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2021年11月の記事一覧

「ジョーカー」藤堂志津子 読書感想

初版 2003年6月 講談社文庫(角川文庫1993年の再販) なぜ今更こんなのを読む気になったのか・・・。 藤堂さんは青春時代にはまった作家さんの一人。 誰しも青春時代は輝いて思えるのではないか。 遠く離れれば離れるほどに 実際は鬱屈したものもたくさん背負っていたはずなのに ただただ素晴らしき日々であったかの如く 昔はよかったと回顧するようになる。 そんなジジイになってしまったという事か・・。 いやいや。そこは認めたくない・・・。 僕の青春時代は80年代後半から90年代とい

「ガラスの海を渡る舟」寺地はるな 読書感想

初版 2021年9月 PHP研究所 あらすじ 大阪の心斎橋からほど近いエリアにある「空堀商店街」。 そこには、兄妹二人が営むガラス工房があった。 兄の道は幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で、「みんな」に協調したり、他人の気持ちに共感したりすることができない。 妹の羽衣子は、道とは対照的に、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるが、突出した「何か」がなく、自分の個性を見つけられずにいる。 正反対の性格である二人は互いに苦手意識を抱いていて、祖父の遺

「アイ」西加奈子 読書感想

初版 2019年11月 ポプラ文庫 最近書店でよく見かけて、気になっていた作家さん。 はじめて読みました。 記念すべき第1冊目です。 この物語の主人公はワイルド増田アイ。 アイはシリアで生まれた。 本当の両親は知らぬまま、赤ん坊の時、アメリカ人の父と日本人の母のもとに養子としてやってきた。 小学校卒業まではニューヨーク、ブルックリンの高級住宅街で育つ。 両親は慈善活動家で、4歳の頃には世界の不均衡について教えられ、養子であることも教えられた。 アイは表面的にはおとなしく素