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元スナックママとの宴|飲めども酔わぬ不思議

沢山お酒を飲みすぎたら泥酔する→二日酔いになると思い込んでいたが、そんな常識を覆されたのが、元スナックママとの宴だった。

神奈川に住んでいたとき、坂を下っていくと道路沿いにコンビニがあり、そこで偶然にも、元スナックのママのCさんと仲良くなった。
Cさんは、私よりだいぶ年上で、笑い方が豪快、ときに毒舌でチャーミングな女性。豪快な割に、とても品のある美しい方だ。

最初知り合ったときは、元スナックのママとは知らなかったが、独特な気品から、何かお店を経営されているのかな、と思い勇気を出して聞いてみた。「そういうオーラででる?」と言いつつも、過去のことを色々お話していただけた。

ある日、Cさんとお会いしたときに、晩ごはんの話をしていたら、「家で一緒にたべようよ!」と誘ってくださった。
手作りの料理をてんこ盛りで用意してくれるとのことだ。そして、好きなお酒の種類を教えてほしいと言われた。

Cさん宅に行くと、料理がテーブルにギリギリ収まっているくらいに並んでいて、お花がところどころに飾られていて、歓迎ムードを感じて嬉しかった。奥からワインのボトルを持ってきてくれた。

とっておきの白で、ラベルのついていない、レアなものらしい。さっそく二つのグラスに注いで乾杯。お料理は、すごく凝っているとうよりは、どこか懐かしさ、安心感を感じさせるもので、とても美味しかった。
Cさんいわく、凝ったものじゃなくて、こういった安心感のある料理が客にも好まれるとのことだ。
なんかわかる気がした。

お互いを深くは知らないので、色々な話をした。今までのこと、現在のこと。またスナックをやりたいことetc…。
私の話も聞いてくれて「アンタも苦労してきたんだねぇ」と言ってくださり、たいした苦労もしてこなかった私が労われてなんだか癒やされていく。

酒が進む。白ワインを更に飲もうとすると、「今はこっちを飲んで」と水を渡される。
そんなやり取りが何度もあり、ワイン→水→ワイン→水の順に飲んでいき、夜が更けてきたころには1人丸一本ずつ空けてしまった。

そろそろ帰ることを告げると同時に、こんなに飲んでしまって、大丈夫だったかという気もしたが、不思議と、全く酔っていなかった。
「アンタ、強いねぇ〜」と言われたが、決して私が強いわけではない。飲ませ方が上手い人だ。

お土産に焼きそばセットをいただいた。
焼きそばと、具をセットにして袋に詰めてくださったもので、翌日の朝用にということで用意してくださったのだ。また、家に着いたらTELしてね、と言って送り出してもらった。

スナックで働いていたときも、きっと、こんな心遣いがあったのだろう。リピートするお客の気持ちがよくわかる。一見豪快な感じだが、優しい心遣いのある方だと思った。

Cさんは、どんなに生活が苦しいときでも、花を買ってきて飾る、ということは欠かさなかったということだ。私が千葉へ引っ越す間際に、赤いバラの花束をくださった。

神奈川から引き上げるときに、私はバラの花束を両手に抱えていた。今度帰ってきたら、レッドロブスターに行こうと言われた。レッドロブスターって何だ?と思ったが、それはまたいつかのお楽しみ。








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