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#五木寛之

読書レビュー「哀しみの女」五木寛之

初版 1989年8月 新潮文庫 あらすじ 年下の画家・章司と暮らす和実は、たまたま見かけた異端の天才画家エゴン・シーレの作品「哀しみの女」に、自分の未来の姿を予感する。そして、彼女は、モデルであり画家の愛人でもあった女の薄幸な人生に、自分の運命を重ね合わせていた…。ウィーン世紀末の画家とモデルとの退廃的な関係を現代に重ねて、男の野心と女の愛を描く大人のための恋愛小説。 (アマゾン商品紹介より) この作品で、エゴン・シーレという画家も「哀しみの女」という絵も初めて知りました

向上心と他力本願の狭間で・・五木寛之「親鸞」読書感想

初版 2017年 講談社文庫 青春篇上下巻 激動篇上下巻 完結篇上下巻全6巻 力強い作品だった。 まともに向き合えば、一生かけても答えの見つからない まさに禅問答のような堂々巡りの底なしの海に、何度も引きずり込まれそうになった。 引きずり込まれそうになっては、みずからあえて距離をとって、掴まれた手を振りほどき 海面を目指して浮上しようともがく。 そんな作業の繰り返しだった。 正直、ちょっと疲れた。 それだけ、力強い作品だった。 結局、一番強く心に残っているのは 青春篇上巻冒

「冬のひまわり」五木寛之 読書感想

初版 1988年8月 新潮文庫 あらすじ 山科の旧家の娘遠野麻子は短大をでたあと、24歳で平凡な小学校教師と結婚した。 それから6年目の夏、彼女は鈴鹿サーキットで、イタリアから帰国したばかりの昔の恋人森谷透と劇的な再開をした。以後、麻子と透は年に1度、二人が初めて出会った鈴鹿で、オートバイの耐久レースを見るだけの逢瀬を重ね、7年の歳月が経ったのだが・・・ (新潮文庫表紙裏より) 実は麻子は16歳で20歳の透と鈴鹿で出会い、以来、37歳まで 毎年1回8月に鈴鹿8耐を観に行き