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#沢木耕太郎

読書レビュー「銀の森へ」沢木耕太郎

初版 2018年 3月 朝日文庫 朝日新聞で15年続いた、沢木さんによる映画エッセイを「銀の森へ」「銀の街から」の二冊に書籍にまとめたうちの一冊です。 本作「銀の森へ」は1999~2007年までに執筆された「ローマの休日」「シックスセンス」「ミリオンダラーベイビー」「ロストイン・トランスレーション」「メゾン・ド・ヒミコ」などなどについての映画評、90篇を収載したものです。 1作品について約3ページ程度の、映画評としては短めの中文程度にすっきりまとめ、映画評論家の書く映画評と

読書レビュー「テロルの決算」 沢木耕太郎

初版 1982年9月 文春文庫 あらすじ 山口二矢は日比谷公会堂の舞台に駆け上がり、社会党委員長浅沼稲次郎の躰に向かって一直線に突進した・・・。右翼の黒幕に使嗾されたというのではない自立した17歳のテロリストと、ただ善良だったというだけではない人生の苦悩を背負った61歳の野党政治家が激しく交錯する一瞬を描き切る。大宅ノンフィクション賞受賞作。 本作は 昭和35年10月12日、日比谷公会堂で行われた立会演説会で、社会党委員長浅沼稲次郎が17歳の少年山口二矢が握りしめた一本の

「流星ひとつ」沢木耕太郎

初版 2016年7月 新潮文庫 あらすじ 何もなかった、あたしの頂上には何もなかった―。1979年、28歳で芸能界を去る決意をした歌姫・藤圭子に、沢木耕太郎がインタヴューを試みた。なぜ歌を捨てるのか。歌をやめて、どこへ向かおうというのか。近づいては離れ、離れては近づく二つの肉声。火の酒のように澄み、烈しく美しい魂は何を語ったのか。聞き手と語り手の「会話」だけで紡がれた、異形のノンフィクション。(アマゾン商品紹介より) また長くなって、言いたいことぼやけるかもしれないからは

「キャパの十字架」沢木耕太郎

初版 2015年 12月 文春文庫 これは、ロバート・キャパによって撮られたとされる報道写真「崩れ落ちる兵士」です。 この、スペイン戦争時に共和国軍兵士が敵である反乱軍の銃弾に当たって倒れるところを撮ったとされる写真は、やがて崩壊するスペイン共和国の運命を予告するものとなり、実際に崩壊してからは、そのために戦った兵士たちの栄光と悲惨を象徴する写真となって世界中に広く流布されるようになった。  とりわけ、それがアメリカの写真週刊誌「ライフ」に掲載されることで、世界への普及力

「凍」 沢木耕太郎

初版 2008年11月 新潮文庫 作品紹介 最強のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。世界的名声を得ながら、ストイックなほど厳しい登山を続けている彼が選んだのは、ヒマラヤの難峰ギャチュンカンだった。だが彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な闘いの結末を知るはずもなかった―。絶望的状況下、究極の選択。鮮かに浮かび上がる奇跡の登山行と人間の絆、ノンフィクションの極北。講談社ノンフィクション賞受賞。 (アマゾン商品紹介より)  山野井泰史さんと