ロシアにおける「パンと塩」(Хлеб-Соль)
Хлеб-Соль(パンと塩:おもてなし)
2019年4月の露朝首脳会談(極東ウラジオストック)で、パンと塩の歓迎が見られました。
この風習は、伝統的な服装(サラファンなど)の若い女性が白またはきれいに刺繍した大きな布にパンを乗せて胸の高さに持ち、パンの中心の小さな皿に塩を乗せて歓迎します。歓迎される方はパンをひとかけらちぎって取って、塩を少し付けて食べて歓迎に答えます。
ロシアでは塩がパンと並んで最も重要な食べ物と考えられており、パンは健康と力を、塩を富と権力を象徴しているとされます。私もロシアを訪れた際に何度かこの風習をやりましたが、初めは塩とは知らずに砂糖と思って思いっきりつけてしまい、大失敗して爆笑されました。
ただ、もうひとつ。
塩は「魂の清浄さ」を象徴しています。それは無限の命をもつ、とされているようです。それゆえ、パンと塩を捧げることによって、ロシア人は客が富み、繁栄することを願っているだけでなく、その人物が果たして本当に人間なのか、さもなくば悪霊かを確かめることを象徴している、との解釈があるようです。
また、ロシア語には塩に関する表現も多くあります。
「パンと塩を与えれば強盗も優しくなる」(意味:伝統の食は、どんな残酷な人間の心をも和らげる)
「塩とパンがなければまともな話はできない」(意味:食卓に肝心の食べ物が出なければ、話し合いで何の合意もできない)
「塩気のないものを食べさせられた」(意味:自分の目的を達することができなかった)
何か、ロシアのことわざが、北朝鮮についてのことを示唆するように思えてきます。
ロシアによるウクライナ侵攻後の追記
ロシアによるウクライナ侵攻が2022年2月におきました。その21年前の2001年2月11日にプーチン大統領はウクライナ・ドニプロペトロウシクを訪問していて、パンと塩の歓迎を受けています。
参考
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