月経困難症、ピルと避妊リングの失敗談。

いわゆる生理痛の話。

 ※生々しい話もあり、不快に感じる方は戻るボタンでご退場ください。

低用量ピルと避妊リング”ミレーナ”について綴る。タイトル通り、失敗談ということで解決策は記せないが、わたしが体験した治療とその結果を記録しておく。別の機会に短くまとめるつもりではあるが、関係ない日常の話まで折り込んでしまってとにかく長い。


わたしは生理痛が酷い体質で、生理不順もあり、生理にはつくづく悩まされてきた。高校生の頃から婦人科へは通っているが、異常が見つかったことはない。

高校の授業中、痛みで座っていられなくなり保健室へ行ったり、通学が困難で母に車で送迎してもらうことも少なくなかった。短大生になり喫茶店のアルバイト中、店長に「顔色が悪いから帰った方が良い」と気遣ってもらったりもした。鎮痛剤の内服と、小豆カイロやホットタオル等で腹部と腰部、時にお股も暖めて痛みを和らげた。

20歳で低用量ピルを内服開始する。マーベロンという種類だ。月経コントロールと共に避妊も兼ねて自費で避妊率の高いものを選ぶことにした。ピルの副作用に吐き気等があげられるが、わたしの場合副作用は一切なかった。

ピルを内服してからは生理中に使う鎮痛剤の量が減り、効果はあるようだった。生理が周期的に来るようになり、それだけでもかなりストレスは軽減された。更に、にきびができなくなり肌がキレイになるという嬉しい効果も見られた。定期的な血液検査を受けていたが異常はなく、検査の頻度が3か月や半年だったところ開始から3年目には1年まで開けて良いことになる。

開始から2年程で、性欲がなくなるという副作用?が現れる。恋人とのSEXを避けてしまい、度々責められるようになった。定期検診で女性医師に相談すると「女性の性欲は精神的なものが大きいのでピルは関係ないと思いますね」とバッサリ、外にも聞こえそうな大きい声で云うのだ。当時、恋人と同棲していたのだが”メンタルの問題”であると云われ納得しながらも、どうしても認められなかった。(今にして思えば恋人の自己中心的なSEXで心身共に苦痛を感じていたことが原因だが、責められても云い返すことができなかった。)

開始から3年程経つと、鎮痛剤の量もピル開始以前と変わらず生理痛がつらい日が増えてきた。引越しの関係で、ピルをもらっていた病院とは別の婦人科を受診してみると漢方薬を勧められ、約1年ぶりに血液検査もしてもらう。後日医師から電話がかかってきて「Dダイマーの数値が高いので内科を受診してください」と告げられる。 ※Dダイマーとは血栓のリスクがあがっていることを示す数値で、これが高いと脳梗塞や心筋梗塞といった死に繋がる大きな病気を発症してしまう可能性がある。

再診の前にわざわざ直接電話をくれて、なんと優しい先生なのだ…と感動したが、いやはやなんてこわいことになっているのだ!電話を受けた日からピルを中止し、当時勤務していた総合病院の循環器内科を受診した。改めて採血、心電図、胸部レントゲン、下肢エコーをしてもらう。やはりDダイマーの数値は少し高くなっているが、その他は異常がみられなかったので血栓はできていない状態であった。この結果を、婦人科の再診時に伝えると「血栓ができていなくて良かったですが、もうピルは中止しましょう。ピルが原因の血栓症で亡くなる何十万人の内の一人に、あなたがならないとは限らない」と親身になってくれたので、わたしがピルを再開することはなかった。(医師からの言葉を恋人に伝えると「血栓リスクが低いピルがある」と勧めてきたが断った。ピルをやめても相変わらずSEXを避けてしまい結局解決はできなかった。)

こうしてピルを中止したわたしだが、ではどうして生理痛と闘おうか。婦人科で処方された漢方薬はどうしても苦手で続けられなかった。漢方薬は継続しなければ意味がなく…やはり鎮痛剤を毎食後必ず内服するという形で、生理中には寝込んでしまうこともまた増えた。

