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読書感想文

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#小池真理子

読書記録 小池真理子「神よ憐れみたまえ」

初版 2021年6月 新潮社 人は誰でも心の奥の奥の底のまた底に、 開いてはいけないフタがあるのではないか。 例えば人を殺したいとか、死にたいとか。 男なら、道端でお色気ムンムンの女性を見かけた時、 もしも自分が昆虫だったなら、 ソッコー後ろから抱き着いてしまえるのに・・とか。 そんな衝動にかられたり・・・ しかし自分は昆虫ではない、人間なのだ。 理性をもたなければならない。と自分にブレーキをかける。 ブレーキはかけても・・そんな衝動にかられたこと自体が 自分でもキモイ。

小池真理子「沈黙のひと」読書感想

初版 2015年5月 文春文庫 あらすじ 両親の離婚によってほとんど関わりあうことなく生きてきた父が、難病を患った末に亡くなった。衿子は遺品のワープロを持ち帰るが、そこには口を利くこともできなくなっていた父の心の叫び―後妻家族との相克、衿子へのあふれる想い、そして秘めたる恋が綴られていた。吉川英治文学賞受賞、魂を揺さぶる傑作。(アマゾン商品紹介より) 生前、ちゃんと向き合わなかった家族を、死して、あるいは、死を直前にしてようやく顧みるという話です。 本作の場合は、幼い頃

退廃って何でしょう? 小池真理子「恋」読書感想

初版 2002年12月 新潮文庫 あらすじ 1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした……。全編を覆う官能と虚無感。その奥底に漂う静謐な熱情を綴り、小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作。(アマゾン商品紹介より) 学生運動が盛んだった時代。 政治