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#ノンフィクションが好き

読書レビュー「テロルの決算」 沢木耕太郎

初版 1982年9月 文春文庫 あらすじ 山口二矢は日比谷公会堂の舞台に駆け上がり、社会党委員長浅沼稲次郎の躰に向かって一直線に突進した・・・。右翼の黒幕に使嗾されたというのではない自立した17歳のテロリストと、ただ善良だったというだけではない人生の苦悩を背負った61歳の野党政治家が激しく交錯する一瞬を描き切る。大宅ノンフィクション賞受賞作。 本作は 昭和35年10月12日、日比谷公会堂で行われた立会演説会で、社会党委員長浅沼稲次郎が17歳の少年山口二矢が握りしめた一本の

読書レビュー「雪男は向こうからやって来た」角幡唯介

初版 2013年11月 集英社文庫  あらすじ ヒマラヤ山中に棲むという謎の雪男、その捜索に情熱を燃やす人たちがいる。新聞記者の著者は、退社を機に雪男捜索隊への参加を誘われ、二〇〇八年夏に現地へと向かった。謎の二足歩行動物を遠望したという隊員の話や、かつて撮影された雪男の足跡は何を意味するのか。初めは半信半疑だった著者も次第にその存在に魅了されていく。果たして本当に雪男はいるのか。第31回新田次郎文学賞受賞作。(アマゾン商品紹介より) これは、大真面目なUMA捜索ドキュメ

「流星ひとつ」沢木耕太郎

初版 2016年7月 新潮文庫 あらすじ 何もなかった、あたしの頂上には何もなかった―。1979年、28歳で芸能界を去る決意をした歌姫・藤圭子に、沢木耕太郎がインタヴューを試みた。なぜ歌を捨てるのか。歌をやめて、どこへ向かおうというのか。近づいては離れ、離れては近づく二つの肉声。火の酒のように澄み、烈しく美しい魂は何を語ったのか。聞き手と語り手の「会話」だけで紡がれた、異形のノンフィクション。(アマゾン商品紹介より) また長くなって、言いたいことぼやけるかもしれないからは

「キャパの十字架」沢木耕太郎

初版 2015年 12月 文春文庫 これは、ロバート・キャパによって撮られたとされる報道写真「崩れ落ちる兵士」です。 この、スペイン戦争時に共和国軍兵士が敵である反乱軍の銃弾に当たって倒れるところを撮ったとされる写真は、やがて崩壊するスペイン共和国の運命を予告するものとなり、実際に崩壊してからは、そのために戦った兵士たちの栄光と悲惨を象徴する写真となって世界中に広く流布されるようになった。  とりわけ、それがアメリカの写真週刊誌「ライフ」に掲載されることで、世界への普及力