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【投資】銀と金鉱株に投資しました

2022年後半に銀と金鉱株に投資しました。これは今後の投資先を長期的な視点で考えた時に、投資マネーが米ドルから流出し、金を始めとする貴金属に流入すると考えているからです。※投資は自己責任でお願いします。


1.米ドルから金へ

1.1.米ドル需給の緩み

私は、2022年のウクライナ戦争を契機に世界各国の米ドル離れが加速すると見ています。

下図は1970年以降の世界の外貨準備に占める米ドルの割合ですが、2000年以降低下傾向にあります。これは、新興国や発展途上国の中央銀行が外貨準備を保有する際、これまでの米ドル一極集中から多様化を図っているためです。実際、中国やロシアは米国債の保有を減らしたり外貨準備として金を購入することで米ドル依存からの脱却を進めています。

そのような中、ウクライナ戦争において米欧がロシアにSWIFT排除の経済制裁を課しました。(SWIFTとは貿易などに使われる国際的な送金システムのことで、SWIFT排除によりロシアはドル取引の大半ができなくなります。)これによりロシア経済が壊滅的な打撃を受けたことで、世界各国では外貨準備や貿易取引をドルに依存することへの警戒感が高まりました。

つまり、外貨準備を始めとしたドル離れが加速することで、今後ドル需要の縮小が加速していく可能性が高いと考えられます。

一方でドルの供給は既に高止まりしています。

下図はFRBのバランスシートの推移です。2008年のリーマンショック以降、FRBは量的緩和政策によって市中にマネー(米ドル)を供給し続けてきたことで、資産残高は過去最高になっています。そして現在、量的引き締め政策(以下QT)によりバランスシートの縮小を進めています。(実際2022年から徐々に縮小傾向。)

しかしQTは市中マネーを回収する政策のため、景気悪化局面では副作用が大きく継続できません。そして実際、足元では景気後退リスクが高まっており、FRBはこれ以上バランスシートを縮小できないか、あるいはできたとしても時間の問題で、結局資産残高は高止まりする可能性が高いと考えられます。

つまり、市中マネー(米ドル)が供給過剰である状態が続く可能性が高いわけです。

上記を経済の基本原則に当てはめると、供給>需要の場合、米ドルの価値は今後減価していくと考えられます。

1.2.米ドルと金価格

そして米ドルが減価するという前提に立脚した場合、金価格が上昇する可能性があります。

下図は1973年からの金価格と米ドル指数の推移です。金価格と米ドルの間に逆相関の関係が認められます。その理由は金が通貨の裏付け資産であったというルーツ(金本位制)にあり、金は米ドルの代替資産と言われるためです。

つまり、今後米ドルが減価していく中で相対的に金価格が上昇する可能性が高いと考えられます。それは米ドルから流出したマネーが金に流入することを意味します。

2.金ではなく、銀と金鉱株

その上で、あえて金ではなく銀と金鉱株に投資する理由です。

まず銀に投資するのは、金よりも割安だからです。

下図は1970年以降の銀価格に対する金価格の推移(以下金銀レシオ)です。チャートが上に推移するほど金が割高で銀が割安と見ることができます。歴史的に見ると、金銀レシオは80〜100に達すると反転する傾向にあります。現在は80以上で推移しているため、今後は金価格以上に銀価格の上昇が見込まれます。

そして金鉱株にも投資するのは、オペレーティング・レバレッジが効くためです。これは金価格が上昇した場合に、金価格そのものの上昇率よりも金鉱企業の利益が大きく上昇しやすいという特徴です。

オペレーティング・レバレッジとは、固定費をテコにした利益の増大効果のことです。金鉱株は金採掘にかかるコストが一定水準である場合が多いため、この恩恵を受けやすくなっています。

つまり、金価格が固定費となる採掘コストを上回れば、「掘れば掘るほど儲かる」という状況になるため、金価格を上回るペースでの株価上昇が期待できます。

3.リスクシナリオ

最後に想定されるリスクシナリオです。

金に投資する上で想定しておくべきリスクは、FRBの金融政策の行方です。

今後米経済は景気後退が見込まれていますが、想定外に実体経済が底堅くインフレが低下しない、あるいは再燃する場合、FRBが利上げとQTを継続し、米金利が上昇する可能性があります。

金利上昇は米ドルに追い風になる一方、金利を生まない金にとっては価格下落圧力です。実際、2022年はFRBが利上げとQTを進める中で米金利と米ドルが上昇する一方、金価格は一時1600ドル台まで下落しました。

仮に上記のリスクシナリオが顕在化した場合、とりわけ銀と金鉱株は金よりもボラティリティが高いため、金価格以上に下落する可能性が高いです。

一方、アップサイドのリスクシナリオについても考えておく必要があります。米経済が景気後退となった場合、FRBが金融緩和に転換する可能性があります。具体的には、利下げの実施とQTの停止、あるいは量的緩和(以下QE)を再開する可能性もゼロではありません。

仮にQE再開となった場合、FRBが市中にマネーを供給するため米ドルの供給量は更に拡大し、金価格の急騰が期待できます。

以上

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