死とか一番辛いことが10とした時に、8か9の苦しみがあった状態でしたね。
想像してみてください、昨日お父さんが亡くなったって言う人に 「元気だしなよ」 ていう声かけをしたとする。そんなの無理じゃないですか。そんなにすぐ人の心って割り切れないんです。
私も 「ゆっくりでいいんですよ」 て言われてたのが多分一番救いだったんじゃないかなと思う。無理に乗り越えなくていいということがわかってほっとしました。

気にする人に気にするなっていうのは無理なんですよね。

──確かに……

今の時代すぐ答えを求めてしまうけど、人間の心はそんなに簡単にリセットしたり切り替えたりすることは難しい。辛いことや気になることはいつまでもひきずってしまったり、ずっと頭の片隅にいたりする。その状態とうまく距離を保ち、不安もひっくるめて自分を認めてあげることが、うまく生き抜くコツなのかもしれない。


note2_3のコピー

人の悩みを解決するなんて偉そうなことは言えないけど、寄り添うことはできる。
解決方法は自分で気がつくしかないと思う。

──オンソコーヒーにある本棚は自然と本が増えていき、今では100冊以上もあるという。どういう風に増えていったのでしょうか。

金城:はじめは活動を面白がってくれていたんだけど、今では本を目当てにくる人も増えているみたいで、本に助けられてますっていうお言葉をいただきました。
オンソコーヒーさん向けに選んで置いていた本が、お店やお店を利用する人にあっていたんだなと思います。オンソコーヒーさんは利用してる方も寄付してくれているので、みんなが育ててくれている場所なんです。自分が寄付した本があると思うと自然と愛着が湧いてくるんじゃないかな。そうすると、そこはもうしっかりしたコミュニティーだと思うんです。そういう仕組みを作ろうと思ったわけじゃないのに、そういう風に勝手に醸成されるいくんだなって知ってすごく嬉しかった。

──アナログな緩い感じがいいですね。
  ちなみに、金城さんは今後はどんな活動をしていきたいですか?

金城:きんじょの本棚とは関係ないけど、本を選んだり、悩みを聞いて本を介して勇気づける活動ができたらいいですね。本をお勧めした人が本を読んで勇気出たとか、やってみようって思ってもらえると、自分も勇気づけられる。

きっとおせっかいなのは。自分が励まして欲しかったんだなって思う。今も励ましてほしいし、私 「大丈夫ですよ」 って言ってくれる人がいないとダメなんですよ。(笑)

──自分の働きかけで相手が元気になると、自分の自信にも繋がる感じですね。

金城:悩みって、本人が気づくまで待ってあげるのが一番いいんだと思います。
以前は悩みを聞いて一緒に影響受けてしまっていたけど、最近では悩みを聞いても私が全部解決できることじゃないと区別を付けれるようになった。それは無責任っていう意味ではなく、悩みを解決するというそんな偉そうなことは誰もできないんだよっていう気持ち。だから私に解決できない悩みはここに相談したらいいとか、客観的な目でちょっと何か行動できることがアドバイスできたり、時間かかるまで付き合うよって言えると思う。自分の今までの経験を生かしてそういうことができたら一番幸せですね。

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[撮影場所]まちライブラリー


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自分が何をしたいかを見つけられた人はなんだか強いなと感じた。
それは個人の欲望を満たすことではなくて、人に対してこうなって欲しいとかこうしてあげたいと思える何かが人を動かすものになっている気がする。

スキルは練習すれば身に付けられるけど、自分の心を成長させることは結構時間がかかることなのかもしれない。幾つになっても気持ちは子供のままとはこういうことですね。

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〈プロフィール〉

きんじょう みゆき
ブックコーディネーター / 本等(ほんとう)のプロ

本が好き。本を読むのが好き。本を読む人が好き。本を通じて人と出会いたい。
「きんじょの読書会」を時々開催。推し本紹介型のゆるい居場所づくりが得意。町田市在住。民間図書館勤務。市内のカフェや美容院、飲食店などを中心に「きんじょの本棚」という街の本棚を約20カ所で展開中。また、2020年5月の緊急事態宣言時中の図書館閉館時に、本が手に取れる場の提供を行った。
インスタでは本の紹介を行っている。@32bookcafe_goodday


きんじょの本棚とは
きんじょの本棚は、どこで借りて、どこで返してもいいまちの本棚です。
この取り組みを面白がって、本棚を開設する人、本を借りる人、本を寄付する人で、本を通じた人との交流の場を作るささやかな活動です。
https://kinjonohondana.studio.site/


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