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洋梨様々

そろそろ八百屋さんの店先に、洋梨が、並びます。大好物の一つです。甘い香りと、滑らかな舌触りと喉越し。色っぽい意味で、官能的な食べ物だと思います。

レクチェもバートレットも好きです。が、何故か実家の父は、私の好物はラフランスだと思っています。うん、ラフランスも好きだけど、食べ頃の見極めが難しいのです。柔らかくなったと思って切ると、中が傷み始めていたり。なかなか良いタイミングで食べられません。

ラフランスは、日本で作られた品種です。洋梨と木瓜を掛け合わせたらしいです。洋梨が傷み易く、運搬に不向きだったためかしら?ラフランスの方が、固いうちに収穫すれば、輸送途中で潰れないかも。

洋梨のシャルロットは、ほんわりしたお嬢さん。キャラメリゼした洋梨を焼き込んだタルトは、しっかりした奥さん。なんだか、女性的なイメージです。

洋梨のでてくる小説で印象的なのは、エラリー クインの「Yの悲劇」。洋梨に毒を仕込んで、盲目の女性を狙ったように見えます。が、この人は傷んだ果物は食べないのです。毒を注射した洋梨は、毒の部分が傷んだように見え、この女性が食べることはありません。洋梨が好物だと知っているなら、傷んだものは食べないのも知っているはずの犯人は、何故こんなことをしたのか。

推理小説なので、タネ明かしはしませんが、人の力の及ばぬ悪の存在が恐ろしく、とても怖い思いをして読みました。

この本を読んでから、洋梨の傷んだ所は、丁寧に取り除きます。誰も私を狙う理由はないと思うけど。

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