その後1年程で同棲を解消して実家に帰ったり、転職して環境は大きく変わったが、生理痛との闘いは相変わらずだった。捨てずに手元にあったピルは一度、緊急用に自己責任で内服したが、量を多く使わなければならなかったので副作用が出て数時間後に吐いてまう。もう二度と内服しまいと、やっと捨てたのだった。

新しい職場も病院だったのだがある朝、生理痛が酷くどうしても出勤できませんと連絡を入れ欠勤すると、試用期間を2か月延長されてしまった。病院なのに病人に理解がない…なんて思いながらやはり治療しなければならない、と改めて治療方法や婦人科を調べた。そこで初めて知ったのが避妊リングという存在。名前の通り避妊は勿論だが、ピルのような血栓のリスクは全くなく、5年間挿入することができ、月経が止まる程出血がおさえられるので生理痛が和らぐとのこと…月経困難症で保険が効くようになり、挿入に1万5千円程かかるが5年間使用できるとなるとコスパはピルの比ではない。(わたしが内服していたピルは月3千円程)

…なるほど、メリットしかない。デメリットは挿入が痛い、経産婦でなければ合わないことがある、リングが不意に脱落する場合がある、取り扱っている病院がまだまだ少ない等。副作用もピル程ではない。 (※検討中の方は詳しく調べてください)

女性は皆使うべきではないか!?と思う程、期待は高まった。HPを調べ、通院が面倒だが取り扱いのある少し遠い病院へ行くことにした。初診でエコーや子宮がんの検査、再診時結果に異常がなかったのでいざ”ミレーナ”挿入!いやまぁこれがめちゃくちゃ痛い。エコーも子宮がんの検査も痛くて嫌いなわたし…涙を流し歯を食い縛りながら耐える。これで5年は楽になるのだと信じて耐える。挿入は案外すぐに終わり、しばらくは痛みや出血があること、またエコーで経過を診るので再診に来てくださいと説明を受けて帰った。歩く度に下腹部がとても痛い。歩き方はきっと変だったが気にしていられない。冬だったので、カイロをおなかに貼り付けて暖めた。

云われた通り、しばらくは痛みと出血が続いた。生理でもないのに鎮痛剤を毎日内服する程だった。ミレーナ挿入から6週間で生理がきたが痛みも量も相変わらずで、まだ仕方ないかと諦めた。

ミレーナ挿入から3か月頃、不正出血や痛みもおさまってきてはいたが一度、SEXで血が出てしまった。激しくしたわけでもなく、生理後だった為かと思うがその日から2週間程また不正出血が続いた。(付き合って初めてのSEX中の出来事で、相手はすごく心配してくれた。後に夫になる。)

同じ頃、突如おパンツから磯の臭いが発せられる。おりものが増え尋常ではない臭いに、慌てて地元の婦人科へ駆け込んだ。別の病院でミレーナを入れたことを説明すると医師は「私はあまり避妊リングはお勧めしません」と云い、こうしたトラブルも避妊リングが原因であるかもしれないとのこと。検査を受け、抗生剤を処方された。感染症ではなく膣内環境が悪いことが原因の細菌性腟症だった。新たな職場ではかなりストレスがかかり退職したのだが、ストレスにより体調を崩していた所為でなってしまったのかもしれない。薬のおかげで1~2週間程で落ち着いた。

その後1年間、特にトラブルはないものの、生理は4~7週間毎と変わらず不順で量や痛みも少しは軽くなったが大きな改善は見られない。定期的な診察ではミレーナのズレや脱落もなく医師は「ミレーナを挿入すれば大体生理は止まるものですが…」と云うのみ。出産を経験していない女性では合わないことがあるとのことだが、やはりそうなのかもしれない…でももしかしたらこれから効果が期待できるかもしれない、きっと抜くのも痛いし、と思ってまだ続けることに。

生理中に使用するナプキンを変えてみた。ナプキンの吸収剤が身体を冷やしてしまうそうなのでコットン100%のものを選んだり、量が少ないときは布ナプキンを使ってみたり。コットンのナプキンはとても心地よく、肌がかぶれることもなくなったので気に入って愛用するが、生理痛の改善にはならなかった。

ミレーナ挿入から1年半、生理がおかしくなってきた。2週間近くも続くのだ。最初の1週間はかなり出血量が少なく下腹部は重く痛み、2週間目で量が増えて痛みも増す。おかしいなぁと思いながらも、仕事が忙しく、またミレーナでかかりつけの医師があまり好きではないことや病院が遠いこともあり、鎮痛剤に頼るだけで受診を先伸ばしにしていた。しかしあるとき、生理後なのに脂汗をかき涙が出る程の下腹部痛に襲われる。近くで診療中の婦人科をネットで探し、電話をかけ当日予約を取ってもらった。初診だったが、とても良い病院だった。とにかく動けないので恋人の仕事の合間に車で連れて行ってもらった。

エコーで診てもらったところリングや子宮に異常はないとのこと。最近あまりに生理痛が酷いので抜去を考えていることを伝え、ここでもできると云われたが「勇気がいるのでもう少し考えさせてください」と返事をした。数日後、覚悟を決め、5日間の有給を取り、改めてその病院へ行くことにした。

抜去は一瞬だった。挿入よりも痛くなかったのだが緊張してとても疲れた。2日後、生理がきた。2週間前に生理は終わったところだが、不正出血という量ではない。人生でこんなに血が出たことがないという程の出血が3日間続き、出血は1週間で止まった。

それからはなんだか身体が軽くなったような感じで日常を過ごした。生理以外での下腹部痛がさっぱりなくなり、気分が良かった。上記大量出血の後1週間でまた生理が来たのだが、このエピソードを書くには生理とは関係ない思い入れがあり、長くなってしまうのであとがきに綴ることにする。

さてまた治療は振り出しに戻ってしまう。しかしミレーナを抜去してからの生理は何故かミレーナ挿入時より楽になっているような気がする。相変わらず不順で鎮痛剤も手放せないが、欠勤したり寝込むことがあまりなくなった。より強い痛みを経験し、たくましくなったのだろうか。

あとはもう「出産したら生理痛がなくなる」という都市伝説?にすがるくらいしかないか、なんて云っていたらミレーナ抜去から7か月後ほんとに妊娠したのだ。秋に出産を控え、これまでの過酷な生理との闘いに終止符を打てるか…記事の続きは来年にまた書くつもりである。



あとがき

ミレーナ抜去の頃、時季はお盆。仕事も長期休暇があるので恋人と以前から計画していた旅行へ出かけた。3泊4日の車旅行で、体調は万全だった。…はずなのだが、2泊目の夜。なんだか下腹部が重く、少し出血が…ミレーナ抜去後の大量出血が終わったのはつい1週間前。だというのに、まさかこんな事態は予測していなかった。翌朝、持ち合わせのナプキンと鎮痛剤が切れたので買いに走り、真夏の酷暑による汗とは別に冷や汗脂汗をかきながら3日目を楽しんだ。元々、宿以外フリーなスケジュールなので問題なかった。

キャンプ旅だったが3日目の夜は恋人が予めサプライズでホテルを予約してくれていたようで、夕飯にはおいしい会席料理が出てきた。しかしコースも序盤から座っていることさえつらくなり、素晴らしい料理も味がしないのだ。食事はたくさん食べる方だがこのときばかりはダメだった。わたしの異変にすぐ気が付いた恋人は「さっさと食べて部屋に戻ろう」と、せっかくのご馳走が満足に食べられなくても文句を云わず何より心配してくれた。そしてふかふかのベッドで眠りについた。

翌朝には回復し、朝食バイキングも元気に食べられた。長旅の帰路につく高速道路で、運転中の恋人は「ほんまは昨日の夜に云うつもりやったけど…」とプロポーズ。なんと、生理痛の所為でせっかくのご馳走どころかプロポーズまで逃していたなんて…全く雰囲気のないプロポーズであったが、いつも大事に気遣ってくれる優しい恋人からのプロポーズを断るはずもなく。ある意味、忘れられない思い出となった。


2021年6月nyamo


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