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今すぐに変わらなくてもいい 、相手を想いやる気持ちはいつか届く。

今の時代なんでも検索すれば情報が手に入ったり、ボタン一つで変えることができる。だけど、人はその進化にまだ追いついていないらしい。

感覚的にすぐ変わることに慣れていると相手や事柄に対してすぐ白黒はっきり判断したくなるし、すぐ何かが変わるものだと思いがち。そして変わらないものはダメなものだとレッテルを張ってしまう。

きちんと人と向き合い、関係性を築いていく。私たちが本来持っている感覚を間中さんの言葉で思い出させていただいた気がします。

前編はこちら


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石ころや棒切れも友達、
100人友達がいることが必ずしも幸せとは限らない。

間中:例えば、100人友達ができた子がいるとします。もう一方で友達が0人という子がいます。でもその子の中では、石ころだったり棒の切れ端が大切っていう場合もあるんです。だから、100人友達いるのが素晴らしくて石ころの友達が素晴らしくないといったらそうじゃないんです。石ころだけどその子の心の中にはその石ころが大事なわけですよ、それを握りしめてると安心したりする。そういう一人一人の感性を潰さないようにしたいですね。

私の所は幼稚園なので、たった3年間しか共に過ごせないんですよね。3年で大きく何か変わらなくても、5年、10年、15年経って大人になった時に思い出してくれる存在であったらいいなって思うんです。それが自分じゃなくても所属している場所とか私以外の他の先生でもいいんです。

──5年、10年……、私だったら待てないかも。諦めたり、心が折れてしまいそう。(笑)

間中:私も、時には心折れることもあるけれど、でもそれでも楽しいんです。人が能動的に変わる瞬間って本当に時期があって、どんな接し方をしても変わらない時は変わらないものなんです。でもそれが半年経って1年経って2年経って、ある日突然なんだか変わってくることもあります。そこまでは絶対待つと腹くくってますね。

──待つ。どうやったら待てるようになりますか?

間中:まずは、自分のことを信じることですね。あと、自分の心に嘘をつかないというのがあります。自分の心に嘘をついていたら絶対その歪みが出てきて自分が自分じゃなくなってしまう。だからできるだけ自分の心に素直に従いたいと思っています。そうすると、ぶつかることも多いですよ私。(笑)


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何かしてあげたり一緒にいることだけが愛じゃない。
愛とは人を受容すること。

間中:私、結構やりたいことがあったらすぐやって、社会の荒波にもまれてすっころんでみたいなのが多くて……、ある時母に「どうしてあの時止めてくれなかったの」って聞いたことがあったんです。そしたら「止めないでその荒波で失敗して波にもまれた方が、あなたが育つと思ったから」って言われたんです。その時「あ、これって愛じゃない?」って思いました。

私、父を6歳の時に事故で亡くしていて母子家庭だったんですけど、高校から寮に入ったんです。早くに親元を離れることって、今考えると母は寂しかったんだろうって思います。でも寂しさを抑えて、私を私立の学校にいかしてくれたんです。家を出ていたから母とは離れている時間が多くて当時はわからなかったけど、母はいつも頑張る私を黙って応援してたんだって、自分が子育てするようになって母の偉大さに気がつきました。そういうのもあって、子ども達がしたいことは基本応援しますし、言ったことは信じますね。

──信じるんですね。

間中:信じるって相手に向けて言うと、相手にとって重い言葉だしプレッシャーがかかっちゃうので、直接はあまり言わないようにしているんだけど、「信じてる」っていう想いはちゃんと伝わりますよ。

──間中さんの「信じる」という言葉の中に、なんだか「愛」を感じます。

間中:そう! 私、「愛」を大事にして生きているんです!(笑)
愛情って一緒にいることだけじゃなくて、離れることも愛情だと思うんですよね。相手に空間や時間を与えることも愛情だと思っていて、だから親子の関係でも一緒にいることが全て愛とは限らない、相手を尊重していたら離れることも必要だと思うんです。自分でも子育てをしていて一緒にいることが最大の愛と思っていたけれども全然そうじゃなくて、放っておくというのも良い意味ですごく愛なんですよね。あと、自分がイキイキ楽しんでる姿を見せることとかも愛だと思っています。

自分が満たされることだけを考えて、相手を所有物だと思えば愛じゃないし、相手が選んだことを尊重すればそれが愛じゃないかなって思う。よく無償の愛とか言うじゃないですか、そういう駆け引きのない愛を大事にしたいです。

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──「愛」を大事にしている間中さん。
  今後どのような幼稚園をつくっていきたいとかありますか?

間中:私はシンプルに幼稚園という場所がいろんな人にとっての居場所になればいいと思っています。幼児だけじゃなく、ご高齢の人でも主婦の人でもいろんな職種の人やいろんな家庭の人とか……、いろんな柄が集まって一つの布になるパッチワークみたいな感じかな。そして集まったみんなが優しくなれる場所がいいですね。いろんな人が立ち寄れ、心を寄せる。電話一本でもいいんですよ、お手紙でもいいんです。ここにくるだけで元気をもらえるよっていう場所。それが理想ですね。


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やろうと思ってできなかったことや、誰かと比べて自分は劣っているという勝手な思い込みが自分で自分を傷つけているのに気づかされた。自分を信じることができなければ人も信じることができないし許容することもできない。間中さんの言葉がブーメランのように自分の心に突き刺さりました。

自分を大事にするって自分勝手に聞こえるかもしれないが、自分を受容していないと他人も受け入れられないんだなと今頃になって分かってきた。

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〈プロフィール〉
間中 美穂
幼稚園教諭、保育士、心療カウンセラー、ダウン症療育研究員

小さい頃近所の子どもたちを連れて遊んだ経験などから保育士を目指す。大学卒業後、幼児教育、医療ケア児の経験を得て現在は町田の某幼稚園の園長先生を務める。趣味はヨガ、読書、アルトサックス。


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