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保護してあげられる猫さんのタイムリミット

ほとんどの保護猫団体では保護して里親さんを探すのは子猫です。
理由は、
1️⃣人馴れしやすい
2️⃣里親さんを探しやすい
3️⃣猫エイズや猫白血病や慢性病を持っている可能性が低い
4️⃣これからの猫生をなるべく安全に人と暮らして欲しい
などが理由だと思います。

まず1️⃣ですが、猫さんは暮らしている土地の人間の影響をかなり受けやすいです。外で暮らす猫さんに優しい地域でしたら人懐こい猫さんも多いですが、外で生きる猫さんを許さない住人が多い地域では、日々人に追われたりいじめられたりして人間は怖いものとして成長して行きます。
そうして育った猫さんは人に慣れない臆病警戒心の強い子に育ちます。
保護しても何年経っても触る事すら出来なかったり、通院爪切り投薬ブラシングさえも無理な子が多いです。
うちの自宅で保護してる猫さん7匹のうち3匹がそういった触る事すら難しい猫さんで、他2匹は洗濯ネットを使わないと爪切りが難しいです。
そういった人馴れできていない猫さんを里親さんに譲渡するのは非常に難しいのです。プロである保護猫団体の者でもお世話に苦労する猫さんを、一般の方に託して心を開くまで粘り強く引っ掻かれたり噛まれたりしながら距離を縮めて行く修行が出来る人間は少ないです。
その点子猫だとまだ怖い人間を知らない子がほとんどなので、人と一緒に暮らして行くのが普通の事で、触られたり抱っこされるのも気持ちの良いものだと教える事が出来ます。

上記1️⃣の理由から、2️⃣の里親さん探しのハードルが下がります。子猫というだけで可愛いですし、懐くのも早いため、ほとんどの里親さんが子猫を希望する訳です。譲渡会でも子猫からお話が決まって行くのがほとんどです。
どうしても忘れられない先代の子に瓜二つだとか、大人の猫さんで人馴れ出来て居ない子でも頑張って心を開いて幸せにしてあげたいという奇特な里親さん候補の方も中にはいらっしゃいますが、とても少ないです。
私は初めての猫の家族は遠く500km離れた土地の友人の家で飼われて居た16歳半の猫さんを引き取りました。それはSNSで数年その子を見ていたという事と、実家の姑さんがその子を3歳の時に保護して11歳まで狭いケージに閉じ込めて居たという経緯があり、友人がその子の面倒が見れなくなるのでまたケージ生活に戻される、腎不全などの病気を持っているのに病院にも連れて行って貰えないという話を聞いたから引き取ったのです。
16歳半の病気をいくつも持ってる老猫さんを迎えるという里親さんはほとんどいらっしゃらないと思います。2年半で医療費などが700万強かかりましたし、自分の子供と同じ様に身を削る飼い主さんはとても少ないです。そういった里親さん候補を狙うより、子猫を欲しがってる里親さんを探す方が簡単なのは事実なのです。

また、外で長く暮らしていると病気を持っている子と喧嘩をしたり同じ餌場同じお皿から食事をし病気を貰う機会が増えます。
私の感覚では外で3年以上生活をしていると猫エイズ猫白血病に罹患する子が多い感じを受けます。

今面倒を看ている地域猫さんは37匹居ます。以前まで40匹でしたが、3匹のオス猫の兄弟をお庭で面倒をみてくれてた住民の方が断捨離をして部屋を用意して3匹保護してくださったので減りました。
地域猫さんの中で保護した後に人と生活していけると踏んだ子が今3匹居ます。
私の自宅の庭に良く来るイチニコサンタママ、公園で面倒を見ているボブ夫のヨメ、2つ隣の町でお世話して5年目になるロシアンブルーのロシ夫です。

イチニコサンタママは子猫3匹(イチ・ニコ・サンタ)はとても良い里親さんの元3兄弟揃って幸せに暮らして居ます。

右からイチ・サンタ・ニコ
父親はブリーダーが捨てたと思われるシャルトリュー

イチ・ニコ・サンタのお母さんのママは非常に人馴れが出来て居て、玄関を外から良く覗いて来てご飯頂戴ーと鳴いて来ます。撫でたりブラッシングも出来て、毎月ノミ・ダニ・フィラリア駆除もしています。非常に人馴れが出来て居ていつでも人と幸せに暮らせる資質がある貴重な地域猫さんですが、私の家では物理的にもう保護出来るスペースがありません。
また、ご近所で自宅の猫さんを外の出入り自由にさせてるお宅があり、最近わかったのですがそこの子は猫白血病にかかっています。そのお宅の玄関先のご飯皿をイチニコサンタママが食べに行くのも何度か見ています。
もう、猫白血病にかかっていてもおかしくは無いのです。
猫エイズ猫白血病に掛かっていると一時預かりボランティアさんのお宅でも預かって頂くのが難しくなります。また、里親さん探しもとても難しくなります。
2021年の夏にイチニコサンタとママを捕獲し、ママだけTNRとなり地域猫になったのは大人の母猫が人馴れ出来る子か分からなかったというのと、子猫3匹の里親さん探しや人馴れ修行もあり余裕が無かったからです。
こんなに人馴れ出来る猫さんだと分かって居たら、TNRには至らなかったのかも知れません。そして、TNRから丸2年が経ち、元々3歳くらいだとするともう5歳は過ぎてる計算になります。

人と幸せに暮らしていける資質を持っている猫さんなのに、保護してあげられないというのはとても大きな重圧を感じます。毎日お別れする時にため息が出ますし、その場に残して去るのがとても辛いです。しかし保護してあげる事が出来ません。

今まで大人の猫さんでもどうしても保護しないといけない状態の子や、人馴れが見込める子は保護して来ましたが、里親さんを探すのがとても難しい子が多いのは事実です。実際、里親さんが決まらないためどんどん保護してる子が増えてキャパシティの限界が来て今は受け入れが不可な状態な訳です。

保護してあげられる猫さんのタイムリミット子猫に絞らないといけないのはとても辛い方針転換です。何とかしてあげたいけど、現状募集を募っても一時預かりボランティアさんを見つけるのすら難しい現状を考えると、諦めるしかないのかも知れません。

こういった信念を曲げざるを得ない事が続くと、活動自体に限界を感じてしまい心が折れそうになる気もします。最近活動をやめる団体も周りで増えていますし、とても精力的に最前線で活動をされていた方が引退されたりする事がありました。
一人では保護猫活動というのは限界を感じる事が多いと思う今日このごろです。