難聴と天風先生と その1
さて、私が突発性難聴になったのが、2月23日祝日の朝のこと。
毎朝だいたい、4時くらいにはゴマ吉(猫)がやってきて、「窓を開けろ、外にだせ~」と、わたしの枕周りのものを落とすという脅しをかけてくる。
その日も脅されたので、「仕方ないなぁ」と起き上がる途中に「くらっ」と来た。ついでに吐きそうになる。
「え、やばい」。今まで感じたことのない感覚だったので、そろりそろりと体を動かし、なんとか窓を開けてそのままベッドに倒れこむ。目をつむって横になっていても、頭がぐるぐるする。
そして、左耳の感覚がなくて、音が聞こえない。
とにかく、気持ち悪さと吐き気のせめぎ合いにさいなまれて、横になりながらうんうんと唸る。なんとかポリ袋を手に取り、いつ吐いても大丈夫な態勢だけはつくる。
「これは、随分とレベル高い奴だ・・・」と感じたわたしは、近所の耳鼻咽喉科をスマホでチェックする。も、祝日につきすべてお休み。
東京都が指定する、祝日営業の耳鼻咽喉科は白金台だったので、「なんとかして行こう」と、ベッドから出て2歩進んだだけでリバース。ちょうど目の前に猫のトイレがあったので、そこに吐いてしまった💦
気持ち悪くて、トイレまでもたどり着けないレベル。かなりすごい状況。
白金台のお医者さんに電話し、状況を説明したところ、「どうしてもこれないようなら、今日はそのまま休んで、明日近くのクリニックに行ってください」と、言われる。
タクシーに乗って行こうと、何回も試みるも、玄関どころかトイレにすらたどり着けなくて、断念してしまう。
結局その日は、夜までトイレに行けないくらいの状態だった。
トイレには、壁伝いにどうにかたどり着き、リバースしながら用を足す。足は震えっぱなしだし、極度の脱水状態だったようで、小さいお便りが赤に近いオレンジ色だった。
とにかくこの日は、自分に起きた状況が全く把握できず、病名もわからず、本当に心細くて、辛くて、苦しい一日だった。
そして、全く起き上がれなくて、ゲロゲロしている娘を診ていた両親は、とにかくオロオロするばかりで、本当にびっくりしていた。
人生には上り坂と、下り坂、そしてまさかがあると聞いたけれども、私はこの日、まさかを転げ落ちたのであった。
